映画レビュー0422 『アメリカン・ハッスル』

今年初の劇場鑑賞行って参りました。今月はいくつか観たい映画があって大忙し、まずは第一弾ということで。

アメリカン・ハッスル

American Hustle
監督
デヴィッド・O・ラッセル
脚本
デヴィッド・O・ラッセル
音楽
公開
2013年12月20日 アメリカ
上映時間
138分
製作国
アメリカ

アメリカン・ハッスル

天才詐欺師のアーヴィンとシドニー。順風満帆に見えた詐欺稼業も、突如訪れたFBI捜査官・リッチーによって終焉を迎える。取引材料として「他の詐欺師を4人連れて来い」と言われたアーヴィンは、その舞台を整えていくうち、リッチーの野心によって政治家を巻き込んだ贈収賄事件に発展していく計画に、危うさを感じつつも捜査に協力するのだが…。

やや難易度高めながら独特のスピード感で飽きさせません!

9.0

あのブルース・ウェインを演じたクリスチャン・ベールが、髪の薄い中年太りの詐欺師を演じる話題の映画でございます。もうオープニングのヘアセットシーンだけでもインパクト抜群、聞いた話ではメイクではなく実際に毛を抜いてあの髪型を作り上げたとかで…いきなりの役者魂に震えつつの鑑賞と相成りました。

そのアーヴィン、事業として小さな仕事はしつつも、本業は詐欺師。どうやらかなりの腕前らしく、相棒であり愛人でもあるシドニーと荒稼ぎしております。やがて二人に捜査が入り、強制的にFBIのおとり捜査に協力させられるわけですが、その捜査が「他の詐欺師を捕まえる」だけだったはずがとある市長を巻き込んだ政治事件に発展、さらに上下院議員まで巻き込んで全米騒然の汚職事件にしてやるぜ、と息巻くFBI捜査官・リッチーのせいで戻るに戻れなくなるアーヴィンとシドニーは…っとそんな感じの物語になっております。

このアーヴィン、妻子はいるものの妻(ロザリン)には振り回されっぱなしで嫌気が差していて、息子のためだけに一緒にいるような状況の中、シドニーと出会って愛人関係になるわけですが、このアーヴィンとロザリンとシドニーの三角関係に加えてリッチーも混ざってきて…「ただの詐欺話」というよりも愛憎渦巻く人間ドラマの色合いも濃く、予想以上に恋愛絡みのお話が多目でした。

ただそれが悪いというわけでもなく、その関係性がかなり濃密にストーリーに関わっていて、アーヴィンとシドニーの関係はどうなる、シドニーとリッチーの関係はどうなんだ、そして頭の悪いロザリンが計画の足を引っ張るんじゃないか…とハラハラドキドキ。なにせ主人公カップルが詐欺師なので、定番ながら誰が誰を信用して、誰が誰を騙しているのか…というのも大きな見どころ。

そんな危うい不安定な足場の上でグラグラしながら、大きな事件をモノにするぜ、と息巻くFBI面々と、「ただ利用されているだけで終わるのか?」と疑いたくなる詐欺師カップル、さらにはいい人な市長も巻き込まれて単なる犯罪者にさせられるのか、いろいろアレコレ交錯しながら目の離せない展開が続きます。

そんな内容なので、サスペンス仕立てにして手に汗握る映画にも出来そうですが、この映画はだいぶうまく笑いどころも織り交ぜて、ジャンル的にはコメディタッチの人間ドラマという感じ。

映画前半は今までに感じたことのない不思議なスピード感を感じ、面白いんだけど入り込めそうで入り込めないような、なんとも微妙な気持ちで観ていました。

うまく説明できない自分の拙い文章力を悔やむばかりですが、そのスピード感やちょっとしたカメラワーク、やや思わせぶりで頭を使わせるセリフ回しに、ちょっと特殊な、独特の雰囲気を感じる映画でしたね。段々のめり込んでいくような、エンジンのかかりは遅いんだけど馬力がある感じの映画というか。全体的にハイセンスだと思います。

ただ、そのエンジンのかかりの遅さを助けるのは、うまく差し込まれる笑いの部分。これが(当然ですが)どコメディという感じではなく、セリフ回しと雰囲気で笑わせるものなので、その辺りのセンスもかなりのもの。特にリッチーの上司がする「釣り」の話の使い方が本当にうまくて、劇場ながら声を出して笑っちゃうほど。ああいうのって大抵ちらっと出てきてモヤモヤさせたまま終わるんですが、意外と繰り返しネタとして登場させる、その使い方がまたうまいな、と。

惜しむらくは、期待するほどラストの「スカッと感」が無かった点。話としてはよくわかったんですが、もう少し盛り上げてもよかったかな? と思います。この辺はある程度事実を引用しているせいもあるのかもしれません。詳しくは書けませんが…。

本当にレビュー力が無くて申し訳ないんですが、「少し他にない独特の雰囲気を持った」「オシャレでスピード感もありつつ」「うまく笑いも混ぜ込みながら」「人間模様の絡んだ詐欺師のドラマ」といったところがキーワードでしょうか。

正直、劇場で無かったら集中力不足でイマイチに感じていたかもしれない、それなりに鑑賞力を必要とする映画です。だからこそ、劇場で観るべき映画かなと思います。

万人向けではないものの、オススメ。

このシーンがイイ!

どうしても笑ったシーンばっかり思い出しちゃうんですが、中でも「クリーニングされた服に囲まれながら見つめ合う二人」と、リッチーとその上司の「最後の釣りの会話」でしょうか。笑った笑った。

ココが○

ストーリーのデキは素晴らしいですね。「スティング」を始めとした“詐欺映画”ってやっぱり面白いなーと感心した次第。うまく説明できないんですが、すごく今の時代にマッチした演出で、明らかに今までの映画製作とは違った空気を感じる部分もいいなと。

あと、挿入歌の使い方がお見事。こういう「劇中で洋楽が挟まります」みたいなのも定番ですが、使い方や選曲がこれまた素晴らしく、サントラ欲しいぞっと。

ココが×

割と笑いも多く軽めな感じでありつつも、結構考えながら観ていないと理解できない流れであったり、やや難し目のセリフ回しがあったりと、明らかに大人向けの映画です。しっかり集中できない人は置いて行かれてもおかしくない、そこそこ観客にレベルを求める映画だと思います。(ただ、僕はそこが好きです)

それと直接的ではないものの、それなりにエロいシーンもあります。つーかエイミー・アダムス、終始おっぱいこぼれそうっていう。

MVA

さて今回はかなり悩みました。

二枚目ではないクリスチャン・ベールって初めて観ましたが、まー役者ですね。素晴らしかった。

エイミー・アダムスもすごく良かった。こんな詐欺師がいたらそりゃ騙されますって。でも今回はこの人かなー。

ジェニファー・ローレンス(ロザリン・ローゼンフェルド役)

アーヴィンの妻で、ある意味物語のキーマン。

すっごいバカで、ある意味観客にとって一番の敵役だった気がしますが、その立ち位置の活かし方、そして何より許しがたいほどの演技っぷりが最高。ムカつくんですよ。すごい。ムカつくんだけど、笑っちゃうんですよね。「お前のせいでぶち壊しになるじゃねーかー!」って時も「ユアウェルカム」とか言っちゃって。笑っちゃうほんと。

この存在感、演技力は他の面々を食ってた気がします。お見事。

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