映画レビュー0830 『リベリオン』
今回もおなじみネトフリ終了間際シリーズです。っていうかもう劇場行かない限りはほとんどそれなんだよちくしょう!!
最近ネトフリは終了作品が多いので困っております。その分捗る(本数観る)ことにはなるんですけどね。
リベリオン

設定はとても良いんだけど結局アクション勝負になってしまい…。
- 感情を抱くことが許されない近未来のディストピアが舞台
- よくある統治機構 vs レジスタンスの構図
- 低予算とは思えない世界観作りの巧みさ
- 最終的にはアクションなので物足りなさも残る
けっこー前から気にはなっていた映画で、今回めでたく(?)配信終了が来たために観ることになりました。
ちなみにずっと「ああ、あのちんこみたいな宇宙船が出てくるトム・クルーズ主演のSFでしょ?」と思っていたんですがあれはオブリビオンだったよ、ということでね。間違えないで頂きたいなと思いますね。実際。
あらすじに書いた通り、舞台は第三次世界大戦後、いわゆる独裁者である「ファーザー」と呼ばれる男が統治している都市国家で、人々は感情を持つことが禁止されているというなかなか壮絶なディストピアです。なんでも感情こそがすべての元凶だ、二度と戦争を起こさないためには感情を持たないのが一番だ、という理論だそうで。よくわかるけどしんどい世界。
その国家(多分世界統一国家)では、「感情を呼び起こすもの」として書籍や音楽、絵画やゲームと言ったいわゆる娯楽に関係するものはすべて禁止されていて、発見次第押収か焼却されることになっています。その違反を探し出し、証拠品及び所持していた人たちを処罰する捜査官が「クラリック」と呼ばれる人たち。
彼らは「ガン=カタ」と呼ばれる銃を使った格闘技を駆使する一流の“仕事人”であり、クリスチャン・ベール演じる主人公のプレストンさんもその中の一人でしかも第1級(というか多分最強のクラリック)だよ、と。イメージ的にはブレードランナーに近い感じでしょうか。
オープニングで彼は相棒のパートリッジと共に捜査に乗り出し、見事にあの「モナリザ」の原画を発見、焼却処分してすげーとか思うわけですが…それ以前に相棒があのショーン・ビーン…! これはきっと早々に退場を余儀なくされるに違いない、と思っていたら案の定彼は文学に勤しんでいることをプレストンに知られてしまい、あえなくグッバイ。早めの退場で期待を裏切らないショーン・ビーン最高。
しかし同時に、彼の姿を見てプレストンは疑問を抱くわけです。娯楽を禁忌とする今の世の中はどうなんだ…と。
そこから彼は徐々に変わり始めるわけですが…あとは観てチョーダイというおなじみの展開です。
ご覧の通り、設定的にはかなり「華氏451」を彷彿とさせるもので、あれのもっと近代的なSF+アクション寄りの映画と言って良いでしょう。
ベタとは言え設定や舞台の作り込みはなかなかのもので、こういうディストピアはそそられますなぁそうですなぁ。
そんなわけで設定的には大好物だったんですが、ただ結局一番の推しは「最強のプレストンが権力に立ち向かう=リベリオン(反逆者)」という部分なので、結局「プレストンつえー!」を強調した物語になっているのが少し残念ではありました。最終的にはアクションでバッタバッタと系になっちゃうんですよね。
その役割を担うオリジナル要素として「ガン=カタ」があり、オープニングの舞踏的ガン=カタシーンはスーパーダセェなと笑っちゃったんですが結局見終わったあとはかっこいいかも、という単純さもウリです。わたくし。
上に「ベタとは言え」と書きましたが、それは逆に言えばディストピア系SF好きにとっては「これこれ!」感ある外さない設定と言える面もあると思います。全体的にどこかで観たような設定だったり風景だったりするんですが、それ故に説明無しで世界に入っていける良さもあり、まさにディストピア系SFのいいとこ取りな印象。
んでそれだけだとそのまま「どっかで観た話だな」で終わっちゃうのでガン=カタってことなんでしょう。
そのアクションも確かに他ではあまり観ない形のガンアクションだし、主人公の強さをアピールするにはとても良い作りだとは思うんですが…やっぱり精神的な戦い(感情に流されていく主人公)を中盤までじっくり描いていたのに最後の最後はドンパチでカタを着けちゃうパワープレイ感とでも言いましょうか。そこが惜しいなぁとつくづく思いました。
登場人物も結構いい感じに配置されていて、友情があったかもしれない元同僚を手に掛けるオープニングのくだりであったり、その後任の野心あふれる同僚であったり、どっちが親かわからない無表情の怖さを持つ息子であったり、主人公に感情の火を灯すヒロインであったり、いろいろしっかりコマは揃ってるんですよね。揃ってるんですが…最後はその辺全部ぶっ飛ばしてYEAH!!! みたいなストロングスタイルなので、じっくりトランプでタワー(大統領の方じゃないよ)作ってるところをハラハラ観てたのに最終的にはアロンアルファでくっつけましたみたいな残念感がなんとも寂しかったですよと。
実は観る前にかなり推している方のご意見を聞いていたこともあってハードルが上がっちゃった面もあったんですが、僕からすれば上記の通り「積み上げ方と仕舞い方にギャップがある」惜しさが非常に強い映画だったので、もう少し中盤までの緻密さを最後まで貫き通して欲しかったな、と思います。舞台が好きなだけに余計に。
このシーンがイイ!
息子が出てくるシーンはどこも良かったですね。っていうか不気味な息子の使い方がすごく良かった。この映画。
ココが○
職場でも延々とファーザーの説法的映像が流れ続けてるような発狂感あるディストピアの見せ方はすごく好き。めっちゃ良い。どう考えてもみんな幸せじゃないけど「幸せな世界」って言い張る感じ。こういうSFはたまらないですね。
ココが×
やっぱり終盤の展開に尽きます。もう少し「考えさせられる」終わり方にして欲しかったんですけどね。ああ結局アクション映画なのね、って感じで終わるので。
MVA
感情を排した役としてクリスチャン・ベールはなかなか適役だったと思います。ただ後半はもうちょっと昂ぶりを見せて欲しかったとも思う。感情を排した前半と変わっていく後半とであんまり差がなかったのが残念。
ショーン・ビーンは(早めに退場の割に)意外と良い役だったのでちょっと嬉しかったんですが、今回はこの人にしておきましょう。
マシュー・ハーバー(ロビー・プレストン役)
プレストンの息子。
ライティングも上手なんですが、まあとにかく彼が不気味で最高なんですよ。ちょっとしか出てこないんですけどね。
こいつ絶対後半鍵握ってるだろ…! と思うぐらいに強烈な印象があって。実際どうなのかは言いませんが。
ディストピアにこの息子あり、な感じで良かったですね。


