映画レビュー0767 『エリン・ブロコビッチ』

今回もネトフリ配信終了シリーズです。タイトルは知っていましたが、ソダーバーグの映画だったんですね。

エリン・ブロコビッチ

Erin Brockovich
監督
脚本
スザンナ・グラント
出演
マーグ・ヘルゲンバーガー
トレイシー・ウォルター
音楽
主題歌
『救いの日(Redemption Day)』
シェリル・クロウ
公開
2000年3月17日 アメリカ
上映時間
130分
製作国
アメリカ

エリン・ブロコビッチ

子供3人を女手一つで育てる職探し中のエリン。ある日面接の帰りに信号無視の車に衝突される事故に遭うが、自身に過失のない事故だから必ず勝てると弁護士のエドワードに言われるも結局敗訴してしまう。怒ったエリンは代わりに自分を雇えと半ば強制的にエドワードの弁護士事務所で働き始める。

パワフル母ちゃんの雑草パワーが世の中を動かす。

7.5

タイトルはそのものズバリ主人公の名前なんですが、この方は実在する人物で、例のごとく「実話を元にした物語」的なお断りから始まる映画になります。

この手の映画は当然ながらある程度は脚色が入ってくるものなので、果たしてどこまで信じていいお話なのかは相変わらず不明ではあるんですが、ただ全体を通して観た印象としては嘘くさい面はあまりなく、細部は別でしょうが割と真っ当に現実に起こった出来事を教えてくれる映画ではないかと思います。

その主人公のエリン・ブロコビッチさん。3児の子供を育てるシングルマザーです。ただそうは見えないプロポーションを見せびらかすかのようなイケイケ(死語)の服に身を包む、いわゆるギャルママっぽい雰囲気のお方。昔はミスコンで優勝した経験があることからもわかる通り、そのスタイルとルックスにはかなりの自信とプライドをお持ちのようです。

演じるのはジュリア・ロバーツ。好き嫌いは別として、この当時の女優さんの中ではトップクラスであることは間違いがなく、その辺りの人選からも「美人シングルマザー」的なイメージを強く押し出している印象。おっぱいアピールすごい。

詳細は語られませんが何らかの理由で離婚してしまったために一人で3人の子供を養わなければいけない状況なんですが、キャリアも学歴も無いエリンはなかなか職にありつけません。何度も面接に行っては断られ、ある日の面接帰りにカリカリしていたところに突然信号無視の車にドーン! でムチウチになった彼女は、エドワードというベテラン弁護士さんに依頼して裁判を起こし、その損害賠償金で当座を凌ごうとしていたもののなんとまさかの敗訴ということで怒り爆発、「楽笑って言ってたじゃねーかー!!」とエドワードに激怒し、「使えなかったらクビにしていいからとりあえず雇え!!」と強引に彼の事務所で働き始めます。

当然ながら法律の知識もまったくない彼女は弁護士事務所で役に立つようなタイプではないんですが、ある日たまたま眺めていた不動産関係の資料から気になるものを発見、公害訴訟につなげられるのではないか…と考えた彼女はある巨大企業の工場近くで暮らす体調不良を訴える住人のところへ赴き、調査を開始する…というお話です。

この訴訟がどういうものなのかというのは実話だけに最初に書いちゃってもいい気もしますが、ただやっぱりあんまり事前情報は入れないほうが良いと思うので書かないでおきます。アメリカ的にはかなり話題になった訴訟なんだろうと思いますが、日本ではあまり馴染みのない内容だろうとも思うし。

まあ(フィクション的には)よくある「巨大企業 vs 弱小弁護士」的な構図の訴訟がメインのお話なんですが、それが実話であるということ、そしてその訴訟の中心人物として豪腕を発揮したのが門外漢のシングルマザー、というのがこの話の面白いところでしょう。

とにかくジュリア・ロバーツ演じるエリンさんがパワフルで。守るもの(子どもたち)があり、もうやるしか無いところに追い込まれているが故に力を発揮する開き直りの美学のようなものを感じるお話でした。

もちろん元から能力のある人物ではあったんでしょう。やると決めたらとことんやる、というようなタイプ。ただ彼女は本来であればどうあがいても弁護士事務所のようなインテリ職場に居場所を作ってもらえるタイプではないんですが、強引に居座って仕事をモノにしたが故に最終的には社会に大きな痕跡を残す、というのは一風変わったアメリカンサクセスストーリー的な側面もあって、なかなかすごい話だなぁと思います。

おそらくこれが巨大弁護士事務所であればまったく話は違ってくると思うんですよね。

そもそも「ふざけんな」で居座れないでしょうが、仮に居座った上でこの訴訟のとっかかりを彼女が作ったとしても、「後は任せなさい」でお払い箱なのが目に見えてます。

ですがたまたま彼女が居座ったのが弱小弁護士事務所で、主がいわゆるロートル(これも死語)の弁護士さんだったがために彼女が入り込む余地があり、そして彼女がいたからこその展開を作ったというのがこれまたなかなか奇跡的で現実の妙を感じます。

そのロートル弁護士を演じるのはアルバート・フィニー。割と癖のある役が多い印象だったんですが、この映画では好々爺的な面もありつつ、決してトップ弁護士ではないながら誠実に頑張る雰囲気がとても良かったです。エリンに手を焼きつつも彼女の力を認め、振り回されるある種のかわいさも爺好きには必見でしょう。

その他引っ越してきてエリンと事実婚状態になるトップアゴ割れ俳優の一人、アーロン・エッカートも出てきますがイマイチ立ち位置的には微妙な印象。

なかなかこう…ビシッと「うおぉ、すげぇ!」みたいなハマる映画ではなかったですが、ただ「(ある種の)異端児が社会を動かす」側面はなかなか面白い逸話だと思うし、3人の子供を育てるシングルマザーでも開き直って打ち込めば道が拓けるというような教訓としても観て損はないお話のような気がします。

自分の状況に文句を言う前に行動しろよ! と言われたような気がしないでもない。そんなジュリア・ロバーツのパワフルさが印象に残る映画でした。

エリン・ネタバレッチ

Wikipediaのご本人の項によると、「巨額の公害賠償金支払いの最初のケースになった」ということで、それはつまり逆に言えばこの訴訟までは「あんな巨大企業がそんな巨額の賠償金を払うわけがない」というような常識がまかり通っていたと思うんですよね。つまり常識から見て(映画でも描かれていたように)勝ち目の薄い戦いだったんじゃないかなと。

ところが彼女の熱意と調査能力と(この辺は脚色が強そうですが)記憶力、そして原告団との信頼関係の構築によって成し遂げたというのはいろいろ学べるところがありそうです。

やっぱり弁護士は仕事だし慣れもあってある程度ルーチンで動くのは仕方のない面があると思うんですよ。そこにエリンのような異端児が混ざることで常識から外れたパワーを作り出すというのは、我々底辺で生きる人間たちにも希望になるお話ではないでしょうか。

もちろんそこに至るまでがとにかく大変なのも間違いないんですが、通常であれば“凪”のところに波紋を広げる存在の面白さというのはやっぱりスカッとするし、希望を感じるものだと思います。

このシーンがイイ!

公害訴訟の弁護士報酬についてエドワードが伝えるシーンが良かったですね。エリンのツッコミ(とフォロー)含めて。

もう一つは当然ながらラストの部分。茶目っ気たっぷりのエドワードのセリフが良い。

ココが○

やっぱり実話に勝る力はないと思います。これ創作だったらホントに何でもない話ですからね。

ココが×

上に書いた通り、イマイチアゴ割れアーロン・エッカートの存在が微妙。必要なのはわかりますが、結構空気だった気もするし。

それとこれは良し悪し両面あると思いますが、イマイチソダーバーグカラーみたいなものが感じられなかったのが僕としては残念でした。過不足なくまとまっているものの、それだけ割と普通の映画という印象も強いかな。

MVA

絶賛されたらしいジュリア・ロバーツのエリン役も素晴らしかったと思いますが、好みによりこちらの方に。

アルバート・フィニー(エドワード・L・マスリー役)

エリンに振り回されつつ二人三脚で頑張る弱小弁護士。

上にも書きましたが、ある種かわいさのあるアルバート・フィニーというのはなかなかレアな気がします。とても良かったですね〜。

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