映画レビュー1334 『COLA WARS コカ・コーラvs.ペプシ』

引き続きドキュメンタリー。アマプラで気になっていた一本です。

COLA WARS コカ・コーラvs.ペプシ

Cola Wars
監督

ニコラス・ウォード
ナレーション
クリストファー・エマーソン

音楽

Christopher Halopoff

公開

2019年8月18日 アメリカ

上映時間

90分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

COLA WARS コカ・コーラvs.ペプシ

継続中案件なだけにやや中途半端。

6.5
コカ・コーラ vs ペプシの「コーラ戦争」を振り返る
  • 1980〜90年代の「コーラ戦争」を当事者たちが振り返る
  • 双方の関係者やジャーナリストへのインタビューを中心としたオーソドックスなドキュメンタリー
  • 現在も現役の飲料なだけにやや消化不良で終わる
  • あくまで「コーラ戦争を振り返る」程度の内容で深みは無し

あらすじ

題材が身近なだけに面白いのは面白いんですが、ただドキュメンタリーとして「勉強になった」とか「役に立った」とかその手の感慨は特に無く、ぶっちゃけ観ても観なくてもどっちでも良かったな、という感じ。

長らくコーラ業界で圧倒的なシェアを誇っていたコカ・コーラに対し、意欲的なマーケティングでその座を追うペプシ。

その苛烈な争いがピークとなる比較広告を中心とした「コーラ戦争」について、当時の両社の関係者やジャーナリストたちへのインタビューを元に構成したドキュメンタリーになります。

特番っぽいドキュメンタリー

途中で「なーんかフェードアウト多いしテレビ番組っぽいな」と思って調べたところ、元はヒストリー・チャンネルで放送された1番組のようです。おそらく120分番組のCM分をカットして90分、って感じではないかなと。

かと言って特に力が入っていない…とかも無いとは思うんですが、ただやっぱりところどころでCMに入るっぽい感じで一旦区切ってを繰り返すので、なんとなく普通のドキュメンタリー“映画”よりは途切れ途切れな感じはありました。

そのせいなのかテーマに対してもあまり深掘りしているようにも感じられず、「あの頃こういうことがありましたよ」とまとめて振り返る「懐かしのコーラ戦争特番」みたいな感じがしないでもなかったですね。

思えば僕ぐらいのおっさんであれば「コーラとペプシが凄まじい比較広告でバチバチにやり合っていた」ことは記憶にあると思うんですが、今の若い人たちはあんまりそういう認識はきっと無いんでしょうね。

日本ではこの手の相手をモロに貶めるような比較広告はNGだと聞いたことがあるんですが、その一例としてよくコカ・コーラ vs ペプシは目にしていたので、観たことがあるCMも出てきて懐かしかったり、観たこと無いCMも出てきて驚いたりもして面白かったです。

その比較広告の最初の、かつ一番効果的だった例が「ペプシチャレンジ」と呼ばれる「コカ・コーラとペプシを銘柄がわからない状態で両方飲んでもらってどっちが美味しかったかを聞く」テストをCMにしたもので、これがシェアと違ってペプシを選ぶ人の方が圧倒的に多かったらしく、その後の比較広告はコレに味を占めた形で発展していったのではないか…と思うぐらいにおそらくは強烈な成功体験になっていたんでしょうね。

ちなみにこの映画(番組)でもペプシチャレンジは何度も行われていて、それだけ単純かつ絵的にも面白い、優れたマーケティング手法だったことが伺えます。

観ていて感じたのは、やっぱり「二番手は強い」ということ。

トップはどうしても守りに入らざるを得ず、対して二番手はとにかく攻めればいいので方針が立てやすい、つまり「圧倒的に戦いやすい」のはすごく感じました。

失うものも(ほぼ)無いし、あの手この手でコカ・コーラを揺さぶっていくのは(こう言ったら何ですが)すごく楽しそうだしやりがいもありそう。

一方コカ・コーラはずっとシェアトップなだけに攻勢に転じることが非常に難しい構造的な事情があるので、何も変えられない=つまらないイメージを抱かれがち。

そして「それではまずい」と打った手が大変な問題をもたらす…という流れも非常に面白かったと思います。あの辺の経緯はまったく知らなかっただけに新鮮でもありました。

そう言えば以前のコカ・コーラは「CLASSIC」って書いてあったな…と思ったんですがいつから無くなったんだか…。ほとんど飲まないので変わっていたことにも気付いていませんでしたが。

一方で、今もどちらも普通に売っている現役ドリンクである=決着が付いていないこともあり、最終的にはなんだかちょっとウヤムヤというか、あんまりビシッと落とし所を定めて作った感じもなく放り投げてフワッと終わっていった印象で、あくまで「昔のコーラ戦争はすごかった」みたいな回顧映像に留まっているような気もします。

この辺はもう少しその後の顛末についてのまとめだったりが入っていたらまたちょっと違ったかなと思うんですが、結構間(コーラ戦争から現在)が飛ばされて一気にまとめに入った感じがあったので、総じて「面白いけどなんかピンとこない」ちょっとボヤケたドキュメンタリーになってしまった印象はあります。

もうちょっとやれたのでは

双方の経営者を取り上げ、その個性的な戦いぶりを紹介する作りも良かったんですが、そこもまたコーラ戦争当時以外はすっ飛ばしちゃってるのが残念。こういった作りにするなら、代々今に至るまでの各経営者の功罪(在任中の出来事)をまとめてくれたりすると良かったのにな、と。

ただこれも全部僕が感覚で言っているだけで的外れな可能性も当然あるので、あくまで参考程度に読んで頂ければと思います。

題材としては今も身近なものなだけに、興味を持ちやすい、観やすいドキュメンタリーだと思います。

ただテーマの良さを思えばもっとやれた気もするだけに、やっぱり少し「惜しい」印象が強いドキュメンタリーでした。

このシーンがイイ!

タイトルは書きませんが、それまでずっとコカ・コーラが独占していた「映画界への進出」をペプシが初めて成し遂げた作品がかなりグッと来ましたね。「アレがそうだったのかー!」って。

ココが○

当時のCMはやっぱりセンスもあって面白いんですよ。宇宙船が自動販売機を持っていくCMとかつくづく上手いなぁと。

ココが×

やっぱり「コーラ戦争」に重きを置きすぎというか、「結論」の部分が無い構成なのがちょっと引っかかりました。

MVA

例によってドキュメンタリーなので該当無しです。サーセン。

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