映画レビュー0961 『ブロウ』

今回もおなじみネトフリ終了シリーズ、そしておなじみの「ずっと観たかった映画」なんですが…ちょっとその経緯が他とは違うので余計な話が長くなる予定です。ケイヨーなシーハナがガイナー。

ブロウ

Blow
監督

テッド・デミ

脚本

ニック・カサヴェテス
デヴィッド・マッケンナ

原作

ブルース・ポーター

出演

ジョニー・デップ
ペネロペ・クルス
ジョルディ・モリャ
フランカ・ポテンテ
レイチェル・グリフィス
レイ・リオッタ
ポール・ルーベンス
イーサン・サプリー
エマ・ロバーツ

音楽

グレーム・レヴェル

公開

2001年4月6日 アメリカ

上映時間

124分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

ブロウ

主人公から見た親と子双方への家族愛が泣ける。

8.5
実在したドラッグディーラー、ジョージ・ユングの半生を描く
  • 絶頂から転落を描くおなじみのパターン
  • しかしメインは家族愛なのでホロリとさせられる
  • 定番だが見応えのある内容で基本点高め
  • エマ・ロバーツ子役時代かわいい

あらすじ

この映画は本当に「いつか必ず観るぞ」と心に誓っていたんですが、気付けばもう18年も経っていたという…怖すぎる。ワイコーすぎる。

んで、なんで「必ず」がついてまで観ようと思っていたのかという本編とは関係のない話をこのあとツラツラと書きますが、ひとまずあらすじから。

父親が社長を勤めながらも事業がうまく行かずに貧しい家庭に育つこととなった主人公のジョージ・ユング(ジョニデ)は、学校を出てすぐに「この田舎から出たい」と親友のトゥナとともにカリフォルニアへお引越し。

早速お隣に住むホットなガールたちとネンゴロになりまして、彼女らがスパスパ吸っているドラッグ(大麻?)を売ったら儲かるんじゃね、ってことで彼女らが懇意にしているこの街を仕切るドラッグディーラー、デレックを紹介してもらいます。

そいで順調にお金を儲けていたところに学生時代の友達が遊びに来て、「こんなの(ジョージたちの地元である)マサチューセッツで売ったら死ぬほど儲かるぜ!」と言うわけですよ。

んなこと言われちゃーやるしかない、ってことでデレックと組んでマサチューセッツへ“販路拡大”。配送を担うのはジョージの彼女、バーバラ。例の「ボーンシリーズの微妙なヒロイン」でおなじみのフランカ・ポテンテさんでございます。

彼女はスチュワーデスなので手荷物検査も無くあっさり運べてやったね、なんですが彼女が持ち運ぶ量じゃ足りないぐらいに儲かってしまい、いよいよ本腰を入れてドラッグディーラーとしての道を歩み始めるジョージ。

しかし幸せは長くは続かず、逮捕に離散や裏切り等…波乱万丈のジョージの半生をお見せしますよと。

井筒監督が褒めているのを初めて見た映画

ということでですね、なんで「必ず観るぞ」と思っていたのかのお話。

もう知っている人もだいぶ少なくなっただろうなと思うんですが、かつてテレ朝で「虎の門」っていう深夜番組をやってたんですね。「王様のブランチ」の夜版みたいな、いろんなコーナーを通しでやるバラエティ番組で。僕はこの当時よく深夜番組を観ていて、この番組も好きで定期的に見ていたわけです。

そのコーナーの一つに、井筒和幸監督が自腹で映画を観に行って酷評する(基本的に酷評しかしてなかった記憶)「こちトラ自腹じゃ」ってコーナーがありまして。

もう本当に酷評だらけで、褒めてる姿はほぼ見たことがないぐらいのコーナーだったんですが、その中で初めてベタ褒めしているのを見たのがこの「ブロウ」だったんですよ。

確かメガネを外しつつちょっと涙を拭いながら「良かったわー」って言ってたような記憶があります。

「へーこの映画面白いんだ」っていうよりも「井筒監督って褒めることあったの!?」という衝撃を受けた記憶しかないぐらい、とにかくボロカスに言うことが多いコーナーで初めて見た「ベタ褒め」だったので「これはいつか必ず観たいな」と思ったよ、というまあ大した話じゃないんですがそういう経緯のある映画なわけです。僕にとって。

今調べたら「虎の門」の放送開始日とこの映画の(アメリカでの)上映開始日が同じ日、っていうのもなんだか因縁めいたものを感じるとか感じないとか。

ちなみにこれは初めて自分の脳内からアウトプットすることなんですが、当ブログの「ジャケットを手描きの絵にする」というやり方、これはブログを始めようと思った10年前に「いくら宣伝になるとは言え勝手にジャケットの写真を使うのは著作権法上どうなのか」的な記事を読んだときに、「こちトラ自腹じゃ」で「あまりにも酷評しすぎて映像が借りられないため、手描きで描いた映画のシーンを用いて説明する」手法を思い出し、「問題あるなら手描きの絵でええやないか」と思って描き始めたのが最初です。懐かしいですね。

まさかその後10年間も続き、いまだにその“業”に悩まされているとは思ってもみませんでした。今回の絵も言うまでもなくヒドイ。

マフィアじゃない身近さ

…と映画に関係ない話を長々と書いちゃいましたけどね。

そんなわけで「あの井筒監督すら褒めた映画」として大変期待して観た映画なわけですが、結論としては「めちゃくちゃ良いわけじゃないけど良い」と言ったところでしょうか。

この手の「ドラッグ絡みで上り詰め、そして転落していく」映画というのは本当に多々あるので、流れから言えば代わり映えもしないしどっかで観たような話なのは確かです。

ただこの映画の強いところとしては、一つは実話ベースであるという点。

主人公は実在する人物で、おまけにマフィアの人間ではないので、ある種別世界のように観られる「マフィアモノ」ともまたちょっと違い、観客にとても近い世界の話として観られると思います。

自分だって二十歳そこそこで引越し先にホットなチャンネーがいて仲良くなってドラッグに溺れちゃったらこうなっててもおかしくはないよな、と思うし。

その道には段階があり、その段階を一歩一歩進んでいくとやがて戻れない位置にいる…というのもこれまた裏社会系の話としてはよくあるパターンではあるんですが、しかしその段階をきっちり見せてくれるおかげで観客にとっても身近に感じられるリアリティを帯びてくるのは間違いのないところでしょう。「よくあるパターンだけどテンポを崩さない範囲でしっかり丁寧に見せる」お手本のような映画だと思います。

当然どこまで実話でどこが脚色なのかはわかりませんが、「こういう実在の人物がいました」という面と同時に程よく脚色も挟んで娯楽としてもきっちり観られる作りにしている、という点でも良くできた映画です。

お父さんと娘への愛

もう一つ、この映画の良い点としては「主人公の親と娘への愛」がキーになっている点。

どちらか一方だとこれまた「よくあるパターン」になりますが、両方となるとあんまり記憶にないような気がするんですよね。どちらに比重を置くでもなく、どっちも大切にしている物語と言うか。

特にジョージのお父さんへの思いに対するウェイトはなかなか他にない大きなものでそこがまた良かったし、お父さんがかつて言っていた言葉の重みが後々ジョージに効いてくるのもさり気なくうまいポイントで、ここは結構してやられた感がありました。

よく「映画は他人の人生を追体験できるのが良い」と言いますが、その追体験という意味でも“学び”のある良いストーリーだし、その学びへの気付きにお父さんを“使って”いるのが巧みだぜと思わずにはいられません。

まああれだ、簡単に言えば「お父さんが良い映画は良い」ってやつですよ。「アバウト・タイム」然りね。

よくあるパターンでも良い映画

この時期のジョニデはまさに脂の乗り切った感もあり、ペネロペ姉さんもこれまたいい時期で相変わらずエロいし、密かに頑張って欲しいと願っているエマ・ロバーツが子役として登場する楽しみもあったりして役者的にもなかなか見どころある良い映画だと思います。

ちなみにエマ・ロバーツはこれが映画デビューだそうですが、彼女のお父さんを演じたジョニデと今(仮に)付き合ってると言われても違和感がないというのもなんかスゴイ。

本当に筋としてはよくある話だし、ドラッグ系の映画ってこんな話ばっかりだよなーと思わないでもないんですが、それに対する感傷的な味付けが他よりも優れている映画なのではないかな、と。

僕にとっては因縁の映画を観られて大満足だったんですが、そんな因縁が無くても今観ても普通に良い映画なのでぜひ観ていただければと思います。

ちなみにテッド・デミ監督はこの映画の撮影当時はまだ40歳にもなっていなかったんですが、翌年バスケの試合中に心臓発作で亡くなってしまい、この映画が遺作となったそうです。早すぎる…。

こんな良い映画を撮った監督だけにとてももったいないと思いますが、同時に「人生何が起こるかわからない」のを映画と自らの経験で語った形になったのも、考えさせられるものがありますね…。

このシーンがイイ!

んー、これはやっぱりテープレコーダーのところでしょうね…あれはね…ズルいよね…。

ココが○

やっぱりこの映画のキーはお父さんなんだろうと思います。

大筋はありがちでも、お父さんの描き方、主人公との関わり方で“色”を出しているのが良いんじゃないかと。

ココが×

特にこれと言って不満は無いかな…。役柄上ですがペネロペ姉さんがクソすぎて笑いましたが。

MVA

段々と憑依芸人感が増しているジョニデですが、この頃はまだ普通の人っぽい感じが逆に新鮮で良いなと思いつつ、でもやっぱりこの映画はこの人にしたいなと。

レイ・リオッタ(フレッド・ユング役)

主人公・ジョージのお父さん。

小さい頃からジョージにとっての「英雄」だった…割に「あんな夫婦になりたくない」とか言っていたのでどないやねん、と思ったりもしたんですが、それもまた若かったから、なんでしょうね。歳を取り、自らの人生を振り返ったときに改めて父親の存在が大きくなった、その物語の描き方が素晴らしいし、それを見事に演じたレイ・リオッタもまた素晴らしい。

あんまり「いいお父さん」的なイメージのない人なだけに、結構意外な役柄ではあったんですがとても良かったと思います。

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