映画レビュー1447 『10 クローバーフィールド・レーン』
前作(HAKAISHA)があまり好きではなかったんですが、これは予告編の段階でちょっと面白そうだなと気になっていたので配信終了が迫ってきたタイミングでせっかくだし観るか、となりました。
10 クローバーフィールド・レーン
ダン・トラクテンバーグ
デイミアン・チャゼル
マット・ストゥーケン
ジョシュ・キャンベル
2016年3月11日 アメリカ
103分
アメリカ
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)
予告編、観なきゃよかった。
- 交通事故後に目覚めると監禁されていて、「外に出ると死ぬ」と言われるも不信感を募らせる
- 監禁主がいかにも怪しいし胡散臭いので逃げ出すタイミングを見計らうが…?
- 人間不信のサスペンスにするのかクリーチャー系にするのかどっちかにしろ
- メアリー・エリザベス・ウィンステッドがかわいいのが救い
あらすじ
あんまり評判がよろしく無いのも承知の上で、ハードルが下がった状態で観たんですがそれでも微妙だなという結論。ただこれは宣伝の下手さが大いに関わっているのでは、という話を後でします。
婚約者のベンと喧嘩して家を飛び出したミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は運転中の車が追突され、気絶。
目が覚めると足に大怪我を負っていた上に地下室から出られないように監禁されていて、もがいているところにボリューミーな男性・ハワード(ジョン・グッドマン)が現れ「外の世界は何者かに襲撃され、有害物質で汚染された」と言われます。
当然そんなことは信じられないミシェルですが、なんやかんやした後に部屋を出ると若い男性・エメット(ジョン・ギャラガー・Jr)がいて、ハワードの言うことは本当だと言ってきます。
とは言え「そうですか、じゃあしばらくお世話になります」なんてことにはならないわけで、隙を見て逃げ出そうとするミシェルですが…あとはご覧ください。
ネタバレになりますが公式でもネタバレしているので許してください
ということでもう半分以上ネタバレになっちゃうんですが、それもそもそも予告編の時点でそうだったじゃねーか、ってことで今回は特例として許してください。ポスターとかジャケットもそうだし。でも気になる方は読まないでね♡
そもそも今回この映画を観ようと思ったのは、予告編で「おっ、なんかでかいやつに襲われる系かな?」と思ったのを覚えていたので「クリーチャー的なやつがグイグイ来るやつ観たい!」気分もあってチョイスしたわけですよ。
そしたらクリーチャー出てくるの超終盤でやんの。三国志で言うと姜維みたいな感じ。
序盤〜終盤までは「絶対怪しい、嘘ついてるだろこのおっさん」の不信感で進めていく人間サスペンス的な物語になっていて、それはそれで結構悪くなかったんですがこっちはもう事前に「外に出るとなんかすごいのがいる」ことを予告編で知らされちゃってるので、いつまで室内でウダウダやってるんだろう…という飽きの方が先に来ちゃう感じでどうにも残念でした。
この内容で行くなら絶対に「外の話」は予告編なりジャケットなりで見せちゃいけないと思うんですよね。絶対に。
逆に見せちゃうんだったらもっと早くそっちの話に移行するべきだと思うんですよ。
なんか最後にチラッと出てきて急にヒロイン感ゴリ押しだしてエンディングを迎える、っていう。ラスト10分ぐらいで急に話が変わるんですよね。かなり雑に。雑すぎて笑っちゃうぐらい雑でした。
もうなんなの!? 何がしたいんだよ!! とかなりイライラ。それやりたいならこうじゃねーだろ感がすごい。
ハワードの怪しさに関しても、結構語られないことも多くて「アレなんだったんだ」がそこそこあります。
それはそれでサスペンス的に問題とも言い切れないんですが、なにせ最後急展開するだけに余計に「アレなんだったんだいらねーだろ」と思ってしまう側面もあり、全編通してもうちょっと芯のある作りにしてほしかったというか。
設定も閉塞感のある舞台も演者(ジョン・グッドマンは名優です)も揃っているのに、予告編で終盤の重要な要素を見せてしまっているのとその部分があまりにも短いのとが相まって「それしたいならそうじゃねーだろ」感がすごかったですね。
大部分の時間を費やした人間不信的な話で行くならオチの方向性が違うし、オチの方向で行きたいなら手前のドラマが濃すぎる。すごくチグハグな映画でした。
ラストシーンについても「えっ、あれで!?」と違和感がすごく、最後の雑さは本当にひどかったですね。久しぶりに(悪い意味で)やられたな、と悲しみに包まれました。
予告編マッチポンプ
ということであとはもう観たかったら観れば、ってところです。
まったくまっさらな状態で観れば多分もうちょっと楽しめたんだろうと思いますが、興味を持った予告編によって期待を膨らませられ同じ予告編によってがっかりさせられる、という予告編マッチポンプが味わえる映画ですね。
ちなみに舞台が同じなだけで、これだけ観ても問題がないぐらいに前作とのつながりはほぼないんですが、ミシェルが家を出る原因となった彼氏・ベンは前作で「電話してるけどつながらない」人として出てきていたそうです。全然覚えていません。ありがとうございました。
このシーンがイイ!
特に無いかなぁ…。
あ、でも途中おばちゃんが「助けろー!」って来るところは良かったですね。
ココが○
まとめ方が雑すぎて不満だったので、終盤までは悪くないです。
加えて男2人+若い美人の構図なものの、色恋とかセックス系に行かなかったのは評価できます。それがあったらもっとひどい映画になっていたでしょう。
ココが×
予告編の作りのひどさを置いておけば、結局ラストの雑さがすべてかな、と。
もうちょっとまともな最後だったら全然違った気がする。っていうかクリーチャー的要素いらなかったでしょ絶対。
MVA
あまり良くなかった×思いの外かわいかった主演、ってことでメアリー・エリザベス・ウィンステッドにしたいところですが、やっぱりこちらの方でしょう。
ジョン・グッドマン(ハワード役)
シェルターを支配する男性。いろいろおかしい。
ただそのおかしい雰囲気の出し方がさすが。絶対一緒に暮らしたくない系。
にこやかないい人も似合う俳優さんだけどこっち系も良い。体がデカい、っていうのも単純に逃げづらくなる心理を生んでいそうで、その意味でも良いキャスティングだと思います。