映画レビュー1140 『マッキー』

今回はウォッチパーティで選ばれたこちらの映画。観たかったやつでもあります。

ちなみにバージョンが2つあるようですが、2時間ちょっとだったので海外配給版の方だと思われます。

マッキー

Eega
監督
脚本
原案

ジャナルダン・マハリシ
クレイジー・モハン

原作
出演

スディープ
ナーニ
サマンタ・ルス・プラブ
アディティア・メノン

音楽
公開

2012年7月6日 インド

上映時間

145分(オリジナル版)
125分(海外配給版)

製作国

インド

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)

マッキー

人間主人公無しでも成立する力強さ。

8.0
あえなく殺されハエに転生した男、彼女を守るべく戦う
  • ストーカーじみた超ポジティブ男、ついに振り向かせたかと思いきや速攻殺される
  • なぜかハエに転生、殺した相手かつ恋敵を執拗に狙い彼女を守ろうと奮闘
  • 実質主役とも言える悪役の奮闘ぶりも見どころ
  • 他にない設定でさすがインド

あらすじ

当時から結構話題の映画だったので記憶にはあり、いつか観ようと思っていたところでようやく鑑賞となりました。

設定の奇抜さも去ることながら、それがしっかり物語として成立、面白いのがさすがインドすげーなと思わざるを得ません。

向かいのアパートに暮らす美女・ビンドゥ(サマンタ・ルス・プラブ)に何年も恋している青年・ジャニ(ナーニ)。毎日のようにまとわりついては無碍に扱われ、しかしそれもすべて前向きに解釈すると言うスーパーポジティブ男です。

しかしビンドゥの方もぞんざいに扱いつつも彼のアタックにまんざらでもないようで、なんだかんだありつつも2人はいい感じに。

ところが、“女はすべて自分の意のまま”だと思っている傲慢ブラック社長・スディープ(スディープ)があろうことかビンドゥと知り合ってしまい、恋敵となったジャニは彼の逆恨みによって殺されてしまう事態に。

すべては終わり…かと思いきや、なぜかハエとして生まれ変わったジャニ。非力ながらもハエならではの能力を駆使してスディープに嫌がらせを続け、高らかに歌い上げます。

「お前を殺す」と…!

悪役がむしろ主人公

くどいようですが、ハエが主人公の映画です。うんこ食うシーンとか出てこないかヒヤヒヤ。

ただハエは当然ハエなので、能力的に誇張されている部分はありつつも喋りはしないためセリフはゼロです。

一応その流れで言えば主人公はジャニ君になるんですが、ただ彼は早々に死んでハエになってしまうため、人間としての出番は少なめ。となると実は悪役のスディープ(役者の名前と同じ役名ってどうなの)が主人公なのでは…と思えるぐらいにスディープ映画でした。ジャケットでゴーグルつけてるのも彼だし。

ハエに襲われて苛立ちを募らせ、彼(ハエ)の駆除に命をかけるスディープの涙ぐましいほどの戦いを笑いながら眺める忙しい映画です。泣いたり笑ったり。いや泣かないけど。

まあ容易に想像できますが、ハエは殺すのも大変だし、終始耳元を飛び回られたら鬱陶しいことこの上ないわけで、明確に付け狙われているスディープがメンタルにダメージを負っていくのはよくわかるしなんならちょっとかわいそうになるぐらいでした。

殺しもやるしもちろんめっちゃ悪いやつなんですが、それでも気の毒に感じられるぐらいにハエが強い。そしてそう感じさせる絶妙なコミカルさもさすがインド映画と言うところ。

ちなみに監督・脚本はあの「バーフバリ」シリーズのコンビです。監督が息子で原作がお父さんなんだとか。親父からハエが主人公の映画の話を相談される息子の気持ちってどんなものなんでしょうか。奥が深いぜインド。(ちなみに音楽担当のM・M・キーラヴァーニは甥っ子らしいので、監督の従兄弟になるのかな?)

観やすいインド映画としてもオススメ

またインド映画らしく、ところどころで歌も出てくるんですがこれがまた妙に耳に残る。♪マッキマッキマッキーなんてもう勝手に脳内リピート指数が高すぎます。

途中で「1.お前を殺す 2.お前を殺す…」と殺意丸出しで歌い上げるハエもかなり物騒なんですが振り切っちゃってるだけに面白いし、これまたさすがインドだなと感心せざるを得ません。

当然、ハエによるダンスもちょろっと登場。インド映画に慣れてきた頃に「まだまだこんなもんじゃないぜ」とばかりに変化球を見せてくる懐の深さは本当に大したものです。

まあ設定が設定なので、リアリティだのなんだのを気にすること無く、ただ眼前の“謎ミラクル”を楽しむだけの映画ではあるんですが、それだけにSFコメディとして実は間口の広い良作であると言う点も見逃せません。

上映時間も2時間ちょっと、まさにインド映画に尻込みしている人たちに「まず観てみて」とオススメしやすい観やすさも大きなメリットで、ここからインド映画に入っていくのも良いのではないかと思います。アマプラにあると言うのも観やすさとして大きいし。

ハエでエンタメしちゃうインド映画のすごさをぜひ。

このシーンがイイ!

文字書いちゃうシーン良いですよね。殺意マックスで。

ココが○

「他にない設定」はもうこれ以上無いウリですよ。蚊になるゲームはあったけどまさかハエになる映画で一本成立しちゃうとは…。しかもちゃんと面白い。

ココが×

当然虫なので、特に誕生シーンについてはそこそこムシムシしてます。嫌いな人は要注意かも。

ただそこからはもう謎にかわいくなっていく一方なのであんまり気にならないだろうとは思います。

MVA

ヒロインもすごくかわいくて、相変わらずインド映画の女優陣熱いぜと思ったわけですが、今回ばかりはこの方でしょう。

スディープ(スディープ役)

ブラック社長。イメージ的には反社イケメン、って感じ。

(インド映画は別のインド語で吹き替えしている場合もあるので)ご本人の声かはわかりませんが声が死ぬほど渋いです。かつて聞いたことがないレベルに渋い。渋すぎてしゃべるだけで笑っちゃうぐらい。

その渋ボイスが必死になってハエを殺そうと戦うんですよ。銃とか意味あるのかよ、っていう。

その必死さがもう見事でした。撮影も大変だったと思うんですよね。実物のハエがいるわけでもないだろうし。素晴らしい活躍ですよ。

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