映画レビュー0305 『噂のモーガン夫妻』
今年は結構なペースで観てきているんですが、なんだか最近「休みの日は2本は観るぞ!」と言うのがルーチンになってきて、観ること自体が目的化して内容自体に対する集中力を欠いてきているような気もするので、ちょっと後半はペースダウンしようかなと考えてます。
毎回鼻血が出るほどの映画だったら喜んで観るんですが、当然そんなこともないので…。金夜&土日1本ずつの週3本ってとこですかねー。
今日のだからどうしたトークでした。
噂のモーガン夫妻
ヒュー・グラントのダメっぽさを楽しむ映画。
サスペンス的な要素はあるものの、基本はコメディタッチのヒューマンドラマ。と言うよりも、実は「夫婦のやり直し」をテーマにした恋愛映画感すらありました。
まあ大体話のいきさつからしてどういう映画になるのかはわかりきってはいたので、特に違和感も無く、予想通りの話を予想通りの雰囲気で観られました、という感じ。決して嫌いな映画ではないですが、「思ったよりいい!」みたいな面も無かったので、無難な映画と言えるかなと思います。
主人公であるモーガン夫妻は、ニューヨークで別居中の弁護士と不動産業者の夫婦。ちなみに旦那が弁護士、奥さんが不動産業者です。旦那の浮気を発端に別居が始まり、その旦那は未練タラタラ。さっぱりとした奥さんは未練もなく、そのため「証人保護プログラム」で“一緒に”田舎へ移住させられることには大反対。でも命の危険がある以上、渋々向かったわけですが、その移住先はまさに現代に残る西部劇の世界で、街中誰もが知り合いというまたいつもながらの舞台。そこで保安官夫妻に保護されながら、「夫婦とはなんぞや」的なものを見て聞いて考えながら、果たして二人のヨリは戻るのか、犯人の魔の手は…!? というお話。
まず旦那のポールをヒュー・グラントが演じているわけですが、この知る人ぞ知る「ダメ男俳優」ヒュー・グラントが素晴らしく、“らしい”演技とキャラクターがだいぶコメディの雰囲気に寄与していて、結構普通に笑っちゃうシーンもありました。この人のキャラこそがこの映画なのかな、と。なんかあの得も言われぬダメな感じの表情がいいんですよねー。
相手役の妻、サラ・ジェシカ・パーカーもそれっぽく、「こういう夫婦いるよね」的雰囲気はバッチリ。
そこに保護者としての熟練夫婦が登場、これまたいい味を出してるわけですが、この二組の夫婦のやり取りと、さらに「未来の夫婦」かもしれないモーガン夫妻の助手コンビがちょっとしたアクセントを加えてます、的な映画です。
結局は言ってしまえば「夫婦が夫婦を見て夫婦のことを考える」だけの映画なので、一応追手がいたりとかっていうのはあるんですが、実際は「ながーい夫婦喧嘩と仲直り」をコミカルに楽しむ映画って感じでしょうか。
あとは…いや、特に無し!
深さも無いけど、それなりに楽しめる、最初にも書きましたがひじょーーに無難な映画です。
見所はヒュー・グラントのダメ男っぽさでしょうか。この人のこのダメっぽい感じ、これは(何の映画でも)一見の価値アリと思います。
思い起こせば、中世の貴族に扮していた「いつか晴れた日に」の頃からなんとなくダメそうな雰囲気を醸し出す印象は変わらず、まさに「愛すべきダメ男俳優」というWikipediaの説明そのまま。
切れ味のないイイ男、これもまたいいもんです。
このシーンがイイ!
好きだったというか良かったというか、笑ったのはやっぱりモーガン夫妻の助手二人のやりとりですね。この二人が本当にまたいい味出してて。特にやっぱり初キスのシーンでしょうか。
ココが○
軽く楽しめる娯楽感。エログロの類もないし、田舎の優しさも出てくるし、お決まりながら誰でも観られる幅の広さはグッジョブです。
ココが×
まあ舞台から設定から、何もかもが予想通りになってくるので、ダラダラ観るだけ、って感じにはなっちゃいますね。もう一歩、切れ味とかスパイスみたいなものがあればなぁと思います。
MVA
主演夫婦二組はどの人も役にマッチしててよかったですが、やっぱり何と言ってもヒュー・グラントのダメっぽさ…は上に書いたので。
メアリー・スティーンバージェン(エマ・ウィーラー役)
この人がなんとなく西部づいているイメージがあるのは、BTTF3のせいなんでしょうか。
この人がたくましく薪を割る横で、ヒュー・グラントがやっぱりダメ男らしくひとつも割れない、あのシーンなんかもそうでしたが、「綺麗で暖かい田舎のオバサン」な感じがピッタリで。この配役は絶妙だなぁと思いましたねぇ。
歳をとっても地味に居場所がある女優さんっていうのはなかなかいいですね。