映画レビュー1276 『チャトラパティ』

奇しくも3週連続ラージャマウリ作品観てますね。JAIHOが持ってきてるからしょうがないんですが。ラージャマウリ祭り、おそらくこれが一旦最後です。

チャトラパティ

Chatrapathi
監督
脚本
出演

プラバース
シュリヤー・サラン
バーヌプリヤー
シャーフィー
プラディープ・ラーワト

音楽
公開

2005年9月25日 インド

上映時間

165分

製作国

インド

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

チャトラパティ

いくらなんでも話が雑すぎ。

6.5
生き別れの母と弟を探す兄、成長してツヨツヨニキに
  • 不幸な出自から奴隷生活を余儀なくされるも屈強な男に成長した兄
  • 幼少期に生き別れた母を探すも弟がこじらせすぎていて面倒極まりない
  • 例によってチートキャラすぎて絶対死なない主人公に笑う
  • にしてもいろいろ強引すぎて話が雑

あらすじ

プラバース主演、ラージャマウリ監督作ということでこれもまた「マガディーラ」とは別の意味でバーフバリの源流と言えるでしょう。しかしこちらは乗るに乗れない話の雑さでイマイチでした。

難民としてスリランカに暮らす、兄シヴァージ(プラバース)と弟アショク(シャーフィー)、そして母ラクシュミ(バーヌプリヤー)の三人家族。

シヴァージはラクシュミの実子ではないんですが、母は出来の良いシヴァージを実の息子であるアショク以上にかわいがり、であるが故にアショクは幼少期よりひねくれた兄貴嫌い人間としてスクスク成長してしまいます。

ある日三人が住む界隈は地元民の襲来により炎上、インドへ逃げるしか無い状況に追い込まれますが、アショクは兄への嫉妬から母に「シヴァージが燃える家に残されたのを見た」と証言、母は涙ながらにシヴァージを諦めてアショクを連れてインドへ向かい、そのことを知らないシヴァージもまた母を思いながら一人インドへ流れます。

流れ着いたシヴァージを待っていたのは奴隷生活。裏稼業に手を染めながらやがて成長し、界隈では誰にも負けない屈強な男として成長しておりました。

なんやかんやいろいろありつつ“奴隷”を酷使するお偉いさんに我慢ならんぞ状態となったシヴァージですが、そこに素性を隠したひねくれ弟・アショクがやってきて…さてどうなる!

雑じゃない?

タイトルの「チャトラパティ」とは「民の王」を意味する名詞だそうで、きっとインドの神話とか関わってきてるんでしょうね。駅の名前にもありました。「民王駅」ってなかなかすごい。

要はその土地を治める悪逆無道な「チンピラ王」に対峙するのがシヴァージだぞ、と。強いしカリスマ性もあるもんでなんやかんやで「チャトラパティ」と呼ばれるようになるんですが、まあその辺は観ていただくとしましょう。

この辺りの流れもまたどこかで観たようなものであり、目新しさはありません。終盤近くまでは予想通りに展開するいつものパターン。インド映画はこういうの多いとは思います。

とは言えそこはラージャマウリ監督なだけにやっぱり「わかってても」それなりに楽しませてくれるのはさすが。ベタな展開に謎の勢いをまぶしてなんだかんだ勢いで見せきっちゃうのがすごい。漬物作るシーン面白すぎる。(そもそもこの王道モノに“漬物作るシーン”が出てくる時点で何かがおかしい)

ただですね、終盤…要はケリの付け方が結構ひどくて、最後なんて強引すぎてポカーンでしたよ。

なんでポカーンなのかはネタバレになりそうなので言いづらいんですが、端的に言えばいくらなんでもやりすぎかなと。

「マガディーラ」とかもそうだったのでこの映画に始まった話ではないものの、「インドに警察おるんかいな」と疑問を感じざるを得ないぐらい軽く人を殺すもんでまあとにかく命が軽い。

の割に主人公は当然チートキャラなので当然死なない。銃で撃たれても死なない。

それが今まではある意味で面白さにつながっていたんですが、今回ばかりはいろいろ話の流れが雑すぎて乗り切れず、少々冷めた感じで観ていました。そこまでされてその感情はおかしくないか、とか。

基本的にこの人の映画はファンタジーだとは思いますが、それにしてもこの映画はちょっと一線を越えているというか、感情的に理解できない部分が結構多くてなんだかなぁ、という感じ。

なんとなくですが、今作は親子・兄弟が主体の物語なので、インドの家族観みたいなものが強く反映された物語だったりするのかなぁと思いますが本当のところはわかりません。

ただそれにしたって「えー」と声が出ちゃうぐらいには結構強引なエンディングに感じられ、それはそれで面白く感じる人もいるんだろうとは思いますが、僕は余計に冷めちゃった、というところです。

観るなら他で良いと思う

あの手この手で「インド的王道映画」をいろいろ作るラージャマウリ監督はすごいなーと思いつつ、そりゃあそれなりに数観れば合わないのはあるよねと納得もするんですが、今作がインド本国での評価がどうだったのかはちょっと気になるところです。

プラバースファンであればまだしも、普通に「面白いインド映画が観たい」のであればもうちょっと他のチョイスがあるかなというのが正直なところ。

もっとも僕がここ最近妙にラージャマウリ映画を観ちゃってたタイミングの悪さもあったのかもしれません。

最初に観てたらもう少し評価したのかなぁ…いやでもあのエンディングはやっぱりちょっとどうかなと思うなぁ…。

あとは主人公(の思考)がマッチョすぎる、っていうのもイマイチだった理由かもしれません。敵か味方かの違いだけでやってることは悪役とあんまり変わらないような…。

このシーンがイイ!

これはもう漬物作るシーンでしょう。意味がわからない。いやわかるんだけど。話の流れとしては。でも歌に乗せて漬物作る意味がわからない。

あと序盤のサメに食わせるぞシーンがいかにもインド映画っぽくてよかったですね。ゲラゲラ系のシーンで。

ココが○

中盤まで(要は「チャトラパティ」と呼ばれるようになるぐらいまで)はなかなか好きでした。すごく単純な勧善懲悪ではあるんですが。

ココが×

終盤の雑さと、それなりに残酷ないろいろ。

グロいとかではないものの、子どもの虐待もあるし結構しんどいシーンがあるので、エンタメに特化した映画ではないです。

MVA

今回は迷わずこの方。

シャーフィー(アショク役)

成長したシヴァージの弟。伸ばせばいいのに刈られた後も坊主で通す謎。

まーとにかく歪んで歪んで歪みまくってるいやらしさがすごく良かったです。「こいつ嫌いだわー」と観客全員に思わせるお上手さ。お見事でした。

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