映画レビュー1404 『アムステルダム』
公開されたこともまったく知らない映画だったんですが、監督・主演の組み合わせ的に「アメリカン・ハッスル」的なものを期待してこりゃ観てみるかなということで。
アムステルダム
デヴィッド・O・ラッセル
クリスチャン・ベール
マーゴット・ロビー
ジョン・デヴィッド・ワシントン
ラミ・マレック
マイク・マイヤーズ
マイケル・シャノン
アニャ・テイラー=ジョイ
アンドレア・ライズボロー
ゾーイ・サルダナ
クリス・ロック
ロバート・デ・ニーロ
2022年10月7日 アメリカ
134分
アメリカ
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

上滑り感強め。
- 軍時代の上司である将軍の解剖を娘に依頼されるも、直後に娘が殺され容疑者に
- 無実を晴らすべく資産家に助けを求めに行くとそこにはかつて共にすごしたもう一人の親友が
- 巨大な陰謀に巻き込まれ系ながらいろいろ散漫で難解
- 残ったのはマーゴット・ロビーのかわいさのみ
あらすじ
結構期待して観ただけにがっかり感も強く、今ひとつパッとしないなぁという感じで少々残念でした。
退役軍人のバート(クリスチャン・ベール)は自分と同様の退役軍人を相手にした診療所を営むお医者さんです。彼はある日軍時代からの親友で今は弁護士をやっているハロルド(ジョン・デヴィッド・ワシントン)に「報酬もいい」仕事の紹介のため呼び出され、かつて自分たちの部隊を指揮していたミーキンズ将軍(エド・ベグリー・ジュニア)の娘であるリズ(テイラー・スウィフト)から「父親(将軍)の解剖」を依頼されます。
将軍が死んだこともにわかには信じがたい2人ですが、これは裏に何かある…と解剖したところ毒物が検出され、将軍の死は他殺の可能性が高いと断定。その解剖結果をリズに報告しようとしたところ何かから逃げるように去っていくリズ。
追いついて話しているとなにかに怯えている様子の彼女は突如としてやってきた男に押し倒され、直後に通った車に轢かれて死亡してしまいます。
その押し倒した男が「こいつらがやった!」と2人の“犯行を目撃”したと証言、2人はリズの殺人犯に仕立て上げられてしまい、やむを得ず現場から逃走。
2人は自らの無実を証明するため、彼女が死の直前に「頼りになる人物」として口にしていた資産家のトム・ヴォーズ(ラミ・マレック)にたどり着き彼に面会しようと屋敷に向かいますが、そこには2人が軍人時代から共に行動していたもう一人の仲間、ヴァレリー(マーゴット・ロビー)がいて…あとはご覧ください。
全体的にピンとこない
タイトルの「アムステルダム」は、主人公の3人(チャンベ、JDW、マーゴット・ロビー)が退役したあとに一緒に暮らし遊んでいた思い出の地なんですが、ニュアンス的にはそれぞれにとって青春を想起させるような、「最も良かった時代」の代名詞みたいな雰囲気ですね。「アムステルダム(で過ごした時期)があるから今がある」みたいな、それぞれのつながりを強固に思い出させる最も大事な思い出の記憶についた名前、みたいな。みたいなばっかり言ってるね、みたいな。
ですが正直内容的にはあまり意味のあるタイトルでもなく、なんとなく「良いタイトル」な雰囲気は漂いつつその実さして意味がない、ちょっとモヤるタイトルでもあります。良いタイトルなんですけどね。センチメンタルな雰囲気があって。
そんなこの映画ですが、一応最初に「ほとんど実話」的なよくあるお断りが登場するように一応は元となる話があったようです。どこまでが実話なのかはよくわかりませんが、おそらく後半明らかになる「陰謀」の部分がそうなんでしょう。主人公3人については創作だと思います。いや全然確証もなくなんとなくの雰囲気で言ってますが。
ただ全体的にこの監督らしい内容ではあるので、「実際にあった陰謀を創作で色付けした」…割合的には9割創作じゃないかなって気がするのであんまり「実話なのかー」と観る感じでもない映画ではないかなと思います。そこは(映画の色的に)重要ではなさそうだし。
結局創作として観たときに面白いか否かが重要な、いわゆる「娯楽映画」以外の何物でもないんですが、じゃあその面白さはどうやねんと言うと…ちょっととっ散らかってイマイチ乗り切れない面が強く、結果的に微妙だなというのが正直なところ。
豪華キャストで観ていて楽しいのは間違いないんですが、そもそもタイトルでもある「アムステルダム」の話含め過去の話があまり効いている感じもなく、チャンベの医者としての胡散臭さみたいなエピソードもあまり意味が感じられず、いろいろ詰め込みすぎて「何が言いたいのかわからない」映画になっちゃってる感じで、なんというか…ネジを1本ずつズレて組み上げちゃった家具みたいな。面白いはずなのになんか盛り上がらなかったな、というモヤモヤした感覚で鑑賞を終えました。
「予想外の展開」らしき展開も全体的に散漫なせいで「ああそうなの?」という感じであまり意外感も感じられず、非常に作りがもったいない映画だなと。“色”を出そうとしすぎて上滑りしちゃった感じ。
もう少し真面目に…というかバカ正直に、この陰謀をストレートに描いたほうが全然面白かったんじゃないかなと思いますね。まあ監督が脚本も兼ねているので監督の色あってこそではあるんですけどね…。
「アメリカン・ハッスル」はそんなこともなくうまく噛み合っていたので、どこで歯車が狂っちゃったのか…僕にはわかりませんけども。
最終的には強引に「愛だよね」みたいな形でまとめちゃったのもイマイチ納得できず…というか収拾がつかないから愛に逃げたようにも見えてしまい、なんとなくですが監督も作りながら「これ多分そんな良いものにならんな…」と予感めいたものを感じながら撮っていたんじゃないかといい加減な推測を流しておきます。なんか「これがやりたい」「これを見せたい」って想いが見えてこない映画なんですよね。
事実…と言っていいかはわかりませんが、興行収入も近年稀に見るレベルの爆死となったようで、まあその世間の評価が正しい映画かなと思います。
マーゴット・ロビーかわいいね
結局最後まで観て残った思いは「マーゴット・ロビー、普通にしてるとやっぱかわいいな」というどうでもいい感想だけでした。
なんかマーゴット・ロビーって最近変な、というかちょっと変わった格好が多いじゃないですか。ハーレイ・クインとかバービーとか。
久しぶりに普通の素っぽい(何が素なのかはわからないんですけど)状態で出てきたのを観てたらやっぱりかわいいなと改めての気付き。逆に言えばそれぐらいしか残ったものがない映画でした。残念ながら。
悪くはないんですけどねー。この前の「アステロイド・シティ」と同じような、監督自身の色に縛られちゃって面白くなくなっちゃった映画、って感じ。
このシーンがイイ!
マーゴット・ロビーかわいいしか感想が無いので初登場のシーンが良かったですね。マーゴット・ロビーの白衣はズルい。
ココが○
いろんな人が出てる楽しさはありました。逆に言えばそれぐらい…。
ココが×
全体的に散漫で芯が見えない話。カッコつけて粋な感じを出そうとして失敗してる。
MVA
演者は皆さん良かったと思います。ロバート・デ・ニーロがちゃんと名声通りのいい人だったのは久々に見たかもしれない。(割と常に腹に一物系なので出てると怖い)
まあでも結局印象として残ったのはこの人だけなのでこの人です。
マーゴット・ロビー(ヴァレリー・ヴォーズ役)
一応はヒロインになるのかな? 主役3人のうちの1人。
かわいくて素敵ででもちょっと危うい感じ、良かったと思います。
あとオープニングで死んじゃう将軍の娘、きれいな人だなと思って観てたんですがまさかテイラー・スウィフトだったとは…いや気付かないのも大概ですけど…。