映画レビュー0920 『ブルーに生まれついて』

公開当時観たいなーと思っていた映画なんですが、もう2年半経つんですね。

あ、これもネトフリ終了シリーズですよ。

ブルーに生まれついて

Born to Be Blue
監督

ロバート・バドロー

脚本

ロバート・バドロー

出演

イーサン・ホーク
カルメン・イジョゴ
カラム・キース・レニー
トニー・ナッポ
スティーヴン・マクハティ
ジャネット=レイン・グリーン
ケダー・ブラウン
ケヴィン・ハンチャード

音楽

デヴィッド・ブレイド
トドール・カバコフ
スティーヴ・ロンドン

公開

2016年3月11日 カナダ

上映時間

97分

製作国

カナダ・イギリス

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

ブルーに生まれついて

色と音で見せる大人の恋愛。

7.0
実在のジャズトランペッター、チェット・ベイカーの半生
  • 高い実力がありながらドラッグに溺れたミュージシャンの再生と恋愛
  • 彼女と二人三脚で再起を目指す
  • 映像の色味とジャズがマッチして心地よい
  • 際立った良さはないものの、伝記というよりは大人の恋愛映画として観やすい

あらすじ

1950年代に一世を風靡したジャズトランペッター、チェット・ベイカー。

彼はドラッグ絡みのトラブルを度々起こしていたそうなんですが、まさにその流れで投獄されていたある日、一人の映画監督が面会にやってきたところから物語はスタートします。

この監督の手引によって彼は出所し、自身の自伝映画の撮影に参加。共演女優(自身の元妻役)のジェーンともいい感じになってきたところで「金払え!」とドラッグバイヤーにフルボッコにされてしまい、前歯全損。

前歯がない=トランペットを吹くのも厳しい、ってことでミュージシャンとしての危機に陥った彼は、差し歯の痛みに耐えながらなんとか再度表舞台に復帰しようと、売れない女優のジェーンと二人三脚で「かつていた場所」へ戻るべく努力を続けるんですが…以上あらすじ終わり。

ちなみにタイトルの「ブルーに生まれついて」は曲名です。

スポーツ系ドキュメンタリー的なカムバック物語

僕もジャズは好きなんですがまったく詳しくもなく、どこが良いのかも明確に説明できない…まあミーハーファンみたいなものなので、さすがにマイルス・デイヴィスぐらいは知っていたものの、この人のことは知りませんでした。

とは言え「知らないから」楽しめない類の映画ではないので、もちろん知っていた方がいろいろ胸に迫るものはあるんでしょうが、知らなくてもまったく問題なく観られると思います。その点で言えば同じジャズ映画である「ラウンド・ミッドナイト」より観やすい映画でしたね。(ただあっちの方が記憶に残る映画のような気もする)

上に「半生」とは書きましたが、実際この映画では彼のごく一時期だけを描いていて、スタートの時点ですでにキャリアは下降中。

よくあるスポーツ系ドキュメンタリーのような、「カムバックまでを追う」内容が中心の物語になります。

スタートのポジション的には「あのチェット・ベイカーは今」みたいな。彼のどん底からの復帰をどう描くのか、が主題です。

大人の恋愛にジャズがマッチ

で、メインは「前歯を失いトランペット奏者として大きなハンデを負ったチェット・ベイカーがどん底から這い上がる話」ではあるんですが、それと同時に彼と出会い、サポートする女性・ジェーンとの恋愛映画としての側面もあります。

彼女は彼女で“売れない女優”のため、双方どん底状態にいながら、それぞれがサポートしつつそれぞれの夢(女優としての一人立ち&表舞台よもう一度)を叶えようと頑張る…と文字にすると少し青臭く感じるようなドラマ含みではあるんですが、どっちも良いお歳故か青臭さはまったくない、ドライで大人な恋愛模様は、もしかしたらやや物足りなく感じる側面もあるかもしれません。

ただキッラキラで内容がうっすうすの某ランドのような恋愛とは違い、多くを語らず支え合う姿はジャズの雰囲気とも合っていて心地よく、淡々と進みつつもそれぞれのエピソードがサクサク進むので飽きずに観やすい映画に感じました。

そしてこの映画(≒チェット・ベイカーの人生)で大きな要素として存在するのが、ドラッグ。

この映画を観る限りでは、当時のジャズミュージシャンはドラッグやってて当たり前的な雰囲気っぽいんですが、その中でも彼は溺れやすいのか弱いのかわかりませんがトラブルを起こしやすいようで、それ故に「ドラッグを断って表舞台に立つことができるのか」が重要な要素になってきます。

「またドラッグに手を染めたら許さない」と言うジェーンとの約束を守り、少しずつ実力を取り戻していくチェット。それに比例するかのように、次第にプレッシャーが強くなっていく舞台に歩みを進めていくわけですが、その危うさとの距離の近さ故に惹きつけられていくのもまた良かったですね。

誰が観てもきっと「なんか良い」

全体的に黄みがかった映像もどこかノスタルジーを誘うような良さがあり、これまた劇伴のジャズにすごく合っているんですよ。ある意味では雰囲気映画の一つかもしれません。

正直チェット・ベイカーその人に興味がなければ割と普通の話とも言えるし、大きく劇的なことが起こるわけでもないんですが、その映像と劇伴の良さに加えてさすがのイーサン・ホークってことで過不足ない映画になっていた印象。

際立ってどこが良かったとか言いにくい映画ではあるものの、誰が観てもそれなりに「なんか良いね」感を感じられるような気もします。それこそがジャズの魅力なのか…!(適当なコメント)

このシーンがイイ!

完全にラストシーン。もうこのラスト5分程度を見せるために全編が前フリになっていたと言って良いと思います。なかなか珍しいぐらいに最後をキメに来た映画だと思うし、それが良かった。

ココが○

そのラストシーンがすごく大人なんですよ。大人で良い。

語りすぎず、察する。それは一人二人じゃなくて、みんな。あれにはしびれましたね。

ココが×

際立った良さは無いと思います。伝記モノにしては淡々としてるし盛り上がりに欠ける。

ただそれが良さでもあると思います。本当に大人のドラマだなと。

MVA

相変わらずさすがのイーサン・ホークなわけですが、まあ彼が良いのはいつものことだし今回も違う方にしましょう。

カルメン・イジョゴ(ジェーン/エレイン役)

チェットの彼女。

なかなか良いお歳のようですがかわいらしさもあるし、なんと言っても終盤の演技が秀逸。グッと来た。

あとチェットのマネージャー的存在のディックを演じたカラム・キース・レニーのイケオジっぷりも書いておきたいところですね。かっこよかった。

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