映画レビュー1353 『男たちの挽歌』

いつか観たいと思っていた一本。一切再生した記憶はないんですが、JAIHOの「鑑賞中の映画」にずっと残っていて再配信が来たタイミングで観てみました。

男たちの挽歌

A Better Tomorrow
監督
脚本

ジョン・ウー

出演

チョウ・ユンファ
ティ・ロン
レスリー・チャン
エミリー・チュウ
レイ・チーホン
ケネス・ツァン

音楽

ジョセフ・クー

公開

1986年8月2日 香港

上映時間

95分

製作国

香港

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

男たちの挽歌

期待ほどではなかったものの…。

7.0
愛憎渦巻く任侠道
  • マフィア幹部が仁義を貫いて罪をかぶり服役するも出所後すべてが変わっていた
  • 相棒も落ちぶれ、カタギになろうにも過去がつきまとう
  • 記念すべき「香港ノワール」を生み出した一作
  • どう見てもチョウ・ユンファが劇団ひとり

あらすじ

正直あんまりハマらなかったんですが、それまでの香港映画の流れと製作に至った文脈を知るとこれはなかなかいい映画だなと思います。名が売れているのも伊達じゃない。

とある犯罪組織の幹部であるホー(ティ・ロン)とマーク(チョウ・ユンファ)は偽札を使ったビジネスで順調に稼ぎ、組織内でも一目置かれる存在です。

しかしホーの実弟キット(レスリー・チャン)は尊敬する兄が犯罪者であることを知らず、警察を目指すとキラキラした目で言ってきたのでホーは足を洗おうと決め、次の仕事を最後の取引にするぜと向かいます。

だが…!

「これを最後に足を洗おう」は万国共通古今東西フラグにしかならないため、当然のように警察に追われることとなり、やむなくホーは見習いの弟分であるシン(レイ・チーホン)を逃がし、自分だけ捕まる道を選ぶのでした。

3年後、出所したホーは組織から離れカタギとして生きようと決めますが、警察官になったキットは兄の前科によって出世の道を絶たれ、また兄のせいで父が殺されたことを恨み、迎えに来た兄を殴る蹴るの暴行。それ前科にならないの?

すべてを失ったホーですが、弟との和解を願ってタクシー運転手として真面目に生きていこうとしますが…どうなる!

話としては普通だけど

上記あらすじは結構中盤ぐらいまでは書いちゃってるんですが、“お楽しみ”は伏せてあるので許しておくんなましということで。

ちなみにその方がわかりやすいので「マフィア」とか「犯罪組織」とか書いてますが、実際は「三合会」という香港の犯罪組織ネットワークが舞台だそうです。でも「三合会幹部」って言われてもわかんないじゃん? みたいな。Wikipediaによると「(秘密)結社」が近いニュアンスのようですね。

また同じくWikipediaより引用しますが、この映画はコメディ映画(まさにMr.Boo! 的な)やカンフー映画が主流だった香港映画界に新たな「香港ノワール」という潮流を作り出した記念碑的な作品、とのことでなるほど納得確かにノワールっぽい。

というかジョン・ウーがこの手の映画を撮ると自動的にノワールっぽくなる、みたいな。多分ジョン・ウーが好きな作りがノワールなんでしょうね。スローモーションでハードでボイルドで、みたいなさ。(ノワールをよく理解していない人間のコメント)

話として特に大きく問題点があるわけでもないんですが、まあ割と(今となっては)ありきたりなバディモノの流れを汲んだ話でもあるし、物珍しさを求めるならこの映画じゃないよね、と己を諌めたくなるようなお話ではありました。

また「男」を押し出してかっこよさげにしてはいるものの、最終的なやり方には少々同意できない面もあり(そもそもワルだしね)、その辺りでちょっと乗り切れない感じもありました。そんなわけで映画としてはなんとも煮えきらない、悪くないけど良くもない…みたいな微妙なポジションに落ち着きます。

ただ、これまたWikipediaソースで申し訳ないんですが、この映画が制作に至った経緯として「独自路線を突き進んだせいで香港映画界を追われてしまったジョン・ウーとティ・ロンが不遇の生活を送っていたところに、友人のツイ・ハークがもう一回香港でやろうぜと香港映画界に呼び戻した」というエピソードがあるらしく、実はその話が男たちの挽歌じゃねーのか、という。いい話ですね。ちなみにツイ・ハークはオーディションの審査員的なチョイ役で出てきます。

そういう経緯で作られた映画が香港映画界に新たな潮流を生み出した、というのはなかなか面白い話でもあるし、その制作秘話自体を映画にしても面白そう。

香港映画を語る上では外せない的なアレ

結構観てから時間が経ってしまったこともあり、あまり他に語ることもなく…まあ話は本当にどこかで観たような話ですよ。それがこの映画以降のものの可能性もあるのであんまり腐すこともできないんですけどね。

ただ上記のエピソード含め歴史的な経緯も興味深いものでもあるし、香港映画に詳しくなりたい勢には避けて通れない一本なのも間違いないでしょう。

続きもいくつか作られてはいますが…今のところ観る予定はありません。そもそも自分が多分こういう「熱い漢たち」みたいな話に親和性が無い気がする。

友情話はコメディタッチになるとかなり好きなんですけどね。ノワールになっちゃうとよほど良くない限りは…それこそ「L.A.コンフィデンシャル」ぐらいになると別なんですが。

このシーンがイイ!

まあ一番重要なシーンなので当然ですが、ピークの場面での決断は「いいぞ!」ってなりましたね。

ココが○

やっぱり男の友情、でしょうか。

ココが×

正直弟くんがあんまり演技上手に思えず、そこが結構残念でした。調べるとアイドル俳優みたいなポジションだったみたいなんですが、しかし若くして自死されているそうで…それを聞くとあんまり文句を言うのも酷な気はするんですが…。

MVA

そんなに「この人良かったな!」っていうのもなかったので、まあ無難に。

チョウ・ユンファ(マーク役)

主人公の一人でホーの相棒。

熱い男感がこの映画を体現していたような気がするとかいう噂です。かなりのスターですが実生活は庶民派で、死後は財産を99%寄付すると言っているとかでこれまた御本人も熱いお方っぽくてその辺がにじみ出ていたのかな、とか。

ただ申し訳ないんだけど何回観ても劇団ひとりにしか見えなかった。似過ぎでしょ!? 「イップ・マン」に出てきたトミーズ雅に次ぐぐらいのそっくり感が一番の衝撃でしたよ。

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