映画レビュー0907『アラジン』
元々興味もないし観に行くつもりはなかったんですが、聞こえてくる評判の良さに加え、近場の劇場で永遠に無いんじゃないかと思われていた「IMAXレーザー2D上映」をやってくれていたのでこりゃー観に行くか、と行って参りました。
ちょうど先週ドルビーシネマも経験してきたので、体が温まってるうちに比べたいぞという思いもあり。
アラジン
『アラジンと魔法のランプ』
ウィル・スミス
メナ・マスード
ナオミ・スコット
マーワン・ケンザリ
ナヴィド・ネガーバン
ナシム・ペドラド
ビリー・マグヌッセン
アラン・メンケン
2019年5月24日 アメリカ
128分
アメリカ
劇場(IMAXレーザー・2D)
映画的良さとエネルギーに満ち溢れた良作!
- 貧しい青年と王女の恋物語に魔法のランプが絡んでくるおなじみのお話
- アニメ版とは若干内容が違うらしい
- 「ただの青いウィル・スミスじゃねーか」でおなじみのジーニーが大活躍
- ミュージカル映画ながら映画的な物語の良さも楽しめる
あらすじ
元々はご存知「アラジンと魔法のランプ」を原作にしたディズニーのアニメ映画なわけですが、僕はこちらは未見です。ちなみに1992年の作品だそうで、思ったより最近(?)というか、もっと古い映画なのかと思ってましたよ…。1992年つったらもうBTTFとかよりも後だし。
あくまで僕個人の感想ですが、原作は観ていなくてもまったく問題なく、むしろ細かい展開を知らない方が新鮮で楽しめるんじゃないかなーと思います。
舞台は中東の架空の国「アグラバー」。そこでコソドロしながらその日暮らしの貧しい青年・アラジンくんがですね、ある日お忍びで街に繰り出した王女・ジャスミンとひょんなことから知り合い、お助けしたことで近付くも身分の違いがー的な。よくあるアレですよアレ。
その後いろいろあって悪役丸出しの大臣に「ランプ取ってこいや」と言われたアラジンくん、なんとかゲットしてこすったら出てきたのは青いウィル・スミスでしたよと。あとはもう観てくださいよと。ってかもうアラジンのあらすじとかいらねーだろと。
なぜにジーニーが青いウィル・スミスなのか
最初にネットで話題になったのは、くどいようですが「ジーニーがただの青いウィル・スミスじゃないか問題」だったわけですが、彼(ジーニー)が登場して5分も観ればもう納得というか、「ああ、こりゃウィル・スミスしかないね」感がすごくてですね。
元々彼はミュージシャンでもあるし、ミュージカル映画にも向いてそうじゃないですか。まずね。
その上(原作は知りませんが)このジーニーがとてもフランクでいいヤツで、もう完全に「ウィル・スミスが演じるのにピッタリ」なキャラクターなんですよ。
これはウィル・スミスが演じたからそう見えるのか、はたまたウィル・スミスに寄せてキャラを作ったのか、いわゆる卵が先か鶏が先か問題でもあるんですが、そんなアレコレはどうでもいい、やっぱウィル・スミス最高だわの納得感でまず大満足でしたよ。もう。
最初にジーニーが説明的なミュージカルシーンを見せてくれるんですが、そこでもう大量発生する青いウィル・スミスがもう面白くって面白くって即座に虜。その後「願い事のチュートリアル」的に忙しく画面を駆け回るジーニーもまた最高で、先週ちょうどMIBにウィル・スミスがいない寂しさを感じていたタイムリーさも相まって待ってました感が俺を襲う的な。
まずね、このジーニーの良さは大きかったぞと言っておきたいわけです。
ガイ・リッチーが作る意味
で、お次は常に僕の中では賛否両論飛び交う疑心暗鬼の対象でもある監督、ガイ・リッチー問題ですよ奥さん。
いつもは「俺が監督やってるんだぜどうだ」とドヤ顔アピールが目につく印象が強いガイリチさんなんですが、今作はむしろその毒っ気とディズニーの(ある種の)偽善感が良い感じにブレンドされてですね。めっちゃ相性良いんじゃないのと。
もうディズニーの話ってやっぱりストレートにやるとこれまたすごく鼻についちゃう面があると思うんですよ。ちょっと魔法の絨毯の動きとかにいかにもなディズニー感が漂ってたりもしたんですが。話にしたってベタな恋愛が基本なわけだし。
そこにガイ・リッチーのテクニカルさが「ありきたりのディズニー物語」を少し違う世界に持っていってくれた気がして、これはよくオファーしてくれたな&引き受けてくれたなと。とても良いコラボだったと思います。
序盤のジーニーの“忙しさ”はいかにもガイ・リッチーっぽい俺のテクニックを観ろ感が強いんですが、それがある種の「アニメっぽさ」に昇華されているおかげで「実写版アラジン」の違和感の無さにつながっているという…いやこれはなかなかですよ奥さん。鼻につく作りが鼻につかない親和性って言うんですかね。
早い話がガイ・リッチーはファンタジーに向いてるのかもしれないですね。映像の綺麗さ、CG演出の巧みさがしっかり感じられる手腕は見事だと思います。
むしろディズニー嫌いにオススメかも
また詳しくは書きませんが、終盤の展開は「こうなるんでしょ」の予想をうまい具合にかわしつつ納得できる内容になっているし、伏線の回収の仕方も非常に映画的で気持ちがいいものになっているのも大きいです。
「アニメ原作のミュージカル」の時点で物語的には大して期待してなかったんですが、それを見事に裏切る「映画としてしっかりできている」良さに唸らせられましたね。ガイリチはんやるやないかと。さすがやなと。
なのでおそらくは僕のように「ディズニーのミュージカル映画」という字面に期待を感じない、「まあ差し障りのないご清潔映画なんでしょ」とか想像しちゃうタイプに逆にオススメなのかもしれません。
もちろんそういう要素はあるんですが、ただその描き方がきっちり映画的良さに溢れているので、「いやー良かったな」と素直に喜べる完成度の高さはお見事。
中盤やや中だるみ感はあるものの、序盤と終盤のグイグイ来るエネルギッシュでパワフルな作りは元気もらえること間違いなし。
素直に万人にオススメできる、想像以上によくできた映画でした。
〈おまけ〉IMAXレーザー2Dについて
先週のドルビーシネマと比較してやんぞということで行ってきた「IMAXレーザー2D」ですが、最初のシーンで即座に違いがわかった3Dと比べると、今までの「IMAX2D」との違いはそこまで大きくないような印象でした。
先週は「IMAXの方が2周り上」と豪語しましたが、実は…映像の精細さで言えばドルビーシネマの方が上かもしれません。
ただ、画面の大きさが(僕が行く2か所では)まったく違うんですよね。ドルビーシネマは画面サイズ的には中程度で、IMAXはその2倍はあるんじゃないかぐらいに印象が違います。座席数も全然違うんですが。
画面が大きくなれば精細感が犠牲になってくるのは当然だろうし、フォーマットとしてどっちが優れているのかは正直わからんぞ、といういい加減な感想。
黒に関しては確かにドルビーシネマの方が精細に見えるし黒は「真っ黒」って感じで綺麗なんですが…しかし全体の鑑賞環境はIMAXの方が断然上だし、なかなか悩ましいところです。少なくとも先週よりは自分の中で評価が肉薄してきた気はします。
まあ贅沢な悩みですけどね。両方観られる環境にあるってだけでありがたい話ですよ。もう。
できればいつか両方同じ映画で、同じ2Dで見比べてみたいもんです。となると多分、ノーランの次回作かなと。
スパイ映画らしいので(いつものことですが)ひじょーに楽しみにしております。
このシーンがイイ!
エンディングのダンスも最高だったんですが、一番は「アリ王子入場」の華やかな行進ミュージカルかな〜。
ただご多分に漏れず、ミュージカルシーンはどこも良かったです。
ココが○
すごく力強いパワフルな映画なのが良いですね。良い意味で元気の押し売りされました。
ココが×
ベースの話はどうしても昔からよくあるやつなので、その枠からはみ出さない面は否めません。まあ仕方のないところです。
あとは…中盤の中だるみ感かなー。終盤手前は少し退屈かもしれません。
MVA
そんなわけで「ウィル・スミスがやるしかない」ジーニーに満点をつけてあげたいところですが、彼が良いのは当たり前ってことで今回初めて観たこちらの方に。
ナオミ・スコット(ジャスミン役)
王女。開幕から胸の谷間アピールに余念がありません。
どうやらイングランド人とインド系移民のハーフらしいんですが、中東舞台に違和感のない雰囲気がありつつ、とても綺麗でなおかつ歌がめちゃくちゃうまい。
特に歌のシーンの声量、熱演には完全にやられました。ものすごく良かったです。
彼女はこれからもっとスターになっていくんじゃないか…と今後に期待したいところ。この御時世なので、今まで以上に「普通の白人」ではないタイプの役者さんは活躍の場が増えるはずですからね。これだけ美人で歌もうまければスター待ったなしですよこりゃ。