映画レビュー0381 『ブリジット・ジョーンズの日記』

この映画もタイトルを知らない人はまぁ少ないでしょう。当時は「負け犬女子がこぞって観に行く映画」みたいな言われ方をしていた記憶があり、イコール完全に女子向けの映画だと思ってましたが、まあ話題作だし観ておくかな、程度の感覚で鑑賞してみました。

ちなみにBSの録画で、次作もやってたので録ってあります。観るかどうかはこれが面白いかどうか次第ですが、さて…。

ブリジット・ジョーンズの日記

Bridget Jones’s Diary
監督
脚本
原作
『ブリジット・ジョーンズの日記』
ヘレン・フィールディング
音楽
公開
2001年4月4日 イギリス
上映時間
97分
製作国
イギリス・フランス・アメリカ

ブリジット・ジョーンズの日記

32歳、独身、男なし。タバコと酒をこよなく愛するガサツな女、ブリジット。そんな彼女に、上司であるプレイボーイのダニエルがアプローチをかけてきて、めでたくお付き合いすることになったのだが…。

弱者の味方にハズレ無し。

8.5

まず最初に、ダークサイドに落ちそうな自分のためにお断りしておきますが、このブリジット、いろいろと“痛さ”も含めて非常によくわかる、シンパシーを感じざるを得ない環境とヤサグレ具合を持っているんですが、自分の身に置き換えてレビューを書くとひどく暗くなると思われるので、今回はひとまず自分のことは脇において書こうと思います。「オマエが言うな」という場面もあるかと思いますが、ご容赦を。

よし、カラ元気出して概要だ! ちくしょう!

「そりゃー1人なのもしょうがない」と思わざるを得ないガサツ女子、ブリジット。ちょいポチャでタバコに酒もどんと来い、思ったことはそのまま口に出しちゃう、およそ30代の社会人とは思えない“残念な無邪気さ”を意にも介さない彼女に、ようやく素敵なカレシができた! と思いきや…というラブコメです。

設定からしていかにも「30代独身で焦っている女子に共感して欲しい映画」ってな雰囲気が丸出しですが、実際内容的にもその通り、決して容姿も性格もズバ抜けていいわけではない、むしろハンデが大きそうな女子が、幸せになれそうななれなそうな、でもそこでもがいて何とかいい結果を作り出そうとよりもがく様をイギリスらしいコメディタッチで描く恋愛映画という感じ。

その「イギリスらしいコメディ」とはなんぞや、と最近ずっと考えてはいるものの、これがなかなか「コレコレこういう部分」って言えないのがもどかしい。なんとなく、雰囲気的に伝わればいいんですが。

自分のイメージでは、アメリカのコメディはわかりやすく、言葉で笑わせるイメージなんですが、イギリスのコメディは画で笑わせるというか、画面を観る→状況を理解して笑える、みたいな一拍置く印象があるんですよね。その分ややシニカルだったりエスプリだったりを感じることが多いような、少しオトナ向けのやや知的な笑いという印象。

あ、でもこの映画は頭を使うことなく笑わせてくれますよ。

さて、そんなこの映画。

確かにブリジットはいろいろ問題アリな上に前向きさやひたむきさも特に無いわけですが、その人物像がやはりリアルで生々しいので、その分共感度も高いのは当然のこと。

もしかしたら「こんな女だったら私の方がイイオンナよっ!」とか、「あーあー、そんなことしてバカだなー。私ならもっとうまくやれるのに」とか、あえて観客よりも下のキャラクターにすることで、優越感とまでは言いませんが「彼女のレベルでこうなら自分もがんばれそう」的に思わせてちょっと背中を押すようなポジションの物語を狙っているのかもしれません。

ただ、いろいろ難あれどブリジットは決して嫌な女ではありません。むしろ、応援したくなるし友達になりたくなるキャラクター。ダメなことやってるのがわかるんだけど、でも素直だし幸せになって欲しいと思える人。

いざという時のために勝負パンツを履きたいけど、でもお腹が引っ込むのはこっちのデカパンだし…なんて悩んでる様は赤裸々でもあり、かわいくもあり。

彼女が主人公で彼女を追っている以上当たり前の話ではありますが、リアル女子の内面や悩みがストレートに出ている分、女性は共感することが多いだろうし、男性としては興味深いこともあったり単純に面白かったりで、なかなかどうして「完全女子向け」の映画ではないな、と。勉強になる…とまで言うと大げさですが、「独り身女子」の感覚を身近に感じられるようなストーリーが素直に楽しかったです。

また、実は男目線という意味で言えば、登場する二人の男がまた結構考えさせてくれます。

かたやプレイボーイ、かたや堅物の弁護士ですが、どっちも気持ちがわかる部分はあったし、両方の長所・短所が見えるストーリーなので、男としてどう行動すべきか、何が正解なのかを考えつつ観る楽しみもあって、コレは意外と男から観ても良い映画なのではないかと。この辺りは脚本のうまさ故、でしょう。

決して男は「負け組女子」から観た謎生物ではなく、これまた男も男で等身大で、完璧ではないし、そこにまた愛すべき人間像が見て取れます。

結局、ブリジットの両親も含めて、登場人物は誰もがみんな、弱い普通の人間なんですよね。本当にイギリス映画は、こういう「普通の人間」を描いて共感させる作り方がうまいなぁと思います。

ただ、この味わいはきっと若い人にはわかりにくいもののような気もしますね。男でも女でも30過ぎて、いろいろ見えてくる自分の将来と立ち位置、それに対する周りとのギャップを抱えながら生きていくと、この映画の登場人物のリアリティがすごく刺さるんですよね。

20代前半辺りの、時間を失っていく怖さに目が行っていない時期では、きっとケタケタ笑って終わるキャラクターたちのような気がします。そういう意味では、公開当時に観なくて良かったな、と。

それとあえて偏見に満ちた意見だとわかりつつ書きますが、おそらくはリア充であればあるほど、バカにするように笑うだけ、ヘタしたら笑いもせずに「つまんねーな」で終わる映画かもしれません。が、そうでない人は笑いつつも少し自分を振り返って考えたくなる、ちょっとだけ“痛さ”を感じる良い映画だと思います。

笑えるけどちょっと痛い、そう…「ヤング≒アダルト」に近いような感覚。そういう意味では「負け組女子がこぞって観に行く」のもあながち間違いではなかったのかな、と。

ただ、あの頃自分が思っていたような「やだねぇ、悲しい人たちがこぞってさ」というクズ野郎のイメージではなく、「わかるわかる、俺も混ぜてよ(涙)」という果てしない共感の渦を作り出す、弱者の味方の映画でしょう。

良い映画でした。よって、次も観ます。

このシーンがイイ!

笑えるシーンがてんこ盛りで、まあとにかく見せ方がうまかったですねぇ。

一番好きだったのは、週末旅行でホテルに着いた時のブリジットでしょうか。ドライブ後の。かなり笑いました。あと青いスープもかなり。

ココが○

一番は人物像の描き方、でしょうか。どの人も弱さがあって、憎めない。人間誰しも弱みがあるわけで、やっぱり弱みを見せる人には共感を覚えざるを得ないですよね。その等身大な感じがすごくうまい。

それと、お決まりの上映時間。100分弱でこの内容はスバラシイ。

ココが×

一点だけ、堅物の弁護士君の感情が切り替わった理由が特に描かれてなかった点。「え? なんで?」と。まあ、その辺描きようがない部分もあるし、冗長になりそうなので別にいいんですが。

MVA

プレイボーイがヒュー・グラント、堅物君がコリン・ファースっていうのがもうドンピシャ。かなりナイスなキャスティングでした。

それとブリジットの親友グループにいたゲイ。彼もすごく味があって良かった。でも、もはやこの映画はこの人以外ないぞ、と。

レネー・ゼルウィガー(ブリジット・ジョーンズ役)

日本人的にはよほど詳しくない限りは違いもよくわかりませんが、どうやら本国イギリスでは当初「アメリカ人の彼女がイギリス人役の主役なんて」という批判もあったそうです。

が、結果パーフェクト。

なんと13kgも増量して「ちょいポチャ」のブリジットを演じきったそうですが、キュートだけどどこか残念で、でも表情豊かで憎めないキャラクターっていうのがもうこの人以外には考えられないほどドンピシャ。ものすごくうまかった。

シカゴ」での小悪魔役も衝撃的にうまかったですが、これも同レベルのカンペキな演技で、この人ホントすげぇな、と唸りましたね。

しかも「シカゴ」ではもっと若く見えたんですが、1年とは言えこっちの方が先の映画で、その増量・減量の効果の程が伺えます。こりゃー…本物の役者だ。

太めの下着姿も惜しげもなくさらし、文字通り体を張った演技は素晴らしいの一言でした。

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