映画レビュー1096 『怪物はささやく』

度々で申し訳ありませんが、現在使用しているWebフォントでモリサワの契約が終了することに伴い、結局以前まで使っていた見出しと本文のフォントがどっちも近々使えなくなってしまうとのことで、再度フォントを変更しました。しばらくはこれで落ち着く予定です。

さて、今回はネトフリ終了間際シリーズに戻ります。例によって検索して評判が良さげだったこちら。

怪物はささやく

A Monster Calls
監督
脚本

パトリック・ネス
シヴォーン・ダウド

原作

『怪物はささやく』
パトリック・ネス

出演
音楽
公開

2016年10月7日 スペイン

上映時間

108分

製作国

スペイン・アメリカ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

怪物はささやく

少年成長ダークファンタジーの傑作。

9.0
家庭にも学校にも問題を抱えている少年、謎の“怪物”と出会う
  • 学校ではいじめられっ子、家ではどんどん体調が悪化する母とつらい現実
  • ある日突如出会った“怪物”に、世の不条理を説く物語を聞かされる
  • ファンタジーらしい映像美と儚いストーリーが見事
  • おなじみのキャストでありつつアメリカ映画とは少し違う雰囲気が良い

あらすじ

正直に言うと、この日はかなり集中力を欠いた状況で観てしまい、最終的には「もったいねー! もっとちゃんと観るんだった」と猛省したぐらいに大変良くできた良い映画でございました…申し訳ない。

主人公の少年、コナー(ルイス・マクドゥーガル)は例によっていじめられっ子であり、学校に行けば結構な暴力を振るわれるような状況でのっけからいたたまれません。

家では母(フェリシティー・ジョーンズ)と二人暮らしなんですが、最愛の母も日に日に体調が悪化しているようで、このまま一緒に暮らしていけるのかどうかも怪しいような状況。このまま母の病状が悪化していってしまうと、コナーがあまり好きではない祖母(シガニー・ウィーバー)の元に預けられることになり、そのこともまたコナーにとっては重荷の一つになっているようです。

友達もおらず、母は頼れる状況になく、離婚した父は離れた地に暮らしていて会えない。そんな孤独な状況で精神をすり減らす彼は、ある日突然現れた謎の怪物(リーアム・ニーソン)と出会い、彼から「3つの物語を聞け」と言われます。いきなり。そして、「4つ目は自分の悪夢を語れ」と。いきなり。

コナーは日々、助けようとする母の手を離してしまい助けられなくなる悪夢に悩まされており、その夢について語れと言う怪物。そのことを拒否しつつも怪物が語る物語を聞くコナーは、日々悪化する日常にどう折り合いをつけ、自らの内面に向き合うことになるんでしょうか。

ファンタジーでありつつ現実的

フェリシティー・ジョーンズにリーアム・ニーソン、さらにシガニー・ウィーバーと普通の洋画っぽいキャストの面々ですが、監督は「永遠のこどもたち」のフアン・アントニオ・バヨナ監督ということで、やっぱりちょっとあの映画っぽい、すこーし変わったダークなスペイン映画っぽい雰囲気があります。ちなみにフアン・アントニオ・バヨナ監督と言えば「永遠のこどもたち」だったのが、今作を経て「“怪物はささやく”の監督」になるのは間違いないぐらいによく出来た映画でした。

やはりポイントとなるのは怪物が語る物語で、お姫様とか王子様とか出てくるいかにもなファンタジー物語…のようで内容がすごくリアルであり、現代社会の不条理を感じさせるとても良い内容なんですよね。良いって言っちゃうとアレですが、綺麗事のおとぎ話ではない「少年に世間を教える」かのような物語なのが印象的でした。

ファンタジーと言えど、内容自体は「孤独で満たされない現実社会を乗り越えるべく与えられた試練」のようなものなので、話の内容そのものすべてがファンタジーではない、現実と地続きになっているファンタジーというのが非常に好みでした。「怪物」という象徴的な存在を通し、現実を見る目を変えていく物語と言うか。

おそらくきちんとした考察に則ればまた解釈も変わってくるんだろうと思いますが、表面上だけで見ても、例えば妄想の中に現実との向き合い方を見出すような形も考えられるものだし、決して「ファンタジーだから現実味がない」と言えない内容なのがとても良かったと思いますね。

果たして理解できるかはわかりませんが、それこそ主人公と同じぐらいの年代の子がこの映画を観れば、そこに一つの救いを見出すことができるような気もするし、つらい物語ではあるんですが教育的にも価値のある映画である気がして、これは評判通りなかなか素晴らしい映画なのではないかと思います。

監督には今後も期待

返す返すも集中力が欠けた状態で観てしまったことが悔やまれますが、それでもかなり良い映画であったことは間違いないと感じたぐらい良作だと思います。

こういう映画こそ劇場で観たかったですね…感情移入も高まってかなりグッと来たのではないかと。

フアン・アントニオ・バヨナ監督はなかなか個性的で良い映画を撮ってくれる監督だと感じるので今後も期待。ですがやや寡作傾向にあるので今後もどれだけ観ることができるのか…でもまだ若いし楽しみなのは間違いないですね。

このシーンがイイ!

怪物が聞かせる物語のシーン、アニメーションなんですがその雰囲気がとても良くて好きでした。影絵のような、ファンタジーの気分を盛り上げてくれる雰囲気。

ココが○

少年主人公でありつつも大人が感情移入できる物語になっていて、まるっきり同じような悩みではなくても自分の悩みに投影できそうな、現実に対する向き合い方を改めて考えさせてくれるような懐の深い物語なのが良いですね。

ココが×

やや暗めなので明るい気持ちになりたいぞ、という映画ではないのは確かです。観るタイミングはある程度注意が必要かも。

現在どっぷり現実の厳しさに浸かっている人が観るとより沈む可能性もありますが、逆にここから光明を見出す可能性もあるのでその辺りは自分自身の信頼度によるところでしょうか。

MVA

おなじみの皆さんもおなじみじゃないみなさんも当然良かったわけですが、今回はこの人かな。

フェリシティー・ジョーンズ(エリザベス・クレイトン役)

主人公・コナーのお母さん。病身。

かわいさ満点のフェリシティー・ジョーンズも今作では病弱な母親を熱演。徐々に弱っていく姿が痛々しく、見事な演技でした。

過去のシーンでは当然ながら「いつものフェリシティー・ジョーンズ」でかわいいし、彼女もこういう子持ちの役を演じるようになったのかー、と少し感慨深かったですね。

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