映画レビュー0438 『コーチ・カーター』

なにげに書き溜めているレビューが結構ありまして、ここで迂闊に時事ネタを挟み込むと「いつの話やねん」となるのでなかなかここに書くことが無いというなんとも残念なコーナーになっております。ちなみに今日は2週目の大雪の日、外はいまだに吹雪いております。

コーチ・カーター

Coach Carter
監督
トーマス・カーター
脚本
マーク・シュワーン
出演
ロバート・リチャード
リック・ゴンザレス
ナナ・グベウォニョ
音楽
公開
2005年1月14日 アメリカ
上映時間
136分
製作国
アメリカ
視聴環境
BSプレミアム録画(TV)

コーチ・カーター

落ちこぼれ生徒たちが多いリッチモンド高校のバスケットボール部。新たなコーチとして、同校OBのケン・カーターが就任する。彼は生徒に「学業もきちんと成績を残すこと」「授業には必ず出席すること」「試合の日には正装をすること」等の条件とともにスパルタ練習を課し、徐々にチームに変革をもたらしていく。

なんだろうこの“何もなさ”。

5.5

同名の実在の人物「ケン・カーター」氏の実話を元にした映画だそうで、もう超定番「スポーツを通した落ちこぼれ生徒たちの成長物語」的な内容。まず思い出したのはこの映画のバスケをダンスに変えたような内容の「レッスン!」。まさにああいう映画ですが、残念ながらこちらの方がだいぶ落ちる印象。

まず先にお断りしておきますと、話自体は全然いいと思うんですよ。実話らしいし、「あーすごいなー信念あるなぁ」と感心します。ただ、映画としてはかなり物足りなかった。「泣かせます」といういかにもなシーンもあって、いつもならわかってても泣いちゃうところですが、それもなかった。

それはなぜか。多分、構成が平坦すぎるから。

まずこの手の映画の超基本としては、「落ちこぼれた生徒と先生の衝突、そして理解」が軸だと思いますが、その衝突の部分があまりにもあっさりしすぎていて、着任早々に生徒たちが割とスンナリ言うこと聞いちゃうんですよね。すんげー悪そうなのに。鬼のようなノルマもうんざりしながら従っちゃう。これはどうなんだ? と。

事実そうだったのであれば仕方がないにせよ、あまりにもいかつい見た目に反して従順な少年たちばかりなので、「苦難を乗り越えた」感がまるでない。

その後も小さなトラブルがそれなりに出ては来るものの、割とあっさり越えてばかりでぜんっぜん煽られないんですよね。これは痛い。

そもそもスタートの時点でありきたり、筋が見える内容なだけに、「煽りがヘタだとここまでのっぺりしちゃうのかー」と勉強になったぐらい、観ていて何も感じない映画でした。ひじょーーーーーーーに残念。

映画としてはもちろん道徳的な側面もあるように、害はないしいい話です。好きな人もいると思います。サミュエル・L・ジャクソンも良かった。

ただ、前フリの平坦さ、生徒個々のサイドストーリーの中途半端さ、その割に長めの上映時間…と技術的にまったくダメ。もっといい監督が作れば劇的に変わる内容の映画だと思う。それだけに本当に残念。

極上の素材をシェフ大泉洋が3時間かけて延びたパスタに仕上げたような映画と言えばいいでしょうか。※どうでしょうファン向け

うーん、惜しい…。観てムダとは言いませんが、これなら最初に比べた「レッスン!」の方が、テーマの面白さも相まって見どころがあるように思います。

このシーンがイイ!

まあベタですが、体育館封鎖が解かれた直後、あそこはなかなか良かった。

ココが○

バスケのシーンは本当に役者陣がやっていたシーンを使っているらしく、その迫力と「マジ」な感じはすごく良かったです。この映画で一番褒めるべきところはそこかな、と。

ココが×

上に書いた通り、ちょっと平坦すぎる点。この内容なら100分ぐらいでまとめてもらわないと納得出来ません。時間を使っている割に中身が薄い。

MVA

まあ、順当に。

サミュエル・L・ジャクソン(ケン・カーター役)

久しぶりにガッツリ観た気がします。サミュエル。役柄にも合ってたんじゃないかな。

ただ、もうちょっとだけ鬼気迫るような、迫力のあるシーンがあってもよかったかなーという気はします。が、おそらく実在するカーターさんご本人が(契約云々の経緯を見ても)割と理論派というか、感情的に動くタイプではなさそうなので、これはこれで仕方がないんでしょう。

エニイ・ギブン・サンデー」のアル・パチーノみたいな、熱い演説をぶつシーンがあったらまた違ったのにな~と思います。

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