映画レビュー1613 『ブラックボックス:音声分析捜査』
ボカァねぇ、大体休みの日に1本映画を観るのが精一杯なんですよぉー。つまり普通は週に2本。
現状そのうち1本は己に課しているので仕方がないとは言えステイサムの映画で固定されているので、感覚としては「毎週1本だけ何を観るか悩む」感じなんですよね。
で、先週に引き続きなんですが本当に最近は選んでいてもラクな映画(コメディ系)ばっかり観ていてこれじゃまずいと思い、今回は「ちゃんとしたサスペンス」っぽい映画を選ぶことにしました。
評判も良さそうだったのでね…!
ブラックボックス:音声分析捜査
ヤン・ゴズラン
ニコラ・ブヴェ=ルヴラル
ヤン・ゴズラン
ジェレミー・ゲーズ
シモン・ムタイルー
ピエール・ニネ
ルー・ドゥ・ラージュ
アンドレ・デュソリエ
セバスティアン・プドゥル
オリヴィエ・ラブルダン
ギョーム・マルケ
メフディ・ジャーディ
アン・アズレイ
オーレリアン・ルコワン
アンドレ・マルコン
フィリップ・メイマ
グレゴリ・デランジェール
2021年9月8日 フランス
129分
アメリカ
U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

無駄もなく優等生なサスペンス
- タイトル通り、ブラックボックスを回収して中身の音声を分析するお仕事の人が主人公
- しかし素人探偵的にいろいろ勝手に捜査するので音声一辺倒というわけでもない
- 家族や友人、同僚も絡めつつ、キーとなる“音”を上手く利用した作りはオリジナリティを感じさせる
- 非常に真っ当で誰が観ても楽しめる良質サスペンス
あらすじ
バカになってしまいそうな己を戒めるぞという目的に応えるとても見応えのあるサスペンスで、おれのチョイスは間違ってなかったぜと一安心しました。(もっと)バカになるのはもう少し先になりそうです。
フランス航空事故調査局の音声分析官・マチュー(ピエール・ニネ)は大変優秀な耳をお持ちのようで、それ故に事故調査でも細部に拘るためにいろいろとハレーションを起こすタイプのようで、冒頭から同僚(おそらくチーフ的な立場上は少し上の人)のポロック(オリヴィエ・ラブルダン)にも諌められております。
やっている仕事としては間違いがないんでしょうが効率や時間、そして大人の事情的なことも考慮せずに真実を追い求めるような人ですね。俯瞰して見れば正しいんだろうけど近くの人間としては付き合いづらい、そんな感じ。
ある日最新鋭旅客機が墜落し、乗客乗員全員が死亡する大事故が起こったため、ブラックボックス回収のため現場へ向かうポロック。
本来であればマチューが同行するはずでしたが、冒頭の一件で評価を落としたためか別の人間を連れて行くというので担当から外されてしまいます。
しかし翌日からその肝心のポロックと連絡が取れず消息不明となってしまい、局長(アンドレ・デュソリエ)からポロックの代わりに担当するよう言われるマチュー。
彼はブラックボックスからテロリストと思しき声を聞き、結果「テロによる墜落」として航空事故調査局も発表を行いますが、しかしそれでは納得しきれないマチューは調査を継続。
「もうやめなさい」と言われても単独でいろいろ調べたり人に話を聞いたりしていった結果、真相に近付いていくマチューですが…あとはご覧ください。
とても真っ当なサスペンス
ご存知「ブラックボックス」の音声を分析するお仕事の人が主人公のサスペンス。
こういう「知ってるけど詳細はまったく知らない」お仕事が垣間見える映画は楽しいですよね。勉強になるし興味深いし。
もちろん映画なので純粋にここで描かれるような作業ではないんだろうとも思いますが、なんとなくの雰囲気がわかるだけで面白いです。
まあ今作のテーマのように大事故の原因を突き止めるお仕事なので、はたから見るほど「面白そう」なんて呑気な仕事ではないのも間違いないとは思いますが、でも自分としてはこういう仕事をやってみたかったなぁと思ったりもしました。
話としては単純で、「大事故の音声分析の結果、(時間の制約もあって)一度はテロと見なしたもののもう少し調べたら違う事実が出てきそう」なので一人調査を継続していく、というお話です。
そこに家族やら友人やら、そして失踪した同僚はなんなんだ的な話も加わって“真実”を追い求めていきますよ、と。
タイトルとジャケットの印象から「THE GUILTY/ギルティ」みたいにひたすら音声分析を経て真相に近付いていくワンシチュエーションサスペンス的な映画なのかと思っていたんですがそうではなく、一人であちこち出張って調べたり話を聞いたりいろいろやります。
印象としてはなんとなーく「ゴーストライター」っぽさを感じたんですが、あんな感じで「一般人が真相に近付こうと少しずつ歩を進めていく」ような内容になっていて、多少のツッコミどころはありましたが基本的には破綻もなく、丁寧にジリジリと進んでいく形でかなり好きなタイプのサスペンスでしたね。
ラストは「映画っぽすぎる」かなとは思いましたが、それはそれで納得の行く着地点でもあったし総じてとても良い映画だと思います。
真相については結構ズルいというか、観客の目線ではわかりようがないものではあるのでそこで好みが分かれる部分はありそうな気はしましたが、ただ観客の目線=マチューの目線とすればそこもまったく間違っていない展開だし、逆になかなかここまでしっかり練られた話は久しぶりに観た気がして満足でした。
一見関係がなさそうな登場人物もしっかり物語に絡んでくるので無駄もなく、変なびっくり展開や力技でまとめようとすることもなく、とても真っ当な作りで好きですね。
これ、ハリウッドリメイクされそうな気がするんですがどうでしょうか。予言ですよ予言。もう情報出てたりするかもしれませんが僕は見ていないのでセーフです。
ちゃんとオリジナル
周辺の話としてはどこかで観たような内容でもあるし、素人探偵的なところもまたよくあるものでもあるかもしれませんが、そこには「音」という一本芯が通ったテーマが存在しているので結果ちゃんとオリジナルの物語になっているのもとても良かったです。
特に終盤の展開はやり過ぎ感もありつつこの映画ならではのものだと思うので、そこもしっかり見どころでしょう。せめて昼間に見に行けよと思いましたが些末な話です。
ちなみに2026年7月現在定額で観られるのはU-NEXTだけのようで、今回もまたU-NEXTやってくれたぜと感謝のこころ。
おすすめです。
このシーンがイイ!
やっぱり音が大事な映画なので、音を使った気付きや状況説明のシーンは上手いなぁと思いました。
どこ、って書いちゃうとネタバレになっちゃうんで書けないんですけど。最終盤のシーンとかね。言葉で説明しない上手さが良いですね。
ココが○
なんだかんだ素人探偵しながらも、結局最初から最後まで「音」が重要で彼だからこそたどり着けた作りなのは見事だと思います。
あまりそこを強調しすぎると今度は胡散臭くなってくるのが世の常なので、あえて素人探偵の要素も入れて見せたのかな、とか。
そのあたり含めてバランスの良い映画だと思いますね。
ココが×
細かい部分で気になる点はいくつかありましたが、全体に影響するような大きなものはなかったと思います。
正直もっと話題になっていてもいい映画な気がするんですが…まあこの映画が上映されていた頃はSNSもほぼ見ていなかった時期だと思うのでもしかしたら話題になっていたのかもしれませんが…。
MVA
数人の渋めのおっさんがなかなか良かった映画なんですが、この人にしようかと思います。
ルー・ドゥ・ラージュ(ノエミ・ヴァスール役)
マチューの妻。ショートカット。(重要)
ちょっとだけスカヨハ感ありました。
添え物的な存在なのかなと思ってたんですが徐々に存在感を増していく良い役でした。
途中で「もしかして…!」と嫌な予感がしたんですがまったく外れていたのでさすがバカになり途中なだけあります。
最後もなかなかいい演技を見せてくれて良かったですね。


