映画レビュー1130 『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

6月に新たに始まった「JAIHO」と言う配信サービスがあるんですが、これが毎日1本ずつ映画が追加&削除されていく形で30本から選んで観ることができる、という言ってみれば「配信ミニシアター」みたいなまさに待ち望んでいたサービスだったために満を持して7月に加入しました。そしてその一本目に観たのがこの映画、と。

チョイスが渋すぎるとは思いますが、なにせ配信終了当日だったのでしゃーないべやと言う話です。

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス

Ex Libris: The New York Public Library
監督

フレデリック・ワイズマン

出演

リチャード・ドーキンス
エルヴィス・コステロ
パティ・スミス

公開

2017年9月13日 アメリカ

上映時間

205分

製作国

アメリカ

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス

計り知れない価値はわかるものの、映画としては飽きてくる。

6.0
「ニューヨーク公共図書館」の日々を追ったドキュメンタリー
  • 図書館が担っている多岐にわたった役割を追うドキュメンタリー
  • ナレーションは無く、催された講義や関わっている人たちの会話をただ見せていく方式
  • 一般的な「図書館」のイメージよりも広大な範囲に及ぶ“文化拠点”としての崇高さが見どころ
  • しかし長いこともあって飽きてくるのは人の性

あらすじ

最初から「なげーな大丈夫かな」と不安にはなっていましたが、やはりと言うか…集中力も持続せず、なかなか厳しい鑑賞となりました。でもそれも仕方ないと思うんですよ。自分で言うのもなんですけどね。

さすがに3時間超えの「流すだけ」ドキュメンタリーは相当な興味がないとしんどいと思われます。その分真摯な作りでもあるとは思いますが。

その名の通り、アメリカのニューヨークに存在する「ニューヨーク公共図書館」。この図書館では92の分館を含め様々な事業が行われていますが、それらの様子を多岐にわたって撮影・編集したものをそのまま流したドキュメンタリーになります。

ナレーションや説明字幕による補完はほぼなく、中心になる人物もいません。ただここで行われている事業をありのままに流し、それを観た人たちがどのような価値を感じるのか、と言った内容のドキュメンタリーになっています。

すごいんだけど映画としては…

作りとしては「流しっぱなし」のドキュメンタリーなので、過去自分が観てきた中では「聖者たちの食卓」辺りに近いかなと思います。あそこまでストイックではないですが、それでも十分ストイックな作り。

映し出されるのは著名な人物による講演であったり“本業”の書籍貸し出しであったり様々ですが、そのシーンに登場する人物たちの会話については字幕が入っているものの、それらを補完するもしくは俯瞰するような制作側からのメッセージの類は存在せず、あくまで「そこで起こっていること」を伝えるのみに終止するドキュメンタリーです。

それ故非常に真摯な作りになっているため、声高に「だから図書館が必要なんです」とか「もっと予算のサポートがあって然るべき」と訴えるような“作為”は感じられないんですが、しかしそれは「ありのままを伝えるだけで十分にその価値が伝わる」と自信を持って作っているようにも感じられ、それだけこの図書館の社会的価値の高さが十二分に伝わってくる、ある種の“凄み”のようなものがありました。

このニューヨーク公共図書館は、日本でも著書「人を動かす」で有名な実業家アンドリュー・カーネギーらの寄付によって作られた歴史ある“図書館”なんですが、その事業は(図書館の枠を超えて)多岐にわたっていて、それこそ小さな子どもたちの教育の場になっていたり、就職活動を支えるイベントが企画されていたり、老人たちのコミュニティ作りの場になっていたり、もう本当に「社会活動すべて」をここが担っていると言っても過言ではないぐらいのもの。

それだけニューヨークに住む人たちにとってはとても重要な施設であり、正直これを観た誰もが羨ましいと感じるであろうぐらいに社会インフラに近い価値を感じました。端的に言ってすごい。すごいとしか言いようがない。そしてその「すごさ」を感じさせてくれるだけの情報量がこの映画のポイントなんでしょう。

ただし、やっぱりこの「その場をありのまま撮って見せる」映像が延々と3時間以上も続くため、さすがに飽きるのも人の性じゃないのかなと思うわけですよ。

例えるならデパートの1階から「○○売り場での1日」を全フロア順々に見せられているような作りのため、「ほほー、こんなものも売ってるのか」という感慨はあったとしてもそれを一定のテンションで全部観られるかと言われればなかなか厳しいじゃないですか。

もちろんそれよりかは興味深い内容ではあるんですが、印象としてはそんな感じでどうしても「ただ羅列した映像」が続く形になるため、よほど社会的な問題意識が強い…言わば“インテリ層”みたいな人たちでないと、なかなか最初から最後まで一貫して集中して観て「勉強になりました」とはならないかな、と思います。

それ故に「描いている内容は価値が高いものの、映画として面白いかと言われると微妙」と言うのが正直な感想になるかなと。

まあ、ドキュメンタリーなんて基本的にそんなものだとも思いますけどね。ある程度面白おかしくしちゃうとそこにはどうしても作為が感じられちゃうし、それはそれでドキュメンタリーとして良し悪しが出てきてしまうものなので。どっちが好みか、というのもあるでしょう。

鑑賞後の価値も考えれば

ただ「映画としては微妙」とは言え、僕としてはニューヨークにこんなすごい文化的な施設があること、そしてそこで行われている膨大な事業によって“公”について考えさせられる機会があったことは間違いなくプラスだったと思います。

もっとも「そのために3時間超黙って座ってられますか」と言われるとなかなかしんどいよなというのも事実なわけですが。同じ3時間使うならインド映画観てーよ、みたいな。

ただ知識という意味では間違いなく観る前よりも観た後の方が充実したとも思うし、ニューヨークに行く機会があったら一度覗いてみたいなとも思うし、その“鑑賞後”の報酬を考えればお得な3時間超かもしれません。

このシーンがイイ!

ご老人たちがダンスに興じているシーンがなんか良いなと思いましたね。まさに“社会包摂”を体現する施設だなとちょっと感動しました。

ココが○

これでもかと多様な事業を紹介してくれるので、今までの「図書館」の概念が変わるぐらいの衝撃はありました。本当にすごい図書館。

安っぽい商売っ気で図書館運営に携わるCCCのお偉方に見せたいマジで。あんな会社では“文化に手をつける”には100年早い。

ココが×

まー長いですよやっぱり。ドキュメンタリーの性質上、先の展開が気になる等の“引き”も無い以上3時間超をずっと集中し続けて観るのはなかなか厳しい。

推奨するわけではありませんが、若干片手間に観るぐらいの方が敷居も下がって気軽に観られるし良いかもしれません。

MVA

講演に登場する著名な方々の名前は挙がっていますが、彼らはメインでもないし複数回登場する人物もごく一部だったりするので今回も該当無しで。まあ前回同様ドキュメンタリーですからね。

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