映画レビュー0270 『ミツバチのささやき』
「午前十時の映画祭」で上映予定だった作品ですが、諸般の事情により結局公開されなかった映画の一つ。BSでやってたので録画して観てみました。
スペイン映画って初めてかもしれない…。
ミツバチのささやき

絵画のような不思議な映画。
スペインと言うと、「情熱の国」と言われるだけに、陽気にカスタネットを片手に観ましょうねみたいな映画だったりするのかなと思ってましたが全然違い。非常に不思議な感覚の映画でした。セリフも音楽も最小限、陰影のある映像が印象的。
「夜」が主体なだけに、映像的にはかなり暗い映画ですが、危うさはあるものの、精神的な暗さはあまり無く、一人の少女の好奇心と成長を描いた映画、という感じです。(やらしい意味じゃないよ)
アレコレ展開をおさらいしたところであまり意味が無いような気がするので今回は省略。簡単に言えば、子供時代のあるエピソードをご紹介、というものでしかなく、劇的に何かが起きたり何かが変わったり、というものではありません。
正直なところ、「面白かったか」と聞かれても頷けません。ただ、絵作りと雰囲気、そして何よりアナの神秘性すら感じるようなルックスと演技は不思議と引き付けるものがあって、「現実と架空の世界の境界を理解していない」アナと同様、観ている方もフワフワした感覚で作品の世界に入り込むような映画でした。ちょっとファンタジー映画っぽくもありますね。
少し調べたところ、この映画が作られた背景には、当時のスペイン独裁者政権と分裂した国内事情があり、その体制への微妙な批判を表現しているために、全体的にかなり隠喩的な映画になっているようです。確かにその辺の事情に疎い僕のような人間からしてみれば、イマイチピンと来ないし何が言いたいのか的な印象は感じました。
きっとこの映画は、そういう当時の国内情勢に対する抵抗として作りつつも、芸術性を高めることで検閲から逃れると同時に「なんかいい映画だな」と思わせるような印象を持たせた映画、ということなんでしょう。
ただし、完全に“スペインだけ”のアンチテーゼというよりは、人間そのものに対するシニカルな視点のようなものも見て取れるので、まったくわからない、(他国の人間にとって)まったく意味が無いというような映画でも無いと思います。そしてそういう内容の割に、皮肉過ぎず暗すぎず、神秘的な雰囲気でまとめている、というのはなかなか他にない印象で、つくづく不思議な映画だなぁ、と感じました。
まあ、でもやっぱりこの映画はアナでしょうね。彼女の雰囲気が無かったら、個人的には全然観てられない映画になった気がします。
このシーンがイイ!
冒頭の、アナが映画を観ているシーンでしょうか。ハッとするかわいさがあってビックリしました。
ココが○
本当に不思議な雰囲気を持った映画なので、一度観てみても損はない気がします。ああ、こういうのも映画だよな、と思うような。
ココが×
やっぱりわかりにくさは確実にあると思うので、かなり人を選ぶ映画だと思います。実際、僕自身も(学がないせいもあり)この映画には向いてないと思います。
MVA
もうこれは事実上一択でしたね。
アナ・トレント(アナ役)
最初は男の子なのかなーと思って観てたんですが、女の子でした。
そんな中性的なルックスではありますが、まあとにかくかわいい。綺麗と言ってもいいかもしれません。笑顔よりも無表情な方がハッとさせられる不思議なルックスで、この映画の雰囲気にバッチリハマってましたね。


