映画レビュー0374 『シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』

これをご覧になる方には一切関係のない話なんですが、実はこの映画、僕の中ではひっそりと「GW特別企画」として観ました。

というのも、“目指せシネフィル”としてはやっぱりミニシアターぐらい行っておかないとまずいだろう、ということで、ドライブがてら「シネマテークたかさき」まで往復で上映時間の4倍近くかけて観てきた映画です。

人生初ミニシアターということで思い出にも残りそうな映画ですが、評価はもちろん、正直に書きます。

シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~

Comme un chef
監督
ダニエル・コーエン
脚本
ダニエル・コーエン
オリヴィエ・ダザ
出演
ミカエル・ユーン
ラファエル・アゴゲ
ジュリアン・ボワッスリエ
サロメ・ステヴナン
音楽
公開
2012年3月7日 フランス
上映時間
85分
製作国
フランス

シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~

20年来の三ツ星レストラン“カルゴ・ラガルド”のシェフであるアレクサンドルは、テレビにレギュラーを持つほどの超有名シェフだが、三ツ星維持のために必要な新メニューの開発がうまく行かず、オーナーから「三ツ星陥落=即クビ」を言い渡されてしまう。彼がある日、旧知の仲である前オーナーの元を尋ねると、一杯のスープを「飲んでみろ」と渡される。かつて自分が作ったスープを完璧なまでに再現したそのスープに驚いたアレクサンドルは、そのスープを作ったというペンキ職人をラガルドに雇い入れるのだが、そのペンキ職人はアレクサンドルのレシピをすべて覚えている“アレクサンドルオタク”で、あまりにも料理にうるさすぎて客にも文句を言うために何度もレストランをクビになった曰くつきの男だった…。

定番ながら、観やすくて安心できるいい映画。

7.0

本当にくどくて申し訳ないんですが、映画の中心が「レストラン」なのであのディナーラッシュを思い出して失禁しかねない恐怖と闘いながらの鑑賞となりました本作。働く一般人を軸にややライトな感覚で展開する、フランスらしいコメディドラマ的な映画ですが、いかにもミニシアターで上映しそうな身近に感じられるストーリー、なおかつ良作臭漂う作り、いいですね。

なかなか文章で伝えにくい感覚なんですが、「ミニシアターに来たぞぉ」ってな映画ファン的スペサル感をぶち壊さない雰囲気、休みの昼間に気楽に観られる(上映時間を含めた)お手軽な感覚、期待通りで安心しました。

「誰もが知っている超有名シェフ」だけど一部では“古臭い”との批判もある料理人・アレクサンドルが、自身がシェフを務めるレストランの三ツ星を維持するため、また自分自身の職を守り通すために試行錯誤するお話。彼の相方となるもう一人の主人公・ジャッキーがまさに「彼のオタク」である点が面白い。彼自身が覚えていないこともすぐに答えるマニアぶり。いますよね、こういう人。お前なんでそこまで知ってるんだよ気持ちわりーな、みたいな。

そんなオタクがアレクサンドルの助手として採用されるわけですが、世の流れはアレクサンドルが作るような伝統的フレンチに無く、「分子料理」なる謎の未来志向料理がもてはやされているとかで、新たな料理を作るひらめきを失ってしまったアレクサンドルにはかなり厳しい状況。

おまけに彼を厄介払いしてお気に入りのシェフにお店を渡したいオーナーが、食材の仕入先に圧力をかけてきたり、アレクサンドルの弟子たちに他の店を任せると言って離反させたりと嫌なヤツ感はもうすでに満腹状態。

そんなひらめきナシ、不慣れなスタッフその他諸々の不利な状況から果たして三ツ星レストラン維持なるか! という映画でございます。

そういうあからさまに嫌なヤツがいたりとかいう周辺状況も、最終的な物語の決着も、やっぱりベタではあるんですが、でもこういう映画はベタでいいかな、と思います。

全体的にテンポもいいし、結構しっかり笑わせに来ている感じのコメディ感もあるし、もちろん“ちょっと良い話”的なエッセンスも忘れずに、この手の映画の基本はしっかりおさえているので、安心して観られる映画です。

全然詳しくないのでいい加減な発言ではありますが、意外とこういう「ライトで笑える一般人のドラマ」の良い映画って欧州に多いような気がしますね。やっぱりアメリカ映画とは雰囲気が違うし、妙にごちゃまぜにしようとしないシンプルさもイイ。

ベタである以上、反面突き抜ける何かが無いことにもなるので期待以上の良さは無かったんですが、それでもこういう映画は僕は好きですね。

この映画、途中で謎の“日本オシ”的なシーンがあります。オシているのかバカにしているのかは取りようで変わってくるようなシーンではあるんですが。あそこがまた嬉しいのと面白いのとで、日本人的にはこの映画が好きになっちゃうポイントかな、と。

何度か書いていますが、もはや「日本市場」に関してはさほど旨味がないはずで、今の時代、金銭的な意味で日本に向けて媚びを売る必要って無いと思うんですよね。それをやるなら中国なわけで。

それでも出てくるのは、やっぱり特殊な文化・歴史を持つ国だっていうのと、比較的敵を作りにくいお国柄のおかげなのかな、とふと思いました。いまや斜陽の国ですが、それでもピックアップしてくれるのは嬉しい限りです。

このシーンがイイ!

その“日本オシ”のシーンでしょうか。結構劇場もクスクス来てましたね。僕もニヤニヤしながら観てました。ところどころ下手な日本語を混ぜてくるので油断出来ません。

ココが○

なにせ上映時間が上映時間なので、テンポもよくてまったく飽きさせません。中だるみがない、無駄を絞った作り。

最近もう2時間だと長く感じることも多くなってきたんですが、90分ぐらいだとトイレの心配もいらないし、なおかつ面白ければ言うこと無いですね。余計なことをせず、欲を出さない感じ。良いです。

あとは「ほのぼのフランス映画」というイメージそのものの劇伴。軽快でちょっとヨーロピアンな曲の数々、素敵でした。

ココが×

やっぱり話としては定番なので、新鮮さに欠けるのは否めません。

それとこの手の話であれば、おそらくもっと感動に寄せられたんじゃないかなぁと言う気もします。まあ、下手に泣かせに来なかったのはいいことだと思うんですが、「笑いあり涙あり」みたいなキャッチコピーを見て、「外に出るのが恥ずかしくなるぐらい泣いちゃうのかなチクショウ」と言葉とは裏腹にちょっと期待してた面もあったので、やや残念。

それとこれは本編とは関係のない話ですが、字幕の入れ方がすごくヘタ。(当然フランス語なんてわからないので)訳の話ではなくて、文字の入れ方そのものの話です。

おそらくは文字が目立ちすぎるのを避けたかったんでしょうが、白文字に薄い影のみというフォントでまず読みにくく、さらに読みにくいからシーンが変わるごとにいちいち背景が暗めの場所に合わせて字幕が移動するんですね。そのせいでシーンごとに字幕の位置がコロコロ変わって、ひどい時は画面端すぎて暗幕に隠れちゃったりとか。

メディア化された時には変わってそうな気もしますが、これはちょっと今までにないレベルのセンスの無さで、せっかくの良い映画が本当にもったいなかったですね。

MVA

ジャン・レノがまぁ太ってオッサンになってましたね。普通のオッサン。ただ、それも役に合ってたし、「普通のオッサン」っぽさがすごくマッチしててよかったんですが。でも今回選ぶのはこの方です。

ラファエル・アゴゲ(ベアトリス役)

アレクサンドルオタクであるジャッキーの彼女。

これまた散々書いてますが、フランスの女優さんは本当にかわいい!! この人もすごくかわいくて、ジャッキーベタぼれも大納得。

ジャン・レノの娘さん役の子もかわいかったし、やっぱりフランスはアナドレナイ。日本ではあんまり観る機会がないのが残念ですね。ハリウッドの女優さんよりよっぽどかわいい人が多い気がするんだけどなぁ。

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