映画レビュー1242 『エンド・オブ・ウォッチ』
今回はウォッチパーティから。
ペーニャの映画久しぶりだな〜とのほほんと観たんですが…。
エンド・オブ・ウォッチ
デヴィッド・エアー
ジェイク・ジレンホール
マイケル・ペーニャ
アナ・ケンドリック
デヴィッド・ハーバー
フランク・グリロ
アメリカ・フェレーラ
ヤヒラ・“フラキス”・ガルシア
『Nobody to Love』
ジョシュ・オム
デヴィッド・サーディ
2012年9月21日 アメリカ
109分
アメリカ
Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)

良い映画なものの過度なグラグラが気になる。
- 本人たちが勤務中に撮影しているテイで覗き見る「LAPDの日常」
- 恋愛・家族も含めたバディコンビの他愛もないやり取りや過酷な勤務を追う
- さながら“LA版警察24時”
- グラグラ具合がひどすぎる点は好みが分かれそう
あらすじ
ジェイクは良い人悪い人どっちでもおかしくないタイプなので「警官だけど悪い人なのかもしれない」と身構えつつ観ましたが普通に良い警官でした。
ロサンゼルス市警察(LAPD)のブライアン(ジェイク・ジレンホール)とマイク(マイケル・ペーニャ)は良き相棒として日々ロサンゼルスをパトロールしたり怪しい家に踏み込んで麻薬組織のアジトを発見したりといろいろご活躍しております。
パトカーを運転しているときは他愛もない会話をし、お互いの近況だったり恋愛状況だったりを話し合ったりする仲のいい二人です。
そんなある日、少々大きめの事件が起こりまして…応援に呼ばれた二人は現場に急行しますが、果たして。
どうしても気になるグラグラカメラ
サラッとしたあらすじになっちゃいましたが、ピークに描かれるエピソードを除くと割と雑多な内容であまり一本道のストーリーという雰囲気もなく、本当に「警官の日常」をダラダラ流しているようなお話です。
ただそう言うとあんまり良く聞こえないかもしれませんが、リアルな警官の日常を描いた物語としては悪くないし、主人公のバディコンビは本当に「その辺にいそうな警官」っぽくてリアルで、いわゆる“等身大の主人公”と言いますか…ヒーロー物ではない、「今どこかで起こっている事件を観ている」かのような生々しさを上手く作り出している映画だと思います。作り物っぽくないというか。
その印象を手助けしている一因が「ブライアンがビデオカメラを持って撮影している」テイで進む映像ではあるんですが、なぜか彼らと対峙することになる麻薬組織のメンバーも同じく「自分たちで撮影している」設定になっていて、双方手ブレの激しい手持ちカメラによる映像で話が進むのでまー観にくいったらありゃしない。
リアルさを出すためには定番の撮影方法とは言え、例の「ハート・ロッカー」を持ち出すまでもなく、僕はあまりにも行き過ぎるとリアルな効果以上に観づらいストレスの方が勝ってしまうタイプなので、その点でかなり乗りづらい面はありました。
もちろん全部が全部手持ちカメラ映像というわけでもなく、例えば車内だったり署内だったりは普通に撮影されているのである程度の緩急みたいなものはあるんですが、ただすごく大事な“現場”のシーンではグラグラひどいわ夜だし暗いわでまったく何が何やらわからないようなシーンもあり、さすがにちょっと行き過ぎじゃないかなーと思います。
ただそれが「本人たちもよくわからないまま必死に対応している」リアルさを生んでいる面も否めず、好き嫌いが分かれるところなんだろうなとも思います。
でも僕の場合はそれこそ生死がかかるような場面で「本人が撮影してます」はいくら創作でもあり得ないでしょと思っちゃうので、さすがにヤバい場面ではもうちょっとオーソドックスに撮っても良かったんじゃないの? という気も。
ただ全体的にそうやって(本人が撮っているテイでリアルさを追求した)没入感を大事にした映画ではあるので、じゃあいきなり別のカメラマンが撮ってる映像になると「誰が撮ってるんだこれは」みたいな違和感も生まれそうだし…難しい問題ではありますね。
まあ結局はさじ加減の問題で、あまりにも「何を撮っているのかわからない」レベルで揺れちゃうのはやりすぎだし、麻薬組織側も(偶然にも)自分たちで撮影してるんですよね設定もやりすぎじゃないのかなと思うわけですよ。按分に納得がいかないというか。
話自体はなかなか骨太で良い映画だったと思うだけに、映像面で気が散っちゃったのが非常に惜しいなと思います。僕個人の問題ですが。
やっぱり本場の警察は違うぜ
今「骨太で」と書きましたが、日常を描いている割に結構ハードな内容なのもポイントでしょう。
僕は鼻くそをほじりながら「ペーニャ久々だなーまた『ワザー』ってやってくれないかなー」なんてお気楽に観ていたわけですが、実際のところそんなお気楽野郎は鼻ごとぶっ千切ってケツの穴に詰めてやるぞぐらいのハードでバイオレンスな映画なので、結構しっかり覚悟して観ないとメンタルがやられかねません。
ロサンゼルスのアングラの生々しさと言うか、治安の悪い地域に対応する警察のしんどさみたいなものが存分に感じられる映画になっていて、そこが良くもあるし怖くもありました。
本当に「警察24時」的な雑多な(特に中盤ぐらいまでは)内容なんですが、それにしたってやっぱり本場の警察は違うぜ的な、日本との治安の違いに身震いする怖さがあって、そこは怖いもの見たさ的に面白かったですね。
もうその辺の普通の家が怖い。踏み込むだけで「これ絶対死体転がってるでしょ」みたいな怖さがすごい。応答がない怖さ。
そんな生々しさを存分に感じられるこちらの映画、LAPDのお仕事の過酷さが味わえると評判です。
ハードなバディモノが好きであれば結構好きなタイプではないかと思うので、我こそはという方はぜひ。
このシーンがイイ!
エンディングかなぁ。さすがの演技というか…。
ココが○
実際ここまでハードなのかはわかりませんが、しかしおそらく年に数回はこういう現場があるんだろうなと思わせる生々しい作りが良かったです。
ココが×
上に書いた通り、一本道のストーリーではなくサブクエばっかりやってたらいきなりメインクエが来ましたみたいな映画なので、少々雑多さが気になる面はありました。
あとはやっぱりグラグラカメラですが、おそらく僕はこれに敏感な方なので気にならない人はあんまり気にならないのかも。
MVA
まあ皆さん当然リアルで良いんですが…無難にこの人かなー。
ジェイク・ジレンホール(ブライアン・テイラー役)
主人公の警官。
如実にそういう表現はないものの、若干知能よりも腕力にパラメータを振っているような印象があって、そのさじ加減がすごく上手いなと思いました。
特段冷静でも無ければ知的でもない、でもその人物像がすごく現場の警官っぽい。この手の役をやらせたらやっぱりさすがだな、と。