映画レビュー0868 『八十日間世界一周』

今回もBS録画より。古い映画を観たいブームに乗り、以前録画したまま放置していたこちらの映画を。

八十日間世界一周

Around the World in 80 Days
監督
マイケル・アンダーソン
脚本
S・J・ペレルマン
ジェームズ・ポー
ジョン・ファロー
原作
『八十日間世界一周』
ジュール・ヴェルヌ
出演
デヴィッド・ニーヴン
カンティンフラス
ロバート・ニュートン
音楽
公開
1956年10月17日 アメリカ
上映時間
169分
製作国
アメリカ
視聴環境
BSプレミアム録画(TV)
八十日間世界一周

映画が最大の娯楽だった時代の大作感に溢れる。

点数

1870年代に「80日で世界を一周する」賭けをした紳士の冒険
  • クラブ内での“賭け”によって世界を旅することにした紳士と執事の冒険
  • 世界各地をセット+ロケで再現するザ・大作
  • 「カメオ出演」の元祖的映画らしい

あらすじ

主人公のフォッグさん、いわゆる古き良きイギリス紳士ですが…かなり時間に厳しく、几帳面な性格のようでこれまで何人もの執事がクビになったというお方。

彼は「改革クラブ」という社交場的なクラブに所属しているんですが、そこでいつもホイスト(トランプゲームの一種)を一緒にプレイする仲間たちに「今は80日間で世界一周できる」と豪語、全財産を賭けてやってみせると宣言し、新たに彼の執事として雇われることになったお調子者で器用なパスパルトゥーを引き連れ、その日のうちに出発します。

かくして各地で様々なトラブルに遭いながらも、果たして彼らは80日間で再びイギリスまで戻って来られるでしょうか…というお話です。

世界旅行気分が味わえる大作

3時間近いなげー映画なので尻込みしていたんですが、実際途中でインターバルも挟まるまさに「大作」と言った映画。

なにせ1950年代の映画ですからね。今の技術と比べれば当然拙い合成感なんかも見え隠れしては来ますが、しかし「世界一周の旅」をセット+ロケで描ききる贅沢感は素直にすごい。

特にセットの豪華さは他に観たことがないレベルだったと思います。この映画で訪れる国は出発地のイギリス含めて9ヶ国あるんですが、その国それぞれでセットを組み、街の風景を再現して撮影するというのはなかなか贅沢ですよ。

今だったら「最高の人生の見つけ方」みたいに合成で簡単にできちゃうところを物理的に作って撮る、っていうのはやっぱり「古き良き映画作り」感が存分に味わえて、そこだけでも映画好き的にはたまらないものがあると思います。

映画が最高の娯楽だった時代だからこその作り

話の内容としてはそこまで大きな起伏があるわけでもないので、やっぱりこれはこの当時の一般人たちに「世界一周気分を味わってもらう」ための映画、という側面が大きかったんでしょう。

今ほど世界は小さくなく、また金銭的にも手軽ではなかった海外旅行の「気分だけでも」味わってもらおうというサービス精神に溢れた映画で、その見えてくる価値観自体に良い意味でノスタルジックな雰囲気があり、“映画”そのものの立ち位置が今とは違うことが感じられるような映画でしょう。

今の映画は数ある娯楽の一つで、時間を奪い合う種目の一つでしかないと思いますが、この頃はもうトップに位置する娯楽が映画で、「トップだからこそ見せなければいけない世界を提供するんだ」というような意思を感じる、と言えば良いでしょうか。

これ以上お金をかけられる娯楽プロジェクトも(多分)他に無く、それ故他にない体験ができる娯楽、その看板を背負ったかのような大作感。これはなかなか今の時代には感じられない貴重なものだと思います。

作り物とわかりつつ、世界を観に行きたくなる

スペインでは闘牛、インドでは宗教儀式と各国の文化をエピソードに採り入れながら、器用だけどトラブルメーカーの執事・パスパルトゥーをうまく狂言回し的に使っての冒険は、ありきたりですが「旅に出たい」と思わせるもの。

観てる側が作り物のセットとわかりつつ旅への欲求を持たせるのはこの映画のパワー故なんでしょう。

すごく面白かったわけではないけれど、今では感じられないような映画の力を感じる1本だと思います。

このシーンがイイ!

これはもうエンドロールですね。めちゃくちゃオシャレでかわいいエンドロール。これぞ古い映画だよな〜。素晴らしい。

ココが○

上映時間が長いからこそなんでしょうが、観ている方もどっぷり世界旅行したような気分になれるのが良いですよね。

この映画が公開された頃「リアルタイムで子ども」だった人なんて、これ観てすごくワクワクしたんじゃないかなぁ。冒険家になる動機にもなりそう。

それとこの映画、たくさんの役者陣がカメオ出演で登場するのでその辺の楽しみもあります。僕レベルではマレーネ・ディートリヒとフランク・シナトラぐらいしかわからなかったけど。

ちなみにハリウッド的にはこの映画が「カメオ出演」の始まりだったそうです。

ココが×

話として目立って「どうなるんや…!」と惹き付けられるような部分はあまりないので、観ていて結構ダレるような面はあるかもしれません。

なにせ古くて長い映画なので、それなりに体調だったり集中力の確保だったりある程度観るタイミングは考えた方が良さそう。

MVA

まさかのインド姫役のシャーリー・マクレーン、若いしやっぱりかわいい。

偏屈な紳士のデヴィッド・ニーヴンさんも良かったですが、この映画はこの人でしょう。

カンティンフラス(パスパルトゥー役)

お調子者で器用な執事兼狂言回し。

この人すごいですよね。役だけじゃなくて本人もかなり器用なんだろうな、とわかる動き。かつて闘牛もやっていたことがあるらしいので、きっと闘牛シーンも本人なんだろうし。

いかにも昔のコメディアンと言った雰囲気で、動きの良さも人懐っこい演技力もとても良かったです。

ギャラや賞金を恵まれない人々に寄付していたこともあり、母国メキシコはもちろん、南アメリカの国々では亡くなった今でも最も尊敬される俳優の一人だそうです。すごい人ですね。

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