映画レビュー1039 『僕のワンダフル・ジャーニー』

ある日「僕のワンダフル・ライフ」の続編がアマプラにあるよと噂を耳にしたもんで、じゃあ期間限定加入中に観ておかないとってことで観ました。

例によってどうしても前作のネタバレに言及する形になるので、まだ前作を観ていない方はご注意ください。

僕のワンダフル・ジャーニー

A Dog’s Journey
監督

ゲイル・マンキューソ

脚本

W・ブルース・キャメロン
キャサリン・ミション
マヤ・フォーブス
ウォレス・ウォロダースキー

原作

『A Dog’s Journey』
W・ブルース・キャメロン

出演

ジョシュ・ギャッド
デニス・クエイド
マーグ・ヘルゲンバーガー
キャスリン・プレスコット
ベティ・ギルピン
ヘンリー・ロウ
アビー・ライダー・フォートソン
ジェイク・マンリー

音楽

マーク・アイシャム
エミリー・ベア

公開

2019年5月17日 アメリカ

上映時間

108分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(PS4・TV)

僕のワンダフル・ジャーニー

犬よりも人にフォーカスしたお話。

7.0
引き続き転生を繰り返す“ベイリー”、今度は孫娘を守るぞの巻
  • 今際の際にイーサンに「孫娘を頼む」と言われたベイリー、以降それをミッションに転生
  • 前作よりも人間関係の描写に重きが置かれ、主人公でありながらベイリーは脇役
  • 個別の家族にフォーカスしているため前作のような犬好きへの癒やしに欠け、普通の物語に
  • でも泣く

あらすじ

前作はレビューに書いたように「犬を飼っていた人にとっての救済」になり得る秀逸な物語だったと思いますが、今作はその設定を引き継ぎながら普通の家族おまとめ物語になってしまった印象で、悪くはないものの…前作ほどの「他にない価値」のようなものは感じられなかったのが残念です。

ということで引き続き、再会したイーサン家で暮らすベイリー(このあとも名前は変わりますが前作同様便宜上ベイリーと呼びます)。今回は家族構成に変化がありまして、飼い主であるイーサン(デニス・クエイド)と再会して結婚したハンナ(マーグ・ヘルゲンバーガー)の老夫婦に加え、ハンナの(おそらく前夫との間の)子供のヘンリー(故人)の妻、グロリア(ベティ・ギルピン)とその娘、クラリティ・ジューン(通称CJ)の4人暮らしになっています。カッコだらけで読みづらくてスミマセンね。イーサンとハンナ夫婦+その義理の娘であるグロリアと娘(イーサン&ハンナの孫)のCJの4人暮らし、ってことです。

ただグロリアとイーサン夫婦は折り合いが悪い…というかグロリアが身勝手なクソマザー的なタイプのために一方的に嫌われているようで、物語開始程なくして彼女は娘のCJを連れて家を出ていってしまいます。

当然孫娘を溺愛しているイーサン夫婦は意気消沈。さらに戻ってきたベイリーもそろそろお別れが近付いてきて二重につらい状況の中、ベイリーの転生を信じているイーサンは彼に「CJを見守ってくれ」と頼み、彼の最期を看取ります。

そして転生したベイリーは、CJとの再会を願ってまたもいろんな犬生を過ごすわけですが…あとはご覧ください。

主人公でありながら脇役犬感

前作が「イーサンとの再会」を目的とした転生だとすれば、今回はその“最愛の飼い主”であるイーサンに託された約束を果たすため「CJを見守る」ことを目的とした転生ということになりますね。ハイ。

「再会できませんでしたー」じゃ映画にならないので当然ながら再会することになるんですが、それにしても近場で転生しすぎじゃないですかね。ベイリー。うちの子も近くで転生してないかなぁ…。

今作もまた前作同様、「人より犬のほうが寿命が短い」特性を活かす形で、ベイリーが何度か転生する間に成長したCJと、当然歳を取って変化が出たであろう彼女の親子関係その他を軸とした人間関係を描きます。

“犬の冒険、壮大な回帰の物語”であった前作と比べると、今作は明らかに“犬は人間の潤滑油”的な至ってフツーのポジショニングに置かれた物語になっていて、一応主人公ではあるものの…正直「大切なペットのおかげで家族が一つになれました」的な物語とあまり大差がないような気がしないでもないのが残念。

ですがもちろん“転生犬”であるからこその感動どころも織り込まれているので、なんだかんだ言いつつ泣いちゃうのもお約束です。

共感の幅が狭い

この辺は多分に「思春期の女子が主人公」のドラマになっちゃった感がそう思わせている面が大きいような気がしますね。

「CJを見守ってくれ」=CJがどんな人生を歩んでいくのかが中心のお話になっちゃうので、色々うまく行かない人生を“ベイリー”がサポートし、幸せを掴めるようにお手伝いします的な。

CJのお話は、正直いろいろ既視感のある内容を継ぎ接ぎしたようなものなので、特段良いぞと思えるような内容では無かったのが悔やまれます。ところどころでベイリーが“転生しているからこそ”の活躍を見せはしますが、それでもやっぱり基本はCJの恋愛やらなんやらなので…前作ほど「犬ー!(涙)」とはなりにくいんじゃないかなと。

また前作もそうでしたが、ファミリー映画ということもあってか全体的にはどうしても普通の話になっちゃうんですよね。裏切りが無いと言うか。

それでも前作は(レビューに書いたように)犬を飼ったことがある人にとっては自分に置き換えられる良さがあって、それ故に「観ている物語が陳腐でもぶっちゃけ関係ない」というか、“犬は転生している”、そのことだけで癒やしがあったわけですよ。

今作ではその転生はおなじみになっちゃってるし、主体が犬から思春期女子に移っちゃったので観客が共感できる幅が狭まってしまっているのが割と致命的というか、あくまで「観客」にしかなれない、自分の身に置き換えられない物語になってしまったことで「なんでそうなったんや」と思わずにはいられません。作り手が前作の(犬好きに対して響いた)良さを理解していなかったのかなぁという…。

こっちが1作目であれば、もしかしたらもう少し良く感じられた可能性はあるんですが、前作の良さを知ってから観ちゃうと残念感の方が勝ってしまい、結果誰もが「前の方が良かったね」と言ってしまうという…ありがち「続編作らなきゃよかった案件」になってしまったような気がしてもったいない。

前作が良かった人はあまり期待しない方が

とか言いながら今IMDb見たら前作より今作の方が若干評価が高いようでびっくり。マジカヨ。

まあ僕はお別れから踏ん切りをつけようと意を決して観たという、少々特殊な環境ではあったので、そこまで傷が生々しくない人たちが観たらまた違うのかもしれないですね。

それでも僕としては今作よりも前作の方が良いと思うし、ぶっちゃけ今作は別に観なくても良いんじゃないかなと思います。もちろんひどく出来が悪いというわけではないので観てみるのは良いと思うんですが、「前作が良かった」という人は過度の期待は禁物かなと。

もしかしたら女性は(CJに自己投影しやすいだろうし)良いと思うのかもしれない。男女で評価が結構変わる可能性はありますね。

このシーンがイイ!

もーまたも定番なんですが、終盤の例のシーンでしょうか。詳しくは書きませんけど。ズルいぜ。

ココが○

犬愛に溢れた映画であることは間違いなく、となると当然犬好きにはたまりません。

ココが×

ただ犬好きにとっては前作とか「HACHI」の方がグッと来るんじゃないかなと…。結局これはCJの映画だからなぁ。

MVA

なんだかんだ言いつつこの人。

キャスリン・プレスコット(CJ役)

大人になったCJ。

なかなかかわいかったな、的な印象しか残ってないんですが。でもまあ実質主人公だし頑張ってましたよ。歌も歌って。

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