映画レビュー0265 『僕らのミライへ逆回転』

数年前から気になってるんですが、町の薬局によく貼りだされている「オードムーゲあります」ってなんなんでしょうか。なんか響きがセクシーですよね。オードムーゲ。

これを見るといつも思い出すのが、かつて専門学生だった頃、学校の近くの弁当屋にあった謎のメニュー「ポームコルドン」。あれもなんだったんだろう。というふわっとした駄文でスタートです。

僕らのミライへ逆回転

Be Kind Rewind
監督
脚本
ミシェル・ゴンドリー
音楽
公開
2008年2月22日 アメリカ
上映時間
102分
製作国
アメリカ

僕らのミライへ逆回転

未だにVHSしか置いていないレンタルビデオ店でバイトをするマイクは、店長が出かける数日間、店を任されることに。そこに発電所を襲撃したことで磁気を帯びてしまった悪友のジェリーがやってきて、店のビデオテープをすべてダメにしてしまう。苦肉の策で彼らはお客さんが希望する映画を自分たちで“撮り直す”ことに…。

まさかの当たり!

8.0

設定的に微妙に古い1990年代辺りの映画なのかと思ってましたが、意外や意外、4年前という割と新し目の映画でした。しかし田舎に行くと今でもこういうVHSしか置いてないようなお店もあるんですかね~。ありそうな気もしますが。そしてうちの周りも田舎ですゴメンナサイ。

その「VHSしか置いていない」、言わば時代から取り残されたようなお店が舞台のお話。

どうやら街そのものも古くて田舎っぽく、いわゆる「成功した人」が住むような街では無さそうです。そこで突如ジェリーが起こしたキチ●イじみた事件のおかげでやむなく映画をリメイクさせられるハメになり、それが「面白いやないか!」と評判を呼んでやがて…という映画になっております。

序盤はかなりコメディ臭が強く、ジェリーの発電所襲撃なんてもうひどすぎて笑いました。絶対死ぬだろ。あれ。そして“取り繕うため”にたかだか20分程度のゴーストバスターズを撮影する二人。考え方が小学生並です。

その舞台となるお店が再開発のために立ち退きを迫られていて、「なんとかして稼がなきゃ」という動機と、「ウッカリ評判を呼んで儲かっちゃった」リメイク作業が結びついて、やがて街を巻き込んだ物語になっていくわけですが、序盤のいかにもコメディなノリが功を奏してか、現実的にはあり得ないご都合主義的な展開も「まあコメディだしな」と気にせず観ていった結果、ラストでまさかの泣いちゃいました、と。甘栗むいちゃいました的な。

いやー、ほんとまさかこの映画で泣くとは思ってなかったので、嬉しい誤算。

考えてみれば、「立ち退きを迫られている古いお店」という設定からして割とそっち方面に行きやすい、お決まりのパターンという部分はあったんですが、全然そんなつもりで観てなくて。途中までは安っぽいながらもがんばる二人(+いつの間にやら普通に仲間入りしてたクリーニング店の妹)を観てるのがただただ面白くて、ニヤニヤしながら観ていたんですが。

実はリメイクされる映画もほとんどがメジャータイトルではありますがしっかり記憶にある映画はほとんどなくて、でも「知らなくても面白いヘタウマ感」がすごくよくて、なんとなく「実際こんなシーンなんだろうな」と想像した上で「でもひどいな」と笑えるような。この辺りのさじ加減、主演2+1人の「安っぽいリメイクを本気でやってるバカっぽさ」がすごく面白かったです。

最終的なヒューマンドラマ的な展開も、実際は絶対あり得ない(というかあんなに流行ること自体があり得ない)し、ラストシーンもありがちなことこの上ないんですが、でもすごくよくて。

思うに、やっぱりこの映画も“映画に対する愛情”がよく伝わってくるのがねー。そこがいいからもうなんでも許せちゃう、という“映画好きのために映画好きが作った映画”という感じがハナマルです。

一見すると「安っぽいリメイク」なんてその映画をバカにしてると思われがちですが、意外とそう思えないのは「映画が好きだからリメイクをやっている」感じもあるし、さらにそのリメイクが評価されて、段々仲間が増えて、街のみんなが一緒になってやっていく姿が素敵だからなんでしょう。身近な「ニュー・シネマ・パラダイス」のようでもあり、街の一体感は「マジェスティック」のようでもあり、映画が好きだからこそ好きになれる物語がこの映画のすべてなんだと思います。

少し前のことですが、たまたま僕のレコーダーにクローズアップ現代が録画されていて、なんだなんだと中身を見たら「デジタル化でフィルム滅亡の危機」みたいな企画だったことがありました。時代の波、コスト・メリット双方からすればやむを得ない流れ…というお話、すごくよくわかります。ただ、やっぱり映画好き(もっともこういう話は映画に限らないとは思いますが)からすれば、言葉にしがたい寂しさを感じるのも事実です。

そういう「失う時代に対する郷愁の思い」みたいなものはやっぱりグッと来るものがあって、その思いを呼び起こさせる「VHSだけのお店」であったり「悪い人のいない街」であったり「一つのことに熱中して喜びをわかちあう」世界であったり、あの頃は良かったよなぁ的な思いで満たしてくれる心地よさというか。

もう僕が完全にオッサン化している証拠かもしれませんが、だからなんだ好きなもんは好きなんだバーロー、と。

本日は植田まさし(もしくはターキーレンジャーの監督)的なセリフで締めたいと思います。映画好きの人ほど手に取り難い邦題&ジャケットですが、そんな方こそ、ぜひ。

このシーンがイイ!

ラストちょっと前、キラキラした目でスクリーンを見つめる町の人々。あれはまさに名シーンですね。

ココが○

ミシェル・ゴンドリー監督の作品は、今まで観た2作では「ウマイんだけど狙ってる感じ」が悪い意味で少し気になる感じだったんですが、今回は丁寧なうまさとツボをおさえた作りがすごく良かった。

あとはやっぱり定番ですが音楽。みんなで撮影をがんばった1週間での音楽なんて、まさに“ツボをおさえた”曲で素晴らしかった。加えて「ゴーストバスターズ」の音楽とかも聞けて満足。

あと個人的に大好きな映画「ドライビング Miss デイジー」を少し推してるような話もグッド。この映画を薦める時点で「映画好きだな」ってわかるのがイイ。

ココが×

本編では特にありません。

ただもーね、これは誰もがわかる通り、邦題&ジャケットがクソすぎる!! なんなのこのセンスドゼロな邦題。センスゼロを超えたセンスドゼロですよ。度を越してひどい。このタイトルがまたちょっと古そうに感じる原因でもありました。2000年代の映画でこんなクソタイトルついてる映画なんてあったんだ、と。

ちなみに原題の「Be Kind Rewind」は舞台となるお店の名前でもありますが、言葉の意味としては「巻き戻してご返却ください」という意味らしいです。

MVA

街の人々が割と重要な映画なので、意外と「誰がいい」みたいな部分はあんまりなくて、そこがまた「普通の人々ががんばるのがいい」みたいな印象につながったような気がします。そう、普通っぽいんですよね。主要メンバーも。その中で一人、選ぶとしたら…。

ジャック・ブラック(ジェリー役)

強烈な見た目と印象のこの御方ですが、実は映画を一番愛しているっぽい雰囲気があって、そこがすごくよかったな、と。

彼がいるからこそのコメディっぽくもあるんですが、でも一番本気でいろいろやってる姿であったり、何気ないところでは「作った作品を観てるシーン」での表情が一番良かった気がします。最後にマイクと肩を組んでの鑑賞なんてすごく良いシーンだったなぁ…。

その他マイク役のモス・デフの「イイコっぽさ」、店長フレッチャー役のダニー・グローヴァーの「普通にいそうな黒人店主」っぽさ、それぞれ良かったです。

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