映画レビュー1073 『ブラック・クランズマン』

今回もネトフリ終了間際シリーズ…かと思いきやなんと今回はアマプラ終了間際シリーズです。

最近「ウォッチパーティ」なる複数人でチャットしながら同時に映画を観るイベントをやってまして、そのせいでアマプラにもしばらく加入することになりそうなんですが、そこで「もう終わるで」と提示された映画にあったのがコレ、と。

この映画は…スターウォーズだったかなんだったか劇場に映画を観に行った時にもらったフリーペーパーに載っていた記事を読んで観たいと思ってたやつなんですが、まさか主演の片方が「TENET」に主演することになるとは当時は思いもよらず…。

ブラック・クランズマン

BlacKkKlansman
監督
脚本

スパイク・リー
デヴィッド・ラビノウィッツ
ケヴィン・ウィルモット
チャーリー・ワクテル

原作

『ブラック・クランズマン』
ロン・ストールワース

出演
音楽
公開

2018年8月10日 アメリカ

上映時間

128分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(PS4・TV)

ブラック・クランズマン

パイオニアの偉大な功績と、今も変わらぬ差別の構造。

8.5
黒人初の市警、相棒とともにKKKへ潜入捜査
  • まだ黒人差別が色濃い時代、差別が最も過激な組織に潜入捜査する二人の刑事
  • 重いテーマに反して程よく軽く娯楽感を持たせ、間口を広げて理解を促す作りが見事
  • エンディングはややプロパガンダ感強く、賛否分かれそう
  • とは言え現代人も観るべき内容であることは間違いなし

あらすじ

これ、描き方によってはかなりキツい映画になるような気もするし、そうすることでより現代の問題を訴えることも可能だろうと思うんですが、スパイク・リーはきっとそれよりも娯楽感を強くすることでより幅広く、多くの人を巻き込んで問題提起したかったんでしょうね。

少々不満はあれど、実話ベースの映画としても面白いし、“差別の現在地”を知る意味でも観てよかった映画でした。

1970年代のアメリカ・コロラド州。「人種問わず」の警官募集を見たロン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、「苦労するぞ」と忠告をもらいつつ採用され、めでたく初の黒人警官として勤務を開始します。

当初配属されたのは資料室だったんですが、「俺がやりたいのはこんな仕事じゃない!」と直談判、めでたく情報部に配属されます。

ここではまず「シカゴ7裁判」にも登場した、「黒人解放闘争」を先導する政治団体・ブラックパンサー党の演説会に潜入。地元の黒人解放活動家の女性、パトリス(ローラ・ハリアー)と知り合います。

その後彼は白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)の新聞広告を見て電話をかけ、トントン拍子で面会の約束を取り付けますが、さすがにKKKの人間に黒人が会うのは無理な話なので…同僚のフリップ(アダム・ドライバー)が派遣されます。

かくして「電話担当はロン、現場潜入はフリップ」の二人三脚でKKKの潜入捜査を開始した二人。捜査はどのような結末を迎えるんでしょうか。

マイノリティコンビによる潜入捜査

原作はロン・ストールワース著「ブラック・クランズマン」。そう、つまりジョン・デヴィッド・ワシントン演じるロンその人が書いた本が元になっている実話系です。

これ創作だと「いやいや電話とリアルで声違うしバレるでしょ」と思うところですが、これが実話なんだからそりゃもう文句も言えません。

ロンが「黒人初の市警」というのは、果たして全米単位なのか州単位なのかその辺がよくわからなかったんですが、それにしてもかなり珍しいケースであるのは間違いありません。実際に署内でも差別は受けるんですが、ロンはなかなか負けん気の強い人間のようであまりへこたれることもありません。

そもそもKKKに電話をかけて差別主義者のフリをする時点で結構なメンタルの強さがあるし、さすがパイオニアというか…結構な傑物だったんでしょうね。

ちなみに彼が組むことになるフリップはユダヤ人という出自のため、これまたロンとは別の形での差別を受ける人物です。つまりマイノリティ二人が組んで「白人至上主義団体≒差別至上主義団体」であるKKKに潜入捜査する…という話なので、当然ながら命の危険と隣り合わせで緊張感もあります。

ただそれも最初に書いた通り「娯楽感が強い」映画なので、そこまで深刻にならずに、なんならバディものの一つと見なしても良いような作りで観やすいのが良いですね。

(ネタバレしない程度に)エンディングについて

実は観る前から「エンディングについて批判が多い」ような話は目にしていて、それ故どう落とし前をつけるのか気になってはいたんですが…確かに批判が上がるのもわからなくはない終わり方だなと思いました。

非常にメッセージ性の強いエンディングなんですが、僕の感想としては「言いたいことはわかるしそれを描く価値もある」ものの、こと映画という“娯楽”として見るとなんともいい加減な終わり方だなと残念感もありました。

いい加減、って言っちゃうとちょっと違うかもしれませんが、もう少しつなげ方があったんじゃないのかなと思ったんですよね。結構急な展開だったので。

ただエンディングで語ることそのものについてはまったく批判する気もないし、むしろそこで描かれた内容があるからこそこの映画を作ったんだろうということもよくわかったので難しいところ。

一つ言うなら、これがそれこそ差別問題直球勝負のガチドラマだったらあの終わり方で全然良かったと思うんですよ。ただくどいようですがこの映画はかなり「娯楽映画に寄せて」観やすく作っているので、であればきちんと娯楽映画らしい落とし前をつけるべきだったんじゃないか、その先に描きたかった部分を入れた方が良かったんじゃないか、と思ったんですよね。

エンディングそのものの表現やメッセージについては文句はないものの、この映画単体で観たときにエンディングとその他の部分でミスマッチを起こしているがためにちょっとモヤるな、みたいなところでしょうか。

差別を考える上で必見の作品の一つ

ということでなんだかんだ書きましたが、実話ベースでありつつしっかり“面白い”、さらに現在につながる問題を描いている=古くて新しい問題を描いている、という点でかなりの良作であることは間違いなく、今現在の差別を考える上でも必見の一作でしょう。

そして「必見」と言えるのはエンディング故でもあり、それを考えればあのエンディングはやっぱり(狙い通りで悔しいなと言う気持ちもありつつ)正しいんでしょうね。

あれが普通に娯楽映画として終わってたらきっと「はー面白かった」で終わっちゃうだろうし、そこに傷跡を残したい監督の意向にまんまとしてやられたかな、という気がします。

このシーンがイイ!

超ベタですが、終盤のとある事件でロンの元にフィリップが助けに来るシーン。バディ感がイイ。

ココが○

テーマの割にしっかり面白い点。なかなかこれって難しいと思うんですけどね。

あとは原題に「KKK」が入ってるのがすごい。センスあるなぁ。

ココが×

やっぱりちょっと(その価値観の好き嫌いは別として)プロパガンダ臭はするので、それのせいで純粋な評価が難しい面はあるかもしれません。「言いたいことに対する共感」と「映画としての評価」はやっぱり別ですからね。

僕は面白かったですが、人によっては評価が分かれそうなのもわかります。

MVA

脇役含めてなかなか皆さん良かったんですが…この人かなー。

ジョン・デヴィッド・ワシントン(ロン・ストールワース役)

主人公の黒人警官。

この人の演技と雰囲気のおかげで「重くなりすぎない」、観ていて辛くならない良さってあったと思うんですよね。深刻になりすぎない感じが。見た目もファンキーで最高だし。

もう一人の主人公、アダム・ドライバーはいつも通りな感じではありましたが、それでもやっぱりこの人はこの人で他にない雰囲気が貴重で良かった。さすが今もっともノッていると言っても過言ではない人ですね。

それともう一つ余談ですが、「うわー久々にブシェミ見たうれしー!」と思っていたらどうもいつものスティーヴ・ブシェミではなく、弟のマイケル・ブシェミだった模様。ブシェマーとして大失態です。

ちなみにスティーヴは三男、マイケルは四男で、兄にジョーとケンがいるそう。勘違いするぐらいマイケルはスティーヴそっくりだっただけに、さぞかし濃いご兄弟なんでしょう。

マイケル・ブシェミもすごく良かったですけどね。役どころにしても雰囲気にしても。

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