映画レビュー0746 『ドント・ブリーズ』

レンタル6本目は劇場に行こうと思っていたものの中途半端に遠くて断念したこちらの映画。

ドント・ブリーズ

Don’t Breathe
監督
フェデ・アルバレス
脚本
フェデ・アルバレス
ロド・サヤゲス
出演
ジェーン・レヴィ
ディラン・ミネット
ダニエル・ゾヴァット
スティーヴン・ラング
音楽
公開
2016年8月26日 アメリカ
上映時間
88分
製作国
アメリカ
視聴環境
TSUTAYAレンタル(ブルーレイ・TV)

ドント・ブリーズ

日頃から強盗を繰り返していた3人組が、盲目の退役軍人の家に大金があるという情報を聞き入れて「これが最後の仕事」と彼の家に強盗に入るも、3人の存在に気付いた彼の強力な聴覚と殺人も厭わない攻撃性によって次第に追い詰められていく。

わかりやすい引っ張りが興を削ぐ。

7.0

ガチムチ盲目退役軍人にやり込められる強盗3人のお話。ジャンルはホラーなので怖いの苦手なチキン野郎としては観ようか若干悩んだ部分もあったんですが、公開当時結構話題になっていて気になったので借りてみました。

ただ強盗に入って怖い目遭って生きて帰れるのかサバイバル…! 的な映画なのかと思っていたんですがそこまで単純なお話でもなくて、序盤はそれなりに強盗たちの日常が描かれます。特に主人公となる女子、ロッキーの現状がなかなかわかりやすくキツい感じでですね。いわゆるDQNの母親が男を家に連れ込んできて自分に対しても暴言を吐く中、妹と一緒にこの街を脱出したい、そのためにお金が必要なのよ…! ということで動機は十分、問題の退役軍人宅に強盗に入ることを決めるわけです。デトロイトっていう場所もまたリアリティがあって○。

仲間となる二人もまたわかりやすい関係性で、片方はなんとその名も「マネー」、ロッキーの彼氏です。ただもう初登場シーンから終始早期退職臭がプンプンと漂う雑魚キャラ感満載で嫌な予感。

もう一人はアレックス。こちらは(これまたベタに)ロッキーに淡い想いを寄せているお友達。お父さんが警備会社の社員らしく、防犯セキュリティ関係に詳しいために重宝されているメンバーですが、詳しい分守りの意識も強いため、今回の強盗には乗り気ではありません。が、ロッキーの「お願い…!」攻撃にあえなく撃沈、参加を決めましたよと。

その3人が「(大金があるらしいし)最後の仕事」としてターゲットに定めたのが今回のお話の舞台、盲目退役軍人のお宅訪問というわけです。フラグ感すごい。

ここは周りもほぼ退去してしまい、近所で住んでいるのはこのガチムチ爺さんのみ、おまけに爺さんは目が見えないということで、まさにおあつらえ向きのターゲット

過去最も簡単に最も多額の現金を手にできると思った3人は、(特にマネーが)余裕ぶっこいて調子乗ってウェイウェイしていたところヤベェ爺だったぜということで急転直下ピンチに見舞われることとなり、果たして彼らは現金を手にできるのか、それ以前に無事生還できるのか…というサバイバルホラーになっております。

導入はさすが話題となっただけあって面白いですよね。退役軍人とは言え目が見えない老人が大金を持って一人暮らし、周りは無人の家に囲まれ、こんな楽な仕事はねーぜと思いきや只者じゃなかったごめんなさい、っていう。

ただ「ドント・ブリーズ」というタイトルの割にそこまで聴覚が強烈でもなく、意外とやり過ごせた部分があった気はします。でもそれが悪いと言うことでもなくて、あくまで人間としてあり得そうなリアリティはむしろ良かったのかもしれません。一応、タイトルほど息も詰まる感じではなく、それなりに二転三転しつつのサバイバルというのは書いておこうと思います。

そう、意外と二転三転するんですよ。お話が。

なので割と「これどうなるんだろう…」と思わせるように頑張っている感じは受けました。ストレートにずっと逃げ続けるだけではないし、それなりにちょっとした背景が明らかにされて事情が変化していったり、というような面白さはありました。そこは良かったと思います。

ですが…!

もう強盗側がわかりやすくヘボいんですよね。ギリギリのドキドキ感を作り出すためなのはよーくわかるんですが、あまりにもきっちり時間稼ぎをしてくれちゃうので、「あーもうそんなことしてたら来ちゃうじゃんかバカー」みたいなのが結構多くて。

そういうパターンが何度も続くので興を削ぐし、裏切っているようで裏切れていない展開に残念感が強く。非常に惜しい内容のお話でした。

とは言え思っていたよりも工夫が見える内容だったし、徐々に退役軍人の状況が明らかになっていく展開も悪くなかったと思います。攻める側のはずの強盗が追い詰められていくというコンセプトも面白いし、アイデアという意味ではかなりのもの。それだけにもっと思い切った展開にして欲しかったなぁとも思うわけですが。

やっぱり脅すだけ、脅かすだけだと飽きちゃう部分もあるので、もうちょっと緩急がついていたら違ったような気がするんですよねー。惜しい。

結果、まあまあかなと。

余談ですが、USJとかでこの映画をテーマにした体験型お化け屋敷亜種みたいなの作ったら超怖くて面白そう。最悪死んじゃう、みたいな。(ダメ)

ドント・ネタバレ

ドントと言いつつネタバレなんですけど。

本レビューでもちょっと匂わせましたが、まあやっぱりまずはマネー君ですよ。なんなのあの雑魚感。開始数分で絶対こいつすぐ死ぬじゃん、ってわかるじゃないですか。そんでやっぱり最初に殺されるじゃないですか。そっから裏切ってくれないとさー。もうさー。わかりやすすぎてさー。

後はもう全滅か主人公一人だけ残ってハッピーエンドか、しかないじゃないですか。そこも若干裏切りそうで「おっ? もしやムナクソ悪エンディング??」と期待した部分もあったんですが、やっぱりそれもやりきれず仕舞いで。まあ終わり方は仕方がないとも思うんですが。

その後のロッキーの扱いの前フリとは言え、監禁女子のあっさり退場感も少し残念。あそこでもっと鬼畜感をアピールしてくれれば爺さんの悪役感がより強まって良かったような気もするんですが。それどころか自分で撃っといてオイオイ泣いてんじゃねーよと。

とまあいろいろ文句をブータレておりますが、とは言えやっぱりなんとか攻守入れ替えて二転三転させるぞ、という意欲はあったので悪くない映画だと思います。好みの部分でちょっと自分には合わなかったかな、という感じ。

このシーンがイイ!

予告編なんかでも目にした気がしますが、赤外線カメラっぽい独特の映像は良かったですね。恐怖も倍増で。

ココが○

いろいろ頑張って予想を裏切ろうとしていたのは良かったと思います。なかなかワンシチュエーションの割には変化があった気もします。

意外なことにエログロも無く、真っ当に「ただ爺さんが怖い」作りなので、ひたすら怖がれる人ならかなり没頭できる映画かも。

ココが×

やっぱりまごついてるとわかりやすい引っ張りになっちゃうのが辛いところ。サクサク逃げてそれでも追ってくる、みたいな作りの方が怖くて良かったかもなぁと思います。

スタートはもういきなり追い詰められている状況で、そこからちょっとした舞台背景を加えたり、序盤に見せた強盗の背景を途中に挟み込む感じで緩急をつけたりとかでも良かったんじゃないとか。時間軸ズラす系で。

MVA

登場人物も少ないし、順当に。

スティーヴン・ラング(盲目の老人役)

この人の怖さ、ガチムチ感がすべてだと思うので。実際怖かったです。

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