映画レビュー0439 『フリーダム・ライターズ』

今回も引き続き教育モノ。

毎度のことですが、どうもBSプレミアムは同じようなジャンルや同じ監督・出演者の映画を続けて放映する傾向にあるようで、今回もその流れでまた同じようなテーマの映画になりました。

フリーダム・ライターズ

Freedom Writers
監督
脚本
リチャード・ラグラヴェネーズ
原作
『フリーダム・ライターズ』
エリン・グルーウェル
フリーダム・ライターズ
音楽
ウィル・アイ・アム
公開
2007年1月5日 アメリカ
上映時間
123分
製作国
アメリカ

フリーダム・ライターズ

とある高校に赴任した新人英語教師・エリン。彼女が受け持つ生徒たちは人種間のいがみ合いが激しく、授業は常に大荒れだった。彼女はそんな生徒たちに自腹で本と一冊のノートを与え、そこに好きなことを書くように提案する。

“教育モノ”の傑作かも。

8.5

これまた前回同様、お馴染み「不良生徒たちを更生させる先生」の実話を元にした物語。

オープニングで「ここはかなり荒れてまっせ」と威嚇するかのような描写が続き、正直「えー、こんな荒れてる街あるのかよ」と思うぐらい、毎日が戦争、毎日が抗争。銃持って学校に通うやつがいるぐらい、いわゆるスラム街的な街の高校が舞台です。

新人英語教師のエリンが受け持つクラスはまさに人種のるつぼ、黒人白人アジア系に(言及はされていませんが多分)ユダヤ人と、あらゆる人種がいて、さらにそれらがグループとして内にこもっているような状況。こんなところに新人の女性教師が赴任するわけですから、そりゃー「もって一週間」なんて言われても仕方のない状況。ですが主人公のエリンは信念を持って、時に自腹を切って生徒たちに寄り添い、徐々に彼らの心を変えていきます。

生徒たちの生活は壮絶なもので、普通に目の前で殺人事件が起こったり、冤罪による逮捕が横行していたりと「そりゃあヤサグレないハズがない」というような生活。そんなところで「さぁ勉強せい」と言われたところでそんな余裕も真面目さも持てないのは頷けます。

それでもエリンはへこたれず、いくつかの方法で彼らとの距離を縮めていくわけですが、その方法はなかなかユニークでもあり、またそんなに突拍子もないものでもないので、割合素直に受け入れられる展開がまずいいな、と。

コーチ・カーター」はあらゆる面であっさりしていたわけですが、こっちは各生徒のバックグラウンドの描写も丁寧だし、その彼らに対するエリンの接し方、心の寄り添い方がベタではあるものの非常に真摯なものなので、観ていて受け入れやすい物語になっていると思います。

特に面白かったのが、体験型の教育を取り入れている点。「英語教師」でありつつも、彼らに外の世界を知らせたいとちょっとした社会見学のようなものをやったり、ホロコーストや「アンネの日記」の当事者との接点を持たせる、「外の社会とのつながり」を意識した教育は効果が高いのも頷けます。

そういった教育の実際を含め、エリンの家族や生徒たちの日常もしっかり丁寧に描いているし、見せ所も緩急織り交ぜてしっかり作ってあるので、そりゃーもう泣いちゃいますよね。そりゃあ。

結構ジワジワ来るシーンがいくつかあって、割と早い段階から「こりゃーいい映画だ」とウルウルしてました。多感な10代の素直さ、悩みが伝わりやすい作り、演技も良かった。

「そんな素直にやるかなー」とか「みんなそんなにちゃんと本読めるのか?」とか気になった部分はいくつかあったものの、総じて丁寧だし、映画らしい興味の惹き方も心得ているし、この手の教育を取り上げた映画としてはかなり質の高い映画だと思います。

差別をしない、全員が仲間という一体感も良かった。こういうクラスにいたらそりゃー変わらざるをえないだろうし、いい先生がいい人間を作るんだな…と改めて実感した次第。

教師に縁のある人はもちろん、ちょっと泣きたいぜ、というようなご要望にも耐え得る、なかなか良質なヒューマンドラマと言っていいでしょう。

意外なヒットに大満足。オススメ。

このシーンがイイ!

エンディング。実際の先生と生徒たちの写真が出てきます。これはさすがに強い。

ココが○

テンポもいいし、エピソードもしっかりしているし、何より「コーチ・カーター」との違いで言えば、スパンが長いのが大きいな、と。「急にいいやつになった」とかそういう違和感が無いので、成長物語においてそれなりに長い時間を描いている、というのは大きい要素かも、と思いましたね。

ココが×

上に書いた細かい点を除けば、ほぼなし。

MVA

イメルダ・スタウントンがあまりにもそれっぽい役柄で最高でしたが、今回もまた、順当に…。

ヒラリー・スワンク(エリン・グルーウェル役)

まあこの人はうまいですからね、やっぱり…。

終始ちょっと涙をためているかのような、グッと来てる感じの演技がすごくよくて、「先生につられて泣いちゃったじゃんかよー」みたいな。人のせいにして泣く、みたいな。

話を聞けば、彼女自身がこの話を気に入って製作総指揮もやったそうなので、そりゃあ気合いの入りっぷりも違うんでしょう。でもリハーサル嫌いらしいですけどね。

あとはお父さん役のスコット・グレンがさすがの安定感で良かったのと、生徒にも数人、印象的でいい役者さんがいたように思います。全体的にレベルが高い映画でしょう。

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