映画レビュー1139 『’96』

今回もJAIHOより。インド映画ですがガチの恋愛映画として評価が高かったので観てみました。

’96

’96
監督

C・プレーム・クマール

脚本

C・プレーム・クマール

出演

ヴィジャイ・セードゥパティ
トリシャー・クリシュナン
アーディティ
ヤ・バースカル
ガウリ・G・キシャン
ジャナガラージ

音楽

ゴーヴィンド・ヴァサンタ

公開

2018年10月4日 インド

上映時間

158分

製作国

インド

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

'96

切ねぇ…なんも言えねぇ…。

8.0
学生時代に両思いのまま離れ離れになってしまった幼馴染と20年ぶりに再会
  • ノリで開催した同窓会に学生時代の“思い出の人”がやって来る
  • 双方ずっと心に思っていた相手と再会し、動揺しつつも“半日デート”
  • 「あのとき」の答え合わせの切なさたるや…
  • 結果、なんも言えねぇ

あらすじ

やや長めなのはインド映画らしくはありますが、いつもの歌って踊って陽気なインド的な感じではなく、歌は登場するものの普通に劇伴として流れる程度で、比較的インド色薄めの映画でした。風習とかはインドなんだけど。

主人公のラーム(ヴィジャイ・セードゥパティ)は旅行カメラマン(風景写真家みたいなものでしょうか)で、二桁を超える生徒たちに写真についての講義をしていたりするそれなりに著名なカメラマンのようです。

ある日ひょんなことから地元の前を通ることになった彼は、懐かしさから母校へ立ち寄り、勢いで当時よくつるんでいた友達に連絡。それがあれよあれよと広がって、「1996年卒業組で同窓会を開こう」とトントン拍子に計画が進みます。

やってきた同窓会の日、20年ぶりの再会にワイワイ盛り上がる面々ですが、遅れて来る一人の女子の名前を聞いたラームは一気に挙動不審に。

その女子の名はジャーヌ(トリシャー・クリシュナン)。ラームはジャーヌと幼馴染で長くともに学びつつ、お互いの存在を意識し、そして「いやさっさと付き合えよ」的な関係として甘酸っぱい思い出を育んでいたものの、突如として別れが訪れ、それ以来会っていないとのこと。

果たして二人の再会はどのようなものになるんでしょうか。

思いの詰まった半日デート

インドの学校事情はよくわからないんですが、10年生だのなんだの言っていたのでおそらく日本で言う小中高の一貫校みたいな感じなんでしょうか。たぶん。

細かいことを書くと、「20年ぶりの同窓会」と言うのは当然卒業以来20年ぶり(なので日本と同じとすると38歳ぐらい?)なわけですが、実はラームはその2年前にクラスから離れてしまったために実際は22年ぶりの再会と言うことになります。

その辺り詳しく掘り下げちゃうと興を削ぐのでやめておきますが、まあそれだけ長いこと引きずっていた「初恋モノ」と言う感じでしょうか。

同窓会にやってきたジャーヌは今はシンガポール在住なんですが、飛行機の都合上翌日早朝にインドを後にしなければならず、同窓会が終わった後はホテルに帰って寝るだけ、と言うスケジュール感。

しかし当然「じゃあおやすみー」で翌朝グッバイでは映画にならないのでそう言うわけにはいきません。なんやかんやあった挙げ句、ラームとジャーヌはインドでの夜をともに過ごすことになります。それがたった半日の“デート”。何が起こるかはお楽しみ。

物語は、学生時代の思い出をインド映画らしい結構なボリュームで見せつつ、現在の二人の姿を追っていきます。印象としては半々に近いぐらい過去のシーンも長く取っていて、その分そのまま長いなと感じる面はありますが、それだけ丁寧でもあるのでより現在の思いを強く受け取る形にもなります。

過去何があり、二人とも何が引っかかっていたのか、そしてどう思っていたのかの答え合わせをしていくことになりますが、それがまあ…なんとも切ない。どっちも悪くないのに、どっちも望む形にはならなかった青春時代、そしてそれを引きずる現在が…切ない。切ないとしか言えない。

ちょっと「ニュー・シネマ・パラダイス」っぽさも感じましたね。完全版の方のね。これもまたあんまりあれこれ言えませんけども。

インド映画の幅広さを知る

この手の話はもう観ていただくしかないので、もうあとは観てくれよって話なんですが、まあさすがにインドでもかなりヒットしただけあって良い映画でした。

ごくごく単純な話ですが、インド映画=歌と踊り(もしくはすごい王)だけ、じゃないんだぞと改めて感じさせるような。情感豊かな映画を作るなぁと改めて感心させられました。

僕もねー、割と過去を引きずるタイプなので、ラームの気持ちはよくわかるしそれだけに結構感情を揺さぶられる面がありましたね…。自分の場合は「引きずってるのは自分だけ」だったのでそこはラームとは違うんですが、しかし逆に相手も引きずっていたらなおさらキツい気がするし、それを考えると本当に色々思うところがあるわけですよ。

すごく下世話な話をすれば、(おそらく)38ぐらいになってくると性的にも全盛期は過ぎているわけで、もっと若い頃にウハウハしたかったじゃん、とか。

本当に下世話な考えですが、でも「若く一番良い時期に本当に好きな人と一緒にいたい」って言うのは自然だし責められることでもないわけで、そういう余計なことも考えながら溜息をついちゃうようなお話でした。

結構自分の身に置き換えてグッと来ちゃう、感情移入しちゃう人も多いと思うので、これまた観る機会があったらぜひ観ていただきたいところ。良い映画でした。

'ネタバレ

アポストロフィーネタバレ。無理矢理なタイトルです。

まあ誰もが思うところであり、そう考えながら観ると思いますが、やっぱりこの映画は最後まで純愛を貫くところがポイントなんでしょう。セックスはおろか、キスすらしない。あれだけ思い合ってるのに。

それはジャーヌが結婚しているからだろうし、そこがまあなんとももどかしいですよね…。いやハリウッド映画なら結婚してようが絶対セックスしてるだろうけども…。

しかもラーム、童貞ですよ!? 童貞判明したからもしかしたらワンチャン卒業セックスあるのかなと思いましたが、最後まで無し。そこが良いんですけどね。この映画はセックスしちゃったら多分誰もが評価下げちゃうでしょう。

最後もキスぐらいするのかと思ったら涙でお別れ。めちゃくちゃ切ない…。でもそれがこの映画の正解なのも確か。読めるんだけど、そのまま通してくれてありがとうと言う感じ。

まさかここに来て「思い出トランク」に品物が追加されるとは…。あの服返しに行ってワンチャン…! っていうのもよぎったんですがそうしないのがラームなんでしょうね。これまた切ねぇ…。

ラームはきっと一生童貞で生きて行くんだろうなぁ…。あの品物追加が無ければこれで区切って新しく、みたいなのもアリかと思ったけど、ありゃ絶対一生抱えて生きていくタイプですよ…。それがまたとんでもなく切ない。

しかしこのあと生徒に「奥さん元気ですか?」的なこと聞かれたらどうするんだろ…。自分だったら泣いちゃうかもしれない。そこがまたつらいし切ないよね…。

このシーンがイイ!

きっと満場一致だと思いますが、二人でいるときに生徒と鉢合わせるシーン。もうこれほど切ないシーンはない。めちゃくちゃやられましたよ…。「(500)日のサマー」を思い出しますね…。

ココが○

素直なストーリーのようで、意外と過去の話を紐解いていくとわかることがチラホラあって、仕掛けの作り方がすごく上手い話だと思います。

ひねってないのにひねりが効いてる、みたいな。お上手です。

ココが×

ややラームの挙動不審感が大げさかなーと言う気はしましたが、ただ彼の属性を考えればそれも仕方がないのかもしれないと思いつつ。

もはやここまで来ると当人にしかわからない、どうしようもないほど深い思いがあるはずなので、そうなってくると受け手が不自然に感じるのもおこがましいと言うか、「じゃあお前やってみろよ」って話なのかもしれません。そしたら実際こうなるだろ、みたいな。

まあラームはそれだけ純粋、ってことなんでしょうね。だから良いとも言えます。

MVA

なんでもラーム役のヴィジャイ・セードゥパティは野生派スターとして有名だそうで、今までのイメージとはまったく違った今作の役には賞賛が寄せられたそうです。

イメージ的にはステイサムがやる感じでしょうか。いや似合わなすぎだろ。

ただ彼は(良かったですが)少しオーバーかなと言う気もしたので、こちらの方に。

トリシャー・クリシュナン(大人ジャーヌ役)

子供ジャーヌもかわいかったですが、大人ジャーヌの素敵さには勝てません。

今年はインド女優のレベルの高さを思い知る一年だなと思いますね。みなさん本当に綺麗で魅力的。

今まで南アジアの女性にはそこまで魅力を感じていなかったんですが、完全に考えを改めさせられました。本当に美人で表情も豊かで素晴らしかったです。

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