映画レビュー0817 『クワイエット・プレイス』

この前ですね。あのクリス・プラットがですね、車を運転しながら「今すぐその作業を止めてクワイエット・プレイスを観に行くんだ!」と激アツに語っている動画を観たんですよ。本人は出てないくせに。っていうか出てないからこそ、なんでしょうが。

そこまで言われちゃ観るしかねーべや、ということで行ってまいりました。ホラーだけにレイトショーで。

劇場は「オーシャンズ8」以来なので結構久々。

クワイエット・プレイス

A Quiet Place
監督
脚本
ジョン・クラシンスキー
スコット・ベック
ブライアン・ウッズ
原案
スコット・ベック
ブライアン・ウッズ
出演
ジョン・クラシンスキー
ミリセント・シモンズ
ノア・ジュープ
音楽
公開
2018年4月6日 アメリカ
上映時間
95分
製作国
アメリカ
視聴環境
劇場(小さめスクリーン)

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2020年、宇宙からやって来た強力な聴覚を持つ怪物たちによって、人類は滅亡の危機に瀕していた。そんな中、様々な工夫により音を立てずに生き延びていたアボット一家だったが…。

緊張感はピカイチながら、力技が目立つ。

7.0
音を立てたら即死! のはずなんだけど…?
  • 聴覚だけ異常に発達した地球外生命体の襲来によって人類滅亡カウントダウンが迫る世界
  • そんな中で逞しく生き残る一家のサバイバルホラー
  • 「ドント・ブリーズ」のより強烈なやつ
  • とは言え結構ゆるい

ということでね、ご覧の通り「ドント・ブリーズ」の発展版とでも言いましょうか。「声を出したら死んじゃう」のより切実な、家族を巻き込んだサバイバルホラーになっております。

舞台は2020年、“彼ら”がやって来てから87日目だったと思いますが、その辺から物語はスタート。

もうすでに街は閑散としていてかなりの数の人類は“彼ら”に殺られちゃっているような状況と思われます。そんな中、細心の注意で音を立てずに人のいないドラッグストアで必要な物資を調達し、家に帰ろうとするアボット一家。

帰り道、「音が出るから置いていくんだよ」と言われたロケットのおもちゃで遊ぶ一家最年少のビューは見事に彼らに補足されてグッバイ、物語開始早々に「厳しい世界だぜ」とお知らせしてくれます。

その後物語は進んで…彼らが地球にやって来てから1年強が経った頃、いまだに逞しく生き延びていたアボット一家でしたが、お母さんのイヴリン(エミリー・ブラント)はなんと妊娠しております…!

どう考えたってやべぇ、生まれた瞬間オンギャー死にしか見えないハードモードの出産を控え、果たして彼らは無事生き残ることが出来るのか…というお話でございます。

そもそもなんですが、多分誰もが思う話なんだと思うんですけどね。まず「なんで妊娠したんや」って言うのがすごく引っかかるじゃないですか。それはもうものすごく。

いやセックスするなとは言いませんけどね。マグロならさ。ご期待ください、ってなもんですよ。(by 渡哲也)

にしてもちょっと先のことを考えなさすぎじゃねーのっていう最初の設定が結構引っかかっちゃいますよねやっぱり。文字通り「最新の注意を払って」生き延びてきた人たちが、なんで無計画に妊娠するような生活送ってんの、っていう。この時点でもう「ピンチを見せるための逆算」的な設定感が強く、もうちょっと上手く設定作って欲しいよな、と思うわけです。

最悪、奴らが来る前にセックスでしょうよ。どう考えたって。そこはいじれるわけだし。

ビューの一件があって、なんでしょうがそれにしたってやっぱりなんで奴らが来た後に妊娠してんの? バカなの? と思わざるを得ない。

設定の部分で言えば、オープニングは奴らが来てから(確か)87日目、その後飛んで400日前辺りだったと思いますが、普通にその数字いじれば良くない? そこで描写のない日々を300日以上も入れ込む意味がないと思うんですよね。87とか400弱の数字そのものに意味があるんだろうか…。そうじゃないとあらゆる方面からツッコミを食らうだけのような気がするんですよね…。

まあ、そこはひとまず置いておきましょうよ。話進まないしさ。

最初に書いた通り、「ドント・ブリーズの発展版」なので設定としてはかなり似ているだけに、あの映画が面白かった人はそのまま楽しめる映画だと思います。

1つの建物内で一人の人間が相手だった「ドント・ブリーズ」とは違い、(おそらく)世界中に来襲した地球外生命体の驚異から身を守らなければいけない、それだけよりハードモードなお話になっていると言って良いと思うんですが…ただその割にはこれまたちょこちょこと「許される場面」が多く、ややアラが目立つ内容でもあると思います。

おそらくはガッチガチのサバイバルホラーと言うよりも、設定を利用して家族愛を訴えたい内容の映画なんだと思うんですが、良くも悪くも敵が強烈なので、「強烈なのにギリ優しいな!」みたいな温情采配が少々気になる部分がありましたね。

まあこればっかりはしょうがないとも思うんですけどね。主人公が早々に喰われちゃったらどうしようもないし。

ただそれこそ「ドント・ブリーズ」もそうでしたが、僕はギリのところでかわして生き残る温情っぷりがどうしても気になるタイプなだけに、いくら煽りに煽って「ヤバイヨヤバイヨ!!」ってなっても寸前で止まるよな、って読めちゃうのがちょっとつらい。

これ、同じ「ギリかわす」でも、相当シビアな内容であればまだ「おお…助かった」って思えるんですが、この映画は割と途中途中で都合の良いように“音を立てても許される”場面が出てきちゃうゆるさがところどころにあるので、となると「まあ助かるよね」みたいな方に頭が行っちゃうんですよね。もーちょっとドキドキさせて欲しいし、エグいまでの恐怖を感じさせてほしかったな、と思いました。

ただねー、とやかく言いつつも「完全に音を立てたらおしまいです」だと当然ながら映画にならないので、「映画として見せる」意味ではこの辺がギリギリなのかなぁというのもわかるんですよね。なので作り手側としては難しいのもよくわかるんですよ。それだけにあんまりブータレるのもはばかられるんですが。

ただその「お許し」を入れるにしても都合良すぎじゃね? っていう気もして、お許しの差し込み方って言うんですかね。それがもうちょっと上手ければなぁという惜しい気持ちはありました。

設定が強すぎる故にそういったアラが目立っちゃう、気になっちゃう面はあると思います。なんでも続編の話もあるそうなので、その辺りもう一歩ブラッシュアップしてもらえれば嬉しいところ。

と結構厳し目に書いちゃいましたが、とは言え劇場内の緊張感は他で味わったことのないもので、いわゆる“体験型鑑賞”と言う意味ではかなりのレベルにある映画だったと思います。4DXだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ、みたいな。

僕も「別に音立てて良い」のはわかりつつもドリンクを置くときに謎の緊張感がありましたからね。周りもやっぱりどことなく音を立てないように緊張感を持って観ている感じが伝わってきたし。

その雰囲気の作り方は他にない良さだと思います。観終わるとドッと疲れるのもおなじみな感じで。だからこそ絶対に劇場で観るべきタイプの映画でしょう。家でダラダラ緊張感無く観てたら余計に悪い方が目立っちゃってイマイチ感が強まりかねないと思います。

この手のホラーが好きであれば、ぜひ劇場に行って(文句言いつつも)肩凝って帰ってきて頂きたいな、と思いますですよ。

ネタバレット・プレイス

最後のドヤ顔はやりすぎじゃないかなー! と思ったけどどうなんでしょうね。抑圧されてきただけに最後の最後で観客と一緒に気分良く、みたいな感じなのかな。ドヤ感強すぎて笑い声上がってたけど。

やっぱり全体的に「出産」が無理矢理すぎるかなぁというのが一番引っかかったところ。赤ちゃん生まれて生き延びるのも不自然だし、一眠りしたあと急にやってきたあいつから逃げ切ったシーンがかなり「えー」感強かったかな…。

まあまだあそこは地下だし蓋かぶせてたし良いとしても、肝心の出産その時に何事もなく生き延びたのはやっぱりちょっとご都合主義的展開と言われても仕方がないと思います。あれは2階(?)だったし。母子ともに無音(無声)、ってあり得るのかな…。

とまあツッコミどころは多いんですけどね。いろいろと。それでもあんまり無いタイプの家族愛ホラー的な感じで良いポジションに収まったからこそ評価されたんでしょう。

「ドント・ブリーズ」は似ているとは言えあれの登場人物たちは大体DQNだったし、素直に応援したくなる家族っていう設定があってこそのこの映画という意味では新しかったのかな、と。それに向けてのフリになるオープニングのエピソードも良かったし。

このシーンがイイ!

なんだかんだ言ってお父さんのアイ・ラブ・ユーは泣いたよね。なんだかんだ言ってね。やっぱり。

ココが○

設定の強烈さ。これに尽きるでしょう。持て余している感もありましたが。

ココが×

おそらく観た人の100人が100人、みんな「それどうなの」って思うポイントがあると思います。その上で「そんなの気にならないぐらい良い!」のか「気になっちゃうから微妙」なのかで評価が分かれるのかな、と。

僕は娯楽映画としてはアリだと思いますが、ただ細かいところが気になるタチなので「言うほど良いとは言えないな」ってところでしょうか。

MVA

鑑賞後に調べるまで知らなかったんですが、夫婦役のエミリー・ブラントとジョン・クラシンスキーはリアル夫婦だそうで。なにそれ妬いちゃうじゃないちくしょう。

やっぱり演技という意味ではエミリー・ブラントがもうさすがの一言で、今回も素晴らしかったんですが…ただいつも通り彼女でも面白くないし、ってことでこちらのお方に。

ミリセント・シモンズ(リーガン・アボット役)

聾者のお姉ちゃん。実際彼女も聾者だそうです。

はっきり言ってかわいくはないんですが、ただそれ故によりリアルだし、またところどころ大事な場面でしっかり心情が伺える表情を見せてくれて、これはなかなか良い役者さんだなと。

彼女の強さがすごく大事な話でもあるし、家族を描くという意味では一番重要なキャラでもあるだけに、しっかり演じてくれてとても良かったと思います。

聾者ということで活躍の場面も限られてくると思いますが、今度も期待したい演技でした。

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