映画レビュー0311 『リトル・ダンサー』
たまーにあるんですが、DVDを再生していきなり吹き替えとか英語だけど字幕表示無しとか、何考えとんねんと思いますね。こういうちょっとした部分に気を遣って作って欲しいものです。ええ、ただの愚痴です。
リトル・ダンサー

実は家族ドラマ。
「たまがわ」で去年のベスト10に入っていて、ちょっと観たいと思っていた作品。
ジャケットのイメージと「少年がバレエを始める」というストーリーから、よくあるスポ根系成長物語なのかなーと思ってたんですが、実は展望の見えない家族の希望を描いたドラマなんじゃないかなと。そこが良かったです。きっと「バレエに奮闘する少年」だけだったら全然面白くなかったと思う。
舞台はイギリスの炭鉱の町。ストだ組合だ…と、まさにこの前観た「ブラス!」と同じイメージ。やや曇りがかった空、暗く未来の見えない街、古びた家とボケ気味のお婆ちゃん…と全体的に鬱屈とした雰囲気です。
主人公の少年・ビリーは、父にもらった(お爺ちゃんが使っていた)お古のグローブを手にボクシング教室に通い始めますが、隣でやっていたバレエ教室の方に興味を持ち、やがてボクシングに通うフリをしてバレエを続けていきます。先生に素質を認められた彼ですが、ある日お父さんにウソをついていたことがバレ(バレエだけに)、「バレエなんて忘れろ!」と怒鳴られたことで大喧嘩。ストのことしか頭にない兄貴も優しさゼロの中、それでもバレエを続けるんだ、とがんばる彼は、先生に言われた「名門校のオーディション」を目指し練習を続け…というお話です。
バレエはもちろんメインの要素なんですが、ただそれよりも周辺の諸々の描き方がうまくて、バレエの素質=未来の可能性と、先行き不透明な炭鉱の町=炭鉱で働くしか無い兄&父という要素がうまく絡みあって、無理なくまとまっていく家族の話が素敵です。泣きました。
序盤は「若くして亡くなった」お母さんの逸話が利いていて、バレエの先生が母代わりになってるっぽいイメージからも「ああ、これは家族の映画だ」と感じさせてくれます。
ただ、いかにも「泣けまっせ、ほれ泣けまっせ!!」という泣きオシ一辺倒の映画でもなく、ところどころで差し込まれる洋楽をバックに踊るシーンは今っぽくて良い“箸休め”になってたし、またマセた同級生の女の子と、妙に可愛らしいゲイ疑惑の親友の話なんかも、本線とは関係ないものの重くなりがちな舞台に軽さを与えてくれていて、バランスの取り方がうまいなぁ、と。
重すぎず、軽すぎず、少しずつ舞台に観客を引きずり込んで、迷いの無くなってきた後半で一気に感情移入を進めていく作りはお見事でした。なんというか、やっぱり語りすぎず、ドライにもなりすぎず、でもウェットすぎず…というこの感じ、イギリス映画なんだなぁと思います。
至って普通の家族の話ではあるかもしれませんが、丁寧なバランスの良さは誰でも受け入れられるものだと思うし、非常に良い映画だと思いますね。
突き抜けてガツンと来た! っていう感じも無いんですが、オススメです。
このシーンがイイ!
良いシーン、結構ありましたねぇ。
最初にマンツーマンで先生と踊るシーンを観ては「ここだな!」、母さんからの手紙を読むシーンで「やっぱりここだな!」、親父と兄貴のシーンで「うぉぉぉここだぁ!(泣)」、と迷いつつ、結局は…ラスト近く、お婆ちゃんがガバっと抱きついてきたところかなぁ。
ズルいなぁ、と思いつつ…泣きました。
ココが○
やっぱりバランスでしょうか。泣けるし笑えるし。ラストのマイケルなんていらねーだろと思いつつ笑いました。
2000年の映画ではありますが、実際の舞台は1984年、田舎の炭鉱の町なだけにかなり地味な雰囲気があると思うんですが、その辺をうまくカバーしようとした意味もあるんでしょうね。お上手です。
ココが×
2000年の映画の割に、映像が良くない。
これもまた「ブラス!」っぽくもあったんですが、いい映画なだけにもっと綺麗にリマスタリングしてあげればいいのにーと思います。逆に言えばそれぐらい。
本編に関しては、特に不満ありません。
MVA
これもちょっと悩みました。
先生どっかで観たことあるなーと思ったらハリー・ポッターシリーズに出てたんですね。彼女も良かったんですが、うーん、でもやっぱりこの人かな。
ゲアリー・ルイス(父役)
頑固で暴力的な父親ですが、男として男の決断を選び、父親として息子を愛す姿、素敵でした。
何気にロンドンに行った時の田舎者っぽい雰囲気もうまくて、「ああ、きっとイギリスの田舎町ってこういう父親だらけなんだろうなー」と。


