映画レビュー0763 『大冒険』
最近少しメンタルが低調なので、ここはやはり植木等大先生にご登場頂いて元気をもらうしかない、と言うことでBS録画よりチョイス。
大冒険
やりたいことを優先した結果、中途半端に。
録画したものしか観ていないのでかなり中途半端な追い方になっていますが、いわゆるクレージー映画としては「クレージー作戦シリーズ」の中の5本目にあたり、同時にクレージーキャッツ結成10周年記念作品とのことです。ってかクレージー映画はいろいろありすぎて詳細を記すのもアレなので興味がある方はWikipediaでも見てください。
ちなみに当ブログでご紹介の「ニッポン無責任時代」は“無責任シリーズ”の1作目(かつクレージー映画の1作目)、「日本一のホラ吹き男」は“日本一シリーズ”の2作目になります。
今作の主人公は2人。1人はおなじみ植木等大先生演じる雑誌記者の植松。いつもの感じのキャラクターです。まーやっぱりバイタリティがスゴイ感じ。今の日本人でこのパワーとオーラを兼ね備えた人はいない気がする。
もう1人の主人公はハナ肇演じる花井部長刑事。偽札捜査の現場指揮官の一人、という感じでしょうか。いかにもなヌケヌケの訛り強めなダメ上司を演じ、植木大先生以上にコメディタッチに寄与しております。
物語は世界的に偽札事件が横行しているニュース(聞いている感じでは出てくる外人さん全員訛りがすごい)からスタートし、日本でもついに真贋を判別できないレベルの偽札が発見されましたよと。混乱を避けるために秘密裏に捜査を開始するものの、たまたま植松記者の隣人兼友人の谷啓演じる谷井が発明した(簡単に言っちゃうと)コピー機で試しにお札を刷ってみたところ元が偽札であることが判明、こりゃあ大ニュースだってことで雑誌記事にしちゃったところ警視庁激おこで植松容疑者爆誕、そこに本当に偽札を作る組織も登場しての大捜査&逃走劇ってなところでしょうか。
序盤こそクレージー映画らしいコメディ感と古澤映画らしいテンポの良いカット割、さらに急に始まる歌のシーンで和製ミュージカル感も「ニッポン無責任時代」辺りに近く、こりゃー期待できそうやで…! と思っていたんですが、徐々に「偽札事件の黒幕とその陰謀に絡んでくる主人公」みたいな構図がクローズアップされていく展開になっていく感じで…まあ早い話がよくある巻き込まれ型サスペンス風コメディみたいな感じというか。
そんなに近いわけでもないですが「北北西に進路を取れ」とかああいう感じのお話にしたかったのかなという展開で、段々コメディ感が薄れてきちゃってですね。ちょーっと中途半端だなぁという気がしました。
なんでも世界初のワイヤーアクションを取り入れた映画(実際はちょっと違う話のようですが)ということもあって、途中で謎の跳躍力を見せる植木大先生なんかはなかなか絵面的にシュールだったりもしてところどころで「何このシーンwwww」みたいな楽しみはあったんですが、全体通して観ると…やっぱりちょっと風呂敷広げすぎたかなぁというのが正直なところ。
仕方がないとは言え、一発目に観た「ニッポン無責任時代」が衝撃的に面白かっただけに、あの流れを引き継ぎつつ少し違う展開に、というのは作りとしてはよーくわかるんですが、ただその分勢いも無いし面白みも薄れちゃったなぁという気がします。ざんねん。
昭和当時の名古屋駅とか、今となってはなかなか難しいであろう大胆な人物起用とかもあったりして、ところどころ「今観る美味しさ」みたいなものはあったと思いますが、ただじゃあ映画としてどうやねんと言われると、やっぱり「ニッポン無責任時代」には勝てなかったかなと思います。
大変申し訳無いところですが、この日は金夜だったせいかかなり疲れていたらしく、途中でやめようかというレベルで眠くなったりもして、最後の方はかなりいい加減な鑑賞になってしまいました…。ただ疲れを言い訳にしつつも、眠気を吹き飛ばすほどの惹き付けるものがなかったのも事実だと思うので、やっぱりちょっとコメディ基本の割にアクションサスペンス的な方向を取り入れようとしすぎた中途半端な映画だったかなーと思います。
このシーンがイイ!
屋上の戦いの結末がくだらなすぎてよかったですね。んなバカな、っていう。全編ああいう方向性で攻めて欲しかったなぁ…。
ココが○
クレイジーキャッツ結成10周年記念というだけあって、僕が観た他2作よりは「クレイジーキャッツでっせ」という色が強くてそこは良かったのかなと言う気がします。なんとなく。
あとはオープニングの「遺憾に存じます」がね。歌詞が良いんですよ。作詞は青島幸男ということで。もはやいじわるばあさんはおろか都知事としての青島さんの記憶すら無い人たちが多い世の中に一抹の寂しさを感じつつ。嗚呼昭和。
ココが×
上に書いた通り、「北北西に進路を取れ」(もしくは007)的な映画をやりたかったんだと思いますが、邦画が洋画の真似をするとろくなことにならないっていうのはもうこの頃からの流れだったんでしょうか。
僕としてはクレイジーはクレイジーらしく、どストレートに昭和の社会を風刺するような映画が観たいよなぁと思います。
が、それも今の時代だから言えるわけで、当時はこうやって背伸びして違うものを、って考えるのもまた無理もないし当然の流れだったんでしょう。それで邦画のレベルが上がっていった、っていうのもあるんだろうし。今観て厳しくてもこの頃はそうでもなかったかもしれないし、結果的に(当時珍しかった)ワイヤーアクションが入ってきたりという功績もあったと思うので、今の時代に観てこう言っちゃうのはフェアじゃないのかなとも思います。
MVA
相変わらず1シーンで印象を残していく由利徹先生も大したもんだなぁと思いますが、まあ順当に。
植木等(植松唯人役)
今までに観た2作と比べると、そこまで推せるMVAでもなかったです。どちらかと言うと消去法。
それでもやっぱりこの人はスゴイですね、相変わらず。2割ぐらいでいいから元気を分けて欲しい…。