映画レビュー1592 『デス・レース2000年』
例によってだいぶずれ込みますが、ここより5本ほどGW突入です。
GWだからこそ…というわけでもないんですが、ステイサムの「デス・レース」のリメイク元でカルト映画として有名というこちらの映画、事前に知った設定がひどすぎるので観たすぎると思ったらU-NEXTにあったので華々しいGWのスタートにふさわしいぞと観ました。
デス・レース2000年
ポール・バーテル
ロバート・トム
チャールズ・B・グリフィス
イブ・メルキオール
デヴィッド・キャラダイン
シモーネ・グリフェス
シルヴェスター・スタローン
メアリー・ウォロノフ
ロバータ・コリンズ
マーティン・コーヴ
ルイザ・モリッツ
ドン・スティール
ジョイス・ジェイムソン
ジョン・ランディス
ポール・バーテル
ポール・チハラ
1975年4月27日 アメリカ
84分
アメリカ
U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

意外とちゃんとしてるようなちゃんとしてないような。
- 国民から絶大な人気を誇る、一般市民轢き殺しレース
- 女性子供老人を轢き殺すとより高得点という狂ったルール
- 一応背景にディストピアっぽい設定があり、現代の皮肉にもなっているのがすごい(かも)
- スタローンが大スターになる直前に安いギャラで出た黒歴史(?)
あらすじ
さすがカルトムービーとして名高いだけあって、B級映画好きなら避けては通れない迷作ですねこれは。
タイトル通りの西暦2000年、今年も国民から絶大な人気を誇る“デス・レース”が開催されるぞと。
このレースはニューヨークからロサンゼルスまでのアメリカ大陸横断のレースになるんですが、採点基準が2つありまして、1つは純粋にレースのゴール順、そしてもう1つはレース中に「どれだけ一般市民を轢き殺せるか」というもの。(ゴール順とポイントの合算の仕方等細かい話は不明)
しかも一般市民は年齢や性別に応じてポイントに差があり、女性や子供、そして老人は高ポイントがもらえる爆笑ルールです。(笑ってていいのか)
事実レース中にも老人ホームに立ち寄って「おなじみの合法的な集団安楽死だぜ」的なセリフとともに老人たちが道端に置かれるシーンがあってもうひどすぎて爆笑するんですが、そんな感じで倫理観ゼロのレースが舞台となります。
なぜこんなレースが…ドウシテ…と(笑いすぎて)涙なしには観られない恐怖のレースですが、設定的にはどうやら独裁者と化した大統領の圧政があるようで、要はガス抜き的に行われているレースなんでしょう。
そんなレースに集まってきた5組のレーサーたち、果たして1位でゴールするのは誰でしょう的なお話になります。
ひどすぎて最高
少し前に観たステイサム主演の「デス・レース」のリメイク元となる作品です。
無印「デス・レース」は2008年公開、今作「デス・レース2000年」は1975年公開、そして今作の正当続編である「デス・レース 2050」が2017年公開というややこしいことになっております。そしてどれもくだらない。2050はまだ観てないけどきっとそう。
「デス・レース」の方はアレはアレでバカバカしくて笑いましたが、今作を観たあとから振り返ればだいぶまともというか硬派というか…一応ステイサムにアジャストされた映画だったような気がしてきました。今になると。
あちらは設定も刑務所なので、同じ“殺す”レースでもなんというか倫理観的には当然ナシなんだけどちょっとだけアリよりのナシみたいな雰囲気がありましたが、今作はまったく罪もない、なんなら最初に轢き殺される人は普通に仕事中だったりするのでナシよりのナシなのがひどすぎて最高です。
上記の通り弱者ほどポイントが高くなるルールもあるので、「ウヒョー赤ちゃんじゃねえか轢くぞ!」的なシーンもあってもう本当にひどすぎて笑うしかない。
最近はちょっと古い映画でも今の倫理観からすると厳しくて笑えない…みたいなことが結構ありますが、もうこの時代から完全にナシでしょという倫理観ゼロの映画は時代が変わってもダメなことに変わりはない強固さがあるので逆に普通に笑えてしまうというのが今回の学びです。やっぱり開き直ってやりきってるものはいつの時代も面白いということでしょう。きっと。
B級映画故もあるんでしょうが、轢き殺すシーンにしてもじっくり見せたりもしないし見えてる映像も安っぽいしで安心感があるのもポイントです。ちゃんと笑えるように作っているというか。
途中、怒ったスタローンが自分のところのメカニックをバックで轢き殺すシーンがあるんですが、そのバックにしても距離は短いしせいぜい骨折だろうという当たり方でも普通に死にます。人間が脆弱すぎる…!
ただ、何気にただのおバカムービーではないのもなかなか魅力的なところで、実はちょっとしたメッセージ性がある…ような気がしないでもないのがまたポイントです。
この辺詳細は明かされませんが要は大統領が圧政を敷いているディストピア的な社会っぽいんですよね。舞台背景が。
で、その大統領に反旗を翻すレジスタンスがいたりして、意外と社会派っぽい(?)ストーリーがバックで進められています。こんなバカな設定なのに…!
あからさまなサービスシーンも出てくるくせに裏では社会風刺も込められているという振り幅の大きさに感情を揺さぶられることウケアイです。
おまけにたまたまですが最近のアメリカの傾向を見ているとあながち笑ってもいられないよねという気がしないでもないという。考えすぎでしょうか。間違いなく考えすぎです。
とは言え味付け程度でも「おバカ一辺倒ではない」作りはなかなかバカにできない面があり、というか逆に「意外と社会への皮肉が込められているところも笑える」みたいな二重構造の笑いになっているところが深い。ほんとか??
B級好きなら必修
まあとにかくB級好きの人はぜひモンの映画ですよ。よくこんなバカみたいな映画作ったなと本当に感心しました。そして笑いました。
カルト的人気があるのも納得です。なんかすでにもう一回観たい気がしています。気の迷いでしょうか。
こんな映画を置いてるU-NEXTも大概ですよ。もっとこういうの増やしてほしい。(参考にしてはならない客の声)
ちなみにこの映画も“B級映画の帝王”として有名なロジャー・コーマン製作らしいです。これはもう…他のコーマン映画も追わなければなるまい…!
コーマン映画って呼び方もね。なんかね。アレですよね。(アレ)
このシーンがイイ!
地雷踏んだところは一番笑ったなぁ。踏むか踏まないかみたいな思わせぶりな流れもすごくバカバカしくてよかった。
あとラストのオチが良すぎます。もう期待しかしてなかったけどその通りにやってくれて。
ココが○
上に書いた通り、考えたら当たり前なんですがこの時点で倫理観ゼロだと今観ても気にならないのは思わぬ盲点でしたね。
「今観るとこのギャグ笑えないなぁ」みたいなのが無い強さ。
ひどい映画の良さはこういうところにあるんでしょう。
ココが×
実は特に無いのでは…?
いや全部が✗と言えば✗だけど。なんかもう最初から試合放棄してるから負けないみたいな強さがあるというか。
MVA
この半年後に「ロッキー」で大スターになるシルヴェスター・スタローンが悪役として出てくるんですが、ご本人はさすがに黒歴史と思っているんでしょうか。わかりません。ただなんとなくジョージ・クルーニーで言うところの「リターン・オブ・ザ・キラートマト」のような気がしてなりません。
それはさておきぶっちゃけ誰でもいいんですがこの人に。
シルヴェスター・スタローン(マシンガン・ジョー役)
嫌われ者で主人公のライバル。
結局スタローンかよ、って話ですがやっぱり存在感もあったし、のちにスターになったことを知っているだけに彼が出てくるだけでちょっと面白いんですよね。「なんでこの映画に出てるんだよwww」みたいな。
ちょっとした喧嘩で負けちゃうのも今となっては貴重なシーンだなとか。
彼の存在がより面白みを高めているのは間違いのないところでしょう。


