映画レビュー0893 『アベンジャーズ/エンドゲーム』
ついにですよ奥さん。ついに行って参りました。
公開日が26日で僕が観に行ったのは29日だったんですが、その間もいかにネタバレを目に入れずに済むかが最大のミッションでした。なんでもそういう「ネタバレ見たくない勢」をあざ笑うかのように「ネタバレ見せてやろう勢」が跋扈するなかなかカオスなネット状況だったりしたようですが、無事まっさらな状態で観に行けましたということで。
ただ僕としてもやっぱりこれから観る人にはできる限りまっさらな状態で観て欲しいと思っているので、いつにもまして内容の薄いレビューになることはお許しください。
一応その辺の配慮をしない内容もネタバレ項につらつら書くつもりではありますが、考察だのなんだのとは無縁の「ネタバレ気にせずただ言いたいことを言う」コーナーになる予定です。
それとシリーズ物の宿命として毎度のことではありますが、ネタバレを回避するつもりではあってもどうしても前作(インフィニティ・ウォー)の結末には触れざるを得ません。というかその部分にはガッツリ触れるので、インフィニティ・ウォーもまだ観ていないという方は読まないようにしていただければと思います。
ということでこの映画がこけら落としとなった最寄りの劇場初のIMAXレーザー3Dにて鑑賞してきました。
アベンジャーズ/エンドゲーム
ロバート・ダウニー・Jr
クリス・エヴァンス
マーク・ラファロ
クリス・ヘムズワース
スカーレット・ヨハンソン
ジェレミー・レナー
ドン・チードル
ポール・ラッド
ブリー・ラーソン
ブラッドリー・クーパー
カレン・ギラン
グウィネス・パルトロー
ジョン・ファヴロー
ジョシュ・ブローリン
2019年4月24日 オーストラリア・中国・韓国・台湾
181分
アメリカ
劇場(IMAXレーザー・3D)

今まで観てきたファンへのサービスもたっぷりてんこ盛り、かつてない超豪華オールスタームービー
- 「アイアンマン」から続いた11年間に及ぶMCUシリーズが一旦終了する節目の一作
- 気になるあの人は!? あの人は出てくるの!? あの人はもう出てこないの!? ってかあの人誰!? 等観客の思いが錯綜する
- 前フリの長さを活かしたファンサービスっぷりが見事
- MCU好きは100%観るべきだけど言わなくても観るでしょ感
あらすじ
まあそんなわけでね。もうこれ興行収入がどれぐらいになるのかも想像がつかないレベルの、近年稀に見る…というか大半の人が生きてて初めて直面するレベルの、超が10個ぐらいは付くであろう大作ですよ。
ちなみに上記キャスティングのリストは、一応「誰が出てきて誰が出てこないのか」も楽しみの一つだと思うので、あからさまに登場すると思われる「生き残った人物」以外の役者さんの名前はあえて外しています。ここに名前の出ていない人も出てくるのかどうか…楽しみやで…!
さて改めて書きますが、MCUとしては22作目、前作が「キャプテン・マーベル」、次作が「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」になります。ってかスパイダーマン前作で消えちゃったやんか…と思うわけですがその辺はこの映画を観ればわかるんじゃないのと。つーか予告編の時点でネタバレじゃねーのかと。フューリーも消えたはずなのに出てくるやんかと。いろいろ言いたいことは出てくるわけですが、そこは一旦置いておいてこの映画に集中しましょう。
前作でサノスの野望達成により、宇宙の人口の半分が塵となって消え去ってしまったわけですが、「原始のヒーロー」キャプテン・マーベルことキャロル・ダンバースが消え行く直前のニック・フューリーの呼びかけに応じて地球へやってきて、失意のヒーローたちと合流します。これが「キャプテン・マーベル」のエンドロール後で描かれた部分。
消えていった者たちをなんとかして取り戻したい「残されたヒーロー」たちは、野望達成後に姿を消したサノスの行方を探すわけですが…ああもう書けないよと。もう開始10分ぐらいしか書けないよと。あとは観てくださいまし。
前作のおさらい
さて、ここで前作のおさらいといきましょうか。
ヒーローとその関係者たちは、サノスの指パッチン及び(主に)インフィニティ・ウォーで描かれたエピソードによって、概ね以下の3つに分けられます。
- ドクター・ストレンジ
- スパイダーマン
- ブラックパンサー
- スター・ロード
- ドラックス
- グルート
- マンティス
- スカーレット・ウィッチ
- ワスプ(初代・2代目)
- ピム博士(初代アントマン)
- ファルコン
- シュリ
- ウィンター・ソルジャー
- マリア・ヒル
- ニック・フューリー
- ロキ
- ガモーラ
- ヴィジョン
- クイックシルバー
主要キャラ的にはこんなところでしょうか。毎度クイックシルバーさんの再登場を願っておいてなんですが、調べたら「エイジ・オブ・ウルトロン」で死んでいたという事実。まったく覚えてない。
とりあえずこの「生き残った者」たちによって「サノス許すまじ」を前菜に、(大半の人が)まったく予想していなかった展開を経て収束へ向かっていくお話になります。
予想していなかった展開
そう、封切り前にマーベル・スタジオ社長のケイン・ファイギが「この展開は誰にも想像できない」と言っていたように、確かに「なるほどそういう話になるのか!」という感じでですね。まったく予想とは違う物語になっていました。
この辺も「アレっぽい」的なことを書いちゃうともうその時点で興を削ぐのでやめておきますが、今までのMCU的ヒーロー映画とはちょっと違うテイストの物語になっているのは間違いないでしょう。
またその構造が、過去作を観てきたファンへの最高の贈り物になっている点も端的に言ってニクい。ニックい。フューリー的に言うなら。
胸熱展開でジーンと来る部分も多く、また程よく笑いも挟まり、当然ながらバトルもしっかり見せてくれるというバランスの良さ。
比喩的な意味ではなく、文字通り「今までのMCU映画を全部くっつけてギュッと圧縮」した、濃厚な旨味的な映画と言えるでしょう。いやはやすげーわ。マジで。お金のかかりっぷりもキャストの豪華っぷりも。
言いたいこともあるけれど
世の中的にはもう鼻水垂らして最高としか言えない、みたいな雰囲気ですが、僕としてはやっぱりところどころちょっと気になる面はありました。
簡単に言えば、ファンサービスが過ぎて白々しく見える部分もあったんですよね。とは言えこれはひねくれ者の穿った見方に過ぎず、作りとしてはもうこれ以上のものはないだろうと思えるレベルで完璧だったと思います。いやホントにスゴイ。
どうしてもこの手の映画は、僕の好きな「観る前と観た後で景色が一変する」ような価値観お持ち帰り系の映画ではないだけに、どこまで行っても娯楽映画でしか無いし、ハードルも上がりきった状態で観ているので想像以上にむちゃくちゃ良かったみたいな評価の上がり方がないもどかしさはついて回ってしまうので、「うーん、最高に面白いんだけど満点では無いなぁ」という感じになってしまうんですが、逆に言えばそういう映画だとわかっていても「やっぱりすげーな、これ以上は無いわ」と思えるぐらいにがっぷり四つで受け止めてやろうという意気込みを感じるレベルで完璧に仕上げてきているので、改めてMCUすごいとしか言えません。語彙力を喪失せざるを得ません。
あの「最初から観るのもしんどい」でおなじみのハリー・ポッターシリーズですら8作ですからね。ファンタビ入れても現時点で10作。
あのシリーズとは繋がり方も違うし比較できるものではないとは言え、その倍以上の21作が“前フリ”としてあるという敷居の高さを考慮しても、「いや今からでも徐々に1本ずつ観ていっても損しないと思うよ」と言えるぐらいに見事なフィナーレでした。ホントにすげぇ。何これ。
過去にここまでのフリがあったシリーズはないと思うので、その規模感とそれに応える完成度という意味で、間違いなく歴史に残る1本となるでしょう。
また映画本編以外の価値としても、この世界中を巻き込んだ“お祭り”にリアルタイムで参加できた、という喜びも大きいですね。なかなかこれだけの経験って出来ないと思いますよ。一生のうちに一度あるかどうかではないでしょうか。
これを機にまた最初から観直すのも良し、新たに参戦するのも良し。いずれにしても、映画好きかどうかを問わず、この「世界一長い前フリの果てに描かれるフィナーレ」の重みをぜひ味わって頂きたいものです。
〈おまけ〉IMAXレーザー3Dについて
今回、映画本編と同じくとても楽しみにしていたのが、IMAXレーザーに変わったスクリーンでした。
当然本当は2Dが良かったんですがやってくれるはずもなく、3Dも変わってるのかなと期待半分不安半分で観たわけですが…まず3D映像については本編始まって最初の1カットの時点で「うわ全然違う!!」とびっくりするぐらいに違いましたね。
3Dの立体感は今までのIMAXと比ぶべくもなく際立ってたし、最大の不満だった「3Dになると暗すぎる」問題も明らかに改善されていて、暗いシーンのバトルでもそこまで気にならずに観られるぐらい、高精細でくっきりとした映像はすごかったです。
が!
今度は精細すぎてものすごく目が疲れる。
3時間3Dを観続けた結果、今までにないレベルで目が疲れて頭痛になったほど。展開に疲れたわけではなく、体力的に普通に疲れました。それぐらい目に厳しい。
それと「暗さ」と同じく3Dの大きな不満の一つである「ミニチュア感」は、精細な分、より強調されてしまった印象で、やっぱりレーザーだろうが3Dは欠陥技術だなと改めて感じましたね。マジでやめて欲しい。同じ値段でもやめて欲しい。
何より以前ノーランが言っていたように、3Dになった時点で「画面外の世界の広がりが無くなってしまう」感覚が強く、そのおかげで3Dでありながら画面の世界に奥行きを感じないという不条理。
ということで今の技術前提の3Dは何度観ても我慢ならないというわかりきった結論でエンドです。エンドゲームです。
このシーンがイイ!
これはねー。ネタバレになっちゃうのでなかなかここ、って書きづらいんですよねー。
差し障りのないところで言うと、僕はスコット推しなので彼がピタサンド的なものを食べようとしていたシーンでしょうか。あの辺の扱い最高。
ココが○
ここまで長い前フリがあり、その分の期待を背負って作るのは想像もつかない相当なプレッシャーがあったと思います。
そしてそれをしっかり受け止めて、変化球ではない真っ向勝負できっちり仕上げてきたスタッフ・キャストの面々は称賛されるべきでしょう。
悲しいかなこの手の映画は賞レースには絡んでこないと思いますが、世間的な支持は圧倒的でしょうね。
それと地味に映画好きに響くシーンもいくつかあった気がします。トニーの「リボウスキ」とかめっちゃニヤニヤした。
ココが×
この映画(とインフィニティ・ウォー)だけ観ても一応それなりに楽しめるとは思うんですが、やっぱりこの映画の感動を最大限味わうには前段として21作あるわけで、その敷居の高さがどうしても引っかかるのは事実です。
逆に言えば、(比較するものでもないですが)1本だけで一から語ってこれより感動できる映画があるのも事実なので、それぞれ単品映画として(好き嫌いはあれど)どれも完成度が高いとは言え、「きっちり楽しむにはこの前に21本観てね」はなかなか鬼畜仕様でしょう。実際。
個々の作品は面白いし全然観られると思いますが、面白いかどうか以上に「この映画のためにこれから21本映画を観ないといけない」と言われると腰も重くなるって話ですよ。そりゃあ。そこの敷居の高さは指摘せざるを得ないと思います。毎週1本ずつ観たとしても4〜5か月かかるわけですからね。
MVA
これはねぇ…いや本当にどの方も当然良いわけですよ。当たり前ですが。
これだけのメンバーが一堂に介してそれぞれに蓄積したキャラクターがあり、どの人にも思い入れがあるという状況で…なかなか選び難い部分があります。
とは言えストーリーとの兼ね合いも込みで、「この人が良いのはわかりきってるし」といつもの面々にはご遠慮頂いて今回はこの方に!
カレン・ギラン(ネビュラ役)
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー組の生き残りで、ご存知サノスの娘。
極力内容には触れたくないので、まあ観てくださいねとしか言えないわけですが。
なんと言うか…あの「カレン・ギランとわからない見た目」で頑張ってる感じがなんかグッと来たんですよね…。他の映画で観ても「ネビュラ役のカレン・ギランじゃん!」ってならない報われなさと言うか…。いや報われないことはないんだけど。
まあね、なんで彼女なのかは観てもらえればわかると思います。
あと悩んだのはスカーレット・ヨハンソン。彼女の感情的な部分もすごく良くて、いややっぱりスカヨハもさすがやでと。ちょっと「ロスト・イン・トランスレーション」を思い出させるシーンもあってこれまた胸熱でした。(これもファンサービスじゃね?)
好み的に言えばやっぱりポール・ラッドを挙げたくなるのでまたかよ感が強いわけですが、彼のロバート・ダウニー・Jrとはまた違ったコメディリリーフ感、かなり大事だと思うんですよね。
今作でもその辺の良さを存分に発揮してくれたので、その辺もどうぞお楽しみにということで。