映画レビュー0324 『ディスクロージャー』

勤務先の社長がなぜか貸してくれた一本。映画好きなのは知ってましたが、なんとなくジャケットから三流臭がプンプンするな、と思いつつ、半ば強引に渡された以上観なければ、と。

ただ当然ながら社長はこんなブログの存在すら知らないので、感想は好き勝手(もちろん真面目に)書きます。

ディスクロージャー

Disclosure
監督
脚本
ポール・アタナシオ
原作
『ディスクロージャー』
マイケル・クライトン
音楽
公開
1994年12月9日 アメリカ
上映時間
128分
製作国
アメリカ

ディスクロージャー

副社長の座は間違い無いと思っていたトムだが、そのポストに就いたのは本社から新たにやってきたメレディスだった。彼女とかつて愛し合っていたトムは、その日の夜に彼女のオフィスに呼び出され、誘惑を受けるが家族を思い拒否する。だが翌日になると、メレディスが「トムにセクハラを受けた」と会社に訴えていた。

サスペンスだけどあんまりうまくないのが。

5.0

いわゆる“逆セクハラ”を軸に展開するビジネス系サスペンス。

割と飽きること無く見せてはくれますが、やはり「サスペンス」としてはかなり甘い作りで、結局どこを見せ所にしたかったのかがフラフラしちゃって中途半端にまとまっている印象。決してつまらないわけではないんですが、佳作・名作ランクには程遠い、いわゆる“消費財”的映画にとどまっています。

舞台はなんらかのハイテク企業。公開時期のせいもありますが、その「ハイテク」という言葉が醸し出す一世代前な雰囲気がピッタリな映画です。

周りからも自分自身も次期副社長は間違い無いと思っていたトムが、足元をすくわれるようにして「突如やってきた本社のキャリアウーマン」的なメレディスにその座を奪われます。しかも彼女は、かつて愛し合った存在。

今は家族を第一に思う彼にとっては、なんとも苦い再会という雰囲気。そんな中、彼女から「打ち合わせ」と称して夜に自分のオフィスへ来るように言われ、ノコノコとやってきたところ肉食獣的な彼女に「ヤラせろヤラせろ」と迫られ、一度はその気になったトムですが、我に返り、ヤラずに終了。翌朝会社へ行くと、「示談にしてやってもいいぜ」的な相談を会社からされ、自分はすっかり加害者扱いにされていることを知ります。

彼女は才色兼備の副社長、自分は出世の道を絶たれた中年男…どうやら会社から失脚を画策されているらしいことを知ったトムは、断固として戦うことを決意し、敏腕弁護士らの協力を経て事実を公にしようと会社と戦うことを決意する…というお話。

入口の「会社の陰謀含みの逆セクハラと戦う」という設定はなかなかチンコ持ち一族としては他人事ではない興味深さもあり、先の展開がちょっと気になる感じはありました。胡散臭いオッサンをやらせたらピカイチのドナルド・サザーランドが社長、っていうのもいい。絶対裏になんかあるぜこれ! と思わせる舞台は整っているわけですが、まずその「裏になんかあるよ」というのをちょっとご丁寧に見せすぎ。

これも演出的な時代性もあるのかもしれませんが、トムにはいい顔して「友達だろ?」なんて言ってる同僚が、裏ではメレディスに「これこれこうしてトムを罠に…」みたいな話をしているシーンが普通に挟まってくるので、「コイツ臭そうだな」とか「この話はなんかありそうだな」とか予想する楽しみがまったくありません。全部見せてくれちゃう。

となると、トムがいかにその罠から抜け出すか…という話に視点が移るわけですが、それも解決したらまた密談で「次の罠があるよ」と見せられ、それが片付いてもまた「騙されてるわね」の繰り返し。後付け的に話が伸びていくのでどうしても一本筋の通ったストーリーというよりはつぎはぎ感の強いストーリーに見えてしまい、よくできているとは思えません。

おまけにメールでアドバイスをくれる謎の理解者みたいな存在が結構出てくるんですが、これが要はあからさまにストーリーの進行役を担っていて、「次はドコドコへ行け」って指示をくれる裏方の表現を変えただけという、素人っぽい手段が頂けない。おまけにその正体もどうにでもなる後付けだし。

そんなわけで、全体的に子供だましな感が拭えず、ちょっとサスペンス慣れしている人にはしんどいかな、というお話です。

ついでに言えば、これはモロ時代性の部分ですが、「ハイテク検索システム」としてバーチャルリアリティ(これも時代を感じる単語ですが)でPCの中に自分が入り、ちょっと豪華な資料室みたいなところを歩いて問題の情報を探す、みたいなギミックが結構重要な場面で出てきて、これがどうにも今観るとチープでひどい。

確実に「昔」の確立した技術の話であれば、観てる側も違和感無く当時を想像しながら観られるんですが、これは中途半端に新しいことをしようとして、今観るとチープな上に、当時現実でも定着しなかった謎のバーチャル空間を「すげぇぜ」といかにも物語のキーとして差し込んじゃってる間の悪さが、今の時代に観ると決定的にキツい。話の拙さ以上にその“間の悪さ”感が強烈で、ちょっともうこの映画が作られた当時以降、急速に映画としての耐久力を失っていっている気がします。常に普遍的な話である必要はないと思いますが、ヘタに技術を出そうと欲を出すと安っぽくなっていくという悪い例かな、と。

それをすっ飛ばすほど中身が良ければいいんですが、当然それもないわけで、となると今あえて観る意味を求めるなら、デミ・ムーアが若かった頃の肉食っぷりだけかな、と。残念。

このシーンがイイ!

ナシ。エロシーンもいかにもでチョイスするには…という感じだし。そもそもデミ・ムーアはそんなに好きじゃないということもあり…。

ココが○

テーマはいいと思うんですよね。今でもまだ痴漢だの逆セクハラだの(もちろん普通のセクハラも)、いろいろ性的な社会問題はあるわけで。それを会社の陰謀に結びつけて…っていう筋は結構好きなだけに、もうちょっとうまくやってくれれば…という思いがありました。

ココが×

上に書いた通りですが、時代性を出しすぎた間の悪さと、つぎはぎ感の強いストーリー。どっちも映画全体に対する自信の無さから来るものだと思うので、もっと作る前からしっかり詰めればいいのに、と思いましたが、それはまあ、関係のない気楽な立場だからこそ言えることなんでしょう。

MVA

主演の二人、どっちもあまり好きではないんですが、まあでも可もなく不可もなく、悪くなかったと思います。やや消去法的になりますが、今回はこの人に。

ドナルド・サザーランド(ボブ・ガーヴィン役)

食えない社長。腹黒さ満点なのに柔和な表情もあり、さすが。しかしやっぱり息子、似てるな…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA