映画レビュー1625 『ブリッツ』
お盆休み特別企画「配信にないステイサムを観よう」その3です。
全部で6本借りたんですが、一番楽しみにしている最後の1本を除いてどれも微妙な評価の映画ばかりなのでどれもさして期待せずに観ております。
貴重なお盆休みに何してるんだろうね…!
ブリッツ
エリオット・レスター
『Blitz』
ケン・ブルーウン
ジェイソン・ステイサム
パディ・コンシダイン
エイダン・ギレン
ザウイ・アシュトン
デビッド・モリシー
マーク・ライランス
ルーク・エヴァンズ
ネッド・デネヒー
2011年5月20日 イギリス
97分
イギリス・フランス・アメリカ
TSUTAYA DISCASレンタル(DVD)

真っ当な刑事もの。
- サイコパス殺人犯 vs やりたい放題ステイサム&ゲイ刑事コンビ
- アクション控えめ、ちゃんとした刑事サスペンス
- 警察が割とポンコツではあるもののこの手の映画としては許容範囲
- ステイサム映画的には物足りないのもわかりつつ、映画としては全然悪くない
あらすじ
期待しないで観たのが良かったのか、結構ちゃんとした映画でした。全然悪くないよ!?
ウトウトしていると道から車上荒らしの連中の声が聞こえたために外に出てホッケースティックで軽くボコり、翌朝の新聞に暴力刑事として糾弾される…そんな男、ブラント(ジェイソン・ステイサム)。ロンドン警視庁、いわゆるスコットランドヤード所属の刑事です。今回は元職ではなく現職です。
ある晩、見回り中(?)の警官が銃殺される事件が発生、その直後に今度は白昼堂々パトカーに乗っていた警官がこれまた銃殺される事件も立て続けに起きまして、どうやら犯人は意図的に警官を狙っていることがわかります。
犯人は自らを「ブリッツ」と名乗り、マスコミに事件をリーク。
一方ブラントは妻が亡くなったために休職したロバーツ(マーク・ライランス)の代わりに赴任してきたナッシュ(パディ・コンシダイン)とコンビを組み、事件の捜査にあたりますが…あとはご覧ください。
ステイサムもサイコパスに近い
実はこのあと同じくステイサムが刑事を演じる別の映画を観ちゃったのでだいぶ脳内がややこしいことになっておりまして、「そんなシーン無かったんだけど」みたいな話が出てきたらそれは多分そのせいです。予めご了承ください。
ということで珍しく(?)現職刑事のステイサム。ただ中身はいかにもステイサムらしいキャラなので当然のようにバイオレンスで安心です。
相手(犯人)はいわゆるサイコパスなんですが、ステイサムもなかなかサイコパスに近いものがありまして、一例としては金をせびる情報提供者に払うどころか酒代も払わせた上に怪我を負わせる、行く先々で勝手に人のものを食ったり飲んだりする、準備中のバーで聞き取り捜査しつつ酒を要求し「準備中なので」と一回断られつつも強引に作らせお代を要求されると「準備中なんだろ?」と払わない…となかなかのクソ刑事です。
ぶっちゃけ刑事でなければ許されない=権力を傘に着たある意味一般市民の一番の敵を体現しているかのようなクソ刑事なんですが、それでもなんとなく許せるような…面白みがあるのがさすがステイサムといったところでしょうか。こういう人物って演じる俳優さんによってだいぶ印象が変わると思うのでそこはステイサムの強みですね。
で、彼と仲が良い人格者っぽい刑事のロバーツさん…あの名優マーク・ライランスが演じているんですが、彼が休職するということで代わりにエリート揃いと言われる署から移動してきたのがパディ・コンシダイン演じるナッシュ警部です。
最初、いかにも嫌なやつっぽい感じがしたので「こりゃーステイサムがやりたくてもやらせないタイプの上司で勝手にステイサムが暴走する系かな」とか想像していたんですが、例によってその予想はまったく違ってナッシュは普通にいいやつでした。
ただゲイであることが最初から周りに知れ渡っていたために赴任早々にいじめのような扱いを受け、またこれまでも同様の扱いによって傷ついてきた過去があるようで、かなりタイプは異なるものの「生きづらさ」を共通項にバディとして捜査にあたっていくような形になっています。
二人の距離の詰まり方に関してはそんなに丁寧な感じもありませんでしたが、ただ双方とも相手を尊重するような言動がなかなか良いし、そもそもステイサムとパディ・コンシダインのバディというのはイギリス映画好き的にはそれだけで結構グッと来るものがあります。
パディ・コンシダインは割とクセのある役が多い印象だったので、今作のようにマイノリティの人格者でシュッとした雰囲気を出しているのはかなり珍しく感じられてそこもまた良かったですね。こんないい男だったのか、みたいな。
そんな二人が捜査に乗り出すこの事件ですが、物語上結構早めに犯人自体は明かされるのと同時に割と早めに捜査の遡上にもあがってきます。なので解決は近い…かと思いきやなかなか決定打がなく、尻尾を掴ませないブリッツにやきもきもどかしい…そんな感じも悪くなかったですね。
目撃者も多いであろう白昼堂々と犯行に及んでいたり、被害者の部屋で相手を手にかけたあともそこでテレビを観ていたりと足がつきそうなムーブも結構かましている(この辺のサイコパス描写も良い)んですが追い詰めるには至らず、さらに犯行を重ねていくブリッツに焦りが募る警察…といった感じのストーリーは定番ですが飽きさせず、テンポも悪くないし普通に面白い映画だと思います。
全然良かった
一方で「ステイサムらしいアクション」だったり無双だったりは当然ない、どちらかと言えばリアル寄りの刑事ものなのでアクション系を期待しちゃうとイマイチとなってしまうのも確かでしょう。
ただキャラはしっかりステイサムだし、アクションの(あんまり)ないステイサムも評価してあげておくれ、と思わずにはいられません。
結構「この人何の関係が?」みたいな人も出てくるんですが、その人たちもきちんとつながってくるし作りとしてはソツのない印象。
ラストは現実味がない展開ではありますが、観客の感情面をきっちりケアしてくれる展開なのでそれはそれで安心できるというか、もどかしさを残さないのでちゃんと娯楽になっているのも良いと思います。
ということで全然良かったよ、という結論。
むしろ配信にないのはちょっともったいないぐらいの気がしました。
あとはもう画質の悪さだけがもったいない。今の時代DVDの画質だとなかなかね…。クソデカTVなんでね…。
このシーンがイイ!
上に書いたようにパディ・コンシダインは出てきたときに絶対嫌なやつだろうなと思ってたので、そうじゃなかったことが判明(?)したステイサムの家乗り込みシーンが結構好きでした。
あそこで「おお、バディものか!」と嬉しい誤算。バディ・コンシダインみたいな。
(この手の発言が我慢できない辺りにおじさんみを強く感じる)
ココが○
ちゃんと刑事ものしているのがいいところでしょう。
ステイサムらしいキャラクターを活かしつつ、定番ですが正反対のタイプがバディでバランスも◎。
ココが×
やっぱりアクションがあんまりないところ、になるんでしょうかね…。個人的には必要ないと思いますが、ファンはそう感じてもおかしくないかなと。
ただあんまりこの物語でドンパチとか格闘とかやりすぎるのも違うと思うので、まあやっぱり「こういうステイサムも評価してあげて」に収束するのかなと。
MVA
ブリッツ役のエイダン・ギレンも悪くなかったんですが…今回はこの人かな。
パディ・コンシダイン(ポーター・ナッシュ役)
ステイサムの相棒。ゲイの警部。
上に書いた通りなんですが、今までのイメージとはだいぶ違う感じの小綺麗さと優秀さを感じさせる佇まい、そしてルールをガチガチに守るタイプのようで実はそうではない辺りもとても良いキャラクターだったと思います。


