映画レビュー1604 『その女諜報員 アレックス』

今年のお盆休みは2日だけのおファックカンパニーに勤務中なんですが、前に書いたように今年の年末は駆け込み更新やめるぞという強い意志とともにこの期間も更新していきたいと思います。

ということで今回の映画。
このときもマイリスから選ぶのはなんとなく気が向かず、配信終了が近いものから選んだんですが…。

その女諜報員 アレックス

Momentum
監督

スティーブン・カンパネッリ

脚本

アダム・マーカス
デブラ・サリヴァン

出演

オルガ・キュリレンコ
ジェームズ・ピュアフォイ
モーガン・フリーマン
リー=アン・サマーズ
コリン・モス
シェリー・ニコール
リチャード・ロシアン
フロムラ・ダンダーラ
グレッグ・クリーク
カール・タニング

音楽

ロラン・エケン

公開

2015年10月16日 アメリカ

上映時間

96分

製作国

アメリカ

視聴環境

U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

その女諜報員 アレックス

オルガ・キュリレンコ以外に観るべきポイントがない。

4.5
銀行強盗で悪徳議員が取り戻したいUSBを手にしてしまった元諜報員が執拗に追われる
  • 元恋人に誘われ銀行強盗に成功するも余計なものまで盗んでしまう
  • 仲間が次々と手にかけられる中、逃げつつも果敢に立ち向かう主人公
  • 全体的にかなり厳しい作りの上に続編ありき臭い終わり方なのでスッキリすることすら許されない
  • オルガ・キュリレンコの美貌だけで保たせるしょっぱい映画

あらすじ

「そろそろこういう映画避けたほうがいい気がする…」と思いつつオルガ・キュリレンコ見たさに観てみたところ嫌な予感が的中、久々にしょうもない映画を観た感に包まれました。

オープニングは銀行強盗。なんか無駄にハイテク感漂う全身スーツに身を包んだ4人が仕事にあたり、無事ダイヤは盗み出しますが途中で揉め、撃ち合いに。
片方は死亡、片方は顎に傷を残した上にマスクが取れて面バレ、オルガ・キュリレンコです。もうこの時点で美人すぎてすぐ見つかりそうなんですけど。
とりあえず残った3人は逃げおおせて解散となり、早めに海外逃亡するぞということでリーダー格のアレックス(オルガ・キュリレンコ)はホテルで元カレのフラー(コリン・モス)と合流したところで別の女性がやってきて「他の女を呼ぶなんて大したタマね」的にチクリと言いつつ隠れるアレックス。
その後入ってきた女性は別の男たちに脅されていた例のパターンでドヤドヤと入ってきた面々に「USBはどこだ」と脅されるフラー。そう、アレックスたちはダイヤと一緒に保管されていたUSBメモリまで盗んでしまった模様です。
知らぬ存ぜぬを突き通し、アレックスの存在も隠したままあえなく殺されてしまったフラー。
アレックスは銃を手に敵のリーダー格であるワシントン(ジェームズ・ピュアフォイ)に反撃開始を目論みますが例によって弾切れのため、逆に「目撃者だ!」と追われることに。
下着の上にホテルのローブだけ羽織ったサービス感丸出しのアレックスは裸足のまま逃げますが、果たしてどうなるんでしょうか。

最初から不安

いろいろと突っ込みたくなるポイントが多い映画だったんですが、まず最初に邦題。
この邦題自体は(内容次第では)アリだと思うんですが、とりあえずアレックスは別に諜報員じゃないんですよね。元CIAらしいんですが。それも判明するのはかなり後半です。
最初は銀行強盗のリーダーでしかないし、「只者ではない」感はあるもののあまり諜報員感はないのでまずこのタイトルがどうやねん、というお話です。
正直その最初の銀行強盗シーンも(もっと言えばタイトルやキャストの文字の入れ方も)結構安っぽくて、とても10年前の映画とは思えない雰囲気だったので開始早々に嫌な予感はしていました。今どき立体金属風フォントて…。
銀行強盗シーンも強盗たち(要は主人公他)もあまりプロっぽくない振る舞いで素人臭いし、やけに煽るような動きの大きい映像も微妙に感じられて「これ大丈夫か…?」と不安しかないスタート。
自分が特段こだわらないスタイルの人間であればここで別の映画にしていました。確実に。
ただ僕はいつからか「一旦再生を開始した映画は絶対に(別日になっても)最後まで観ないといけない」ルールを課しているので続けて観ることにしただけです。
余談ですがこれは「映画に真摯に向き合うぞ」みたいな高尚な意味合いではなく、単純に「最初つまらないから他を、ってやってたら永遠に観たい映画が見つからない状態に陥りかねない」からです。配信サービスが流行りだしてからそう決めました。選択肢が多いとそういう自己ルールを課さないとダメだな、って。

さて、そんな安っぽいオープニングを経て陰謀巻き込まれ系逃走女子と化すオルガ・キュリレンコの映画ですが、基本的には逃げる→裏をかこうと反撃の繰り返しで、反撃能力の高さから「この女、只者じゃないッ…!」みたいな感じでその謎めいた正体に焦点が当たりつつ話が進んでいくよ、と。
で、キャストを見てくださいよ。いるでしょモーガン・フリーマンが。言わずと知れたビッグネームですよ。
彼は今回悪役で、アレックスを追い詰めるワシントンを雇っている上院議員です。
おお、悪役のモーガン・フリーマン久しぶりな気がする…と観ていたわけですが、これがまあびっくりするぐらいショボい役なんですよね。
メインの悪役は“現場”でアレックスと対峙するワシントンの方でモーガン・フリーマンは登場時間も少ないし、一応巨大な陰謀を画策しているんですがその話もちょろっと終盤出てくるだけで本筋ではありません。
ここまでモーガン・フリーマンの無駄遣いを観るのは「ハイ・クライムズ」以来ですね。あの映画ももはや内容はまったく覚えていませんがモーガン・フリーマンの無駄遣いだったことだけは覚えています。あと「チェーン・リアクション」もひどかった。ひどかった記憶がある。(内容は覚えていない)
かと言ってじゃあワシントンはいいのか、と言ったところで彼もまたわかりやすく鼻につくタイプの悪役で、悪役としてはもちろん成立しているんですが特段優れているような描写もなく手下をこき使うだけの嫌味な男で魅力がない。なので惹きつけられない。
ご都合主義的な展開も多く悪役も魅力がない…と来ればもうオルガ・キュリレンコで目の保養をする以外にないわけで、マジで「それしかない」映画だったなと思います。もう本当にびっくりするぐらい何もなかった。
このレベルだと(悪い意味で)相当話題になっているか、キャストが地味で目につかないかの二択であることが多いと思うんですが、まさかのオルガ・キュリレンコ×モーガン・フリーマンというちゃんとした客寄せパンダを用いられたおかげで日の目を見たもののこれを見た人間はもう二度と太陽を浴びることができない…みたいなね。明日の太陽を拝めると思うなよ…みたいな。
それぐらいひどかったんですよ。もう。
せめて最後がちゃんとしていれば…とコンドームぐらい薄い期待を持って観ていたんですが最後も明らかに続編ありきな形で消化不良に終わっていきます。そして10年以上経った今に至るまで続編はないよ、と。
まあ軽く調べたところ相当コケたようなので続編なんて作れたものじゃないのも事実でしょうが、それ以前にこの話の程度では(多少ヒットしていたとしても)作れるはずもなく、持って行き場のないやるせなさに包まれました。
なんて言うんですかね…「俺は続編を作るぞ」と決めてかかって作ったというよりは「まとまらないから続編でオナシャス」でごまかして問題先送りにしてなんとなく(脚本を)終わらせた、締切間際の三流作家みたいな匂いのする終わり方だったのでそこでまた一気にガッカリさせられましたね。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが…でも本当に「これはないなぁ」と暗い気持ちにさせられたので…。

震えて待て

まあ配信とは言えこちらも時間を使ってちゃんと観ているだけに、ダメな映画には文句の一つも言わせてくださいよということでね。一つじゃないだろと言われそうですが。
個人的に好きなこともあってオルガ・キュリレンコは身体も張って素晴らしかったのでこの程度で済んでいますが、主演がもっとレベルの低い人だったらもっと評価は低くしていたと思います。
最近自分でもだいぶ寛容になってきたと思っていたところにこれですからね。まだ見ぬ箸にも棒にもかからない映画はごまんとあるぞと。震えて待て、と言ったところでしょうか。
ただ最初に予感がしていたように、なんとなく察せられるようになってきたような気がしないでもないので、今後はもう少し精度高く選んでいきたい所存です。よろしくどうぞ。

その女諜報員 ネタバレックス

いくつか気になった点を。

  • あえて捕まった的なことを言いつつそうでもない感じの捕まり方

終盤「このために捕まったのよ」とドヤってましたが完全に「いると予想してなかった三人目に殴られて捕まって」ましたよね!?
それを言うならあの男(拷問も担当していた男)が味方でした、とか無いとダメでしょ。

  • 傷を隠す努力しなさいよ

強盗犯として傷持ちがオープンになったのに何一つ隠す素振りを見せないのは細かいところですが良くない。そういうところに雑さが現れるんだぞと。
髪色と目の色(カラコン)は変えたくせに傷はそのままっておかしくない!?
絆創膏とかは目立つしメタ的にはオルガ・キュリレンコの素材を隠しちゃうから良くないのはわかります。なので「メイクで目立たなくしようとする」シーンぐらいあっても良かったと思うんですよね。
最後に飛行機の搭乗口でやたら見られてましたが、あのシーンで傷側を相手に向けてるのもおかしいだろと思いました。傷をそのまま放置してるなら反対側の顔を向けるんじゃないの、普通。

  • 元カレとその妻との関係性を描きたいならもうちょっと元カレ感出したほうがいい

オープニングで死んだ元カレのフラーですが、軽く「昔はいい感じだった」的な関係性を見せつつアレックスはあんまり未練がましいところがないので大した情報ではなさそうだな…と思ったらフラーの妻が出てきて結構びっくり。
その辺の人間関係を描くのであればもうちょっとフラーとのつながりを強く見せたほうが良かったと思うんですよね。殺された悲劇も際立つし。
割と「昔の男が今はちょっと鬱陶しい」ぐらいの感じだったので、主人公にとってそんなに重要ではないのであれば協力者は別にフラーの妻で無くて良かったでしょう。

  • 女の首の件が不自然すぎる。切れてたはずもないし切る時間もないし

結局最後に自分の身代わりとして使用した「フラーが呼んで殺された女」の首ですが、あの状況(敵地に乗り込んで敵も普通に動ける状態)で首を切るだけの時間があるはずもなく、かと言ってご丁寧に切っておいてくれたはずもなくでかなり疑問。
シーンとしてはいきなり普通によっと拾い上げてバックに入れていたので「切れていた」ように見えましたが、どう考えても敵側がそんなことをするメリットが無いし、あれはおそらく尺の都合とかで首を切るシーンをカットしたんじゃないか…と思うんですよね。あまりにも不自然だったから。
かと言ってカットする時間も無いはずだし…と堂々巡りです。この設定は本当にひどい。もうちょっとうまくやってくれよ。
これやるなら間違いなくあの女性が殺されるシーンで「首が切られるような殺され方をした」にするしかないと思うんですが、それもしない。銃で撃たれて終わり。
先を見越してその設定を用意したのであればそれぐらい考えてほしいんですが…。
あとはもうまさかのマジックカットしかないですよ。首のマジックカット。首のどこからでも手で切れます、みたいな。

  • マッカーサー何だったんだよ問題

やたら大物っぽく「マッカーサーを呼ぶぞ」とかやっといて最後に出てきた彼ですが、その存在もいまいち良くわかりません。
まあこれはおそらく幻の次回作でメインの悪役をやる予定だったのかな、と思いますが…。
あとこれも終盤になって急に謎の団体名…SBCだっけ? Bluetoothのコーデックかな? も出てきましたけどあれもなんだったかわからず、あの辺の雑さもいまいち感につながっているのは間違いないでしょう。
今調べたらBACでした。惜しい。

このシーンがイイ!

まあベタですが「子どもが見てるわよ」のところですかね…そうなるだろうと思いつつかっこいいなと。
あとはやっぱり散々イキって「フラグが過ぎますわよ!」とドキドキさせてくれた安っぽいお仲間に乾杯。もはや今となってはあそこまであからさまなフラグもなかなか観られないのでここは良かったです。

ココが○

まあオルガ・キュリレンコでしょうね…。しかないというか…。
さすがにアクションは似合うし、「かっこいい女性」としての完成度が高い。

ココが×

もう散々書いたので繰り返すのもアレですが、結局脚本がダメすぎることでしょう。
ぶっちゃけ観る必要がないレベルにしょっぱい映画だったので、観たことがない人もネタバレ項を参考にいかにひどいかを味わってください。こっちのほうが幾分安上がりです。

MVA

まあ…一択ですね。

オルガ・キュリレンコ(アレックス・ファラデー役)

主人公。あんまり容赦がないところが良かったです。
元CIAはいいとして、そもそもなんで銀行強盗なんかやってるのかの背景ももう少し詳しく知りたいところでしたが…まあ今となってはどうでもいいです。
ゲスい感想ですがちょっとしたサービスシーンもあり、文字通り身体を張って奮闘していたので彼女にとっては逆にこんな映画で気の毒でなりません。
もっと良い映画でこういう役がやれたらよかったのにね…。
彼女はなにげに「ジョニー・イングリッシュ」にも出てくる節操の無さが好きです。こんなしょうもない映画で眉間にシワ寄せてるならまたああいうお気楽な映画で見たいですね…。

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