映画レビュー1396 『フレンドゾーン』

年末から2月まで忙しくて全然レビューを書けなかったんですが、3月に入って仕事がクソ暇になったのでついに今現在最終鑑賞作に追いつきました。会社で書いてます。やったね。

JAIHOで残っている絶対観たい映画はこれぐらいかな、と思っていた一本です。またタイのラブコメだけどね!

フレンドゾーン

Friend Zone
監督

チャヤノップ・ブンプラゴープ

脚本
出演

ナパット・シアンソンブーン
ピムチャノック・ルーウィセートパイブーン
ジェイソン・ヤング

音楽
公開

2019年2月14日 タイ

上映時間

118分

製作国

タイ

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

FRIEND ZONE/フレンドゾーン

こんな恋愛がしたい人生だった。来世に期待。

9.0
高校時代の“呪いの言葉”で友達以上恋人未満が続く2人の関係
  • 学生時代から親友で、高校のときは父親の浮気調査に一緒に行った男女の物語
  • 変わらず親友のまま10年の時を経て、今度は“今カレ”の浮気調査に乗り出す2人
  • お互い好きなのに今の関係性が大事すぎて踏み出せない
  • 例によってヒロインが素晴らしい

あらすじ

ついこの前観たタイのラブコメ「アンニョン! 君の名は」があまりにも良かったのでさすがに同じレベルのものがそうそう来ないでしょ…と思ったらなんならあれ以上に良かったので衝撃、またもおっさん落涙です。単純にラブコメに弱い、ってコト…?

かつて高校時代、親友パット(ナパット・シアンソンブーン)の運転で父の乗る車を追走、浮気調査に乗り出したギン(ピムチャノック・ルーウィセートパイブーン)。飛行機まで乗って追っていった先で“確信”を得て帰りの飛行機で号泣する彼女に、パットは「俺がいるから大丈夫。愛してる」と告げますが、それを聞いたギンは「一回だけ聞くから答えて。その“愛してる”はどういう意味?」とガチトーンで質問。

そこでパットは「心を許せる一番の友達としての愛」と答えてしまったことで、いい感じになりそうだった2人は“なんでも言い合える親友”の距離感で固定化されてしまうのでした。

やがて10年後…それぞれに恋人を作って暮らしているものの、パットの方はやはりまだギンに未練があるようで、「友達から進めない」男たちでやけ酒を煽っております。

一方のギンは若い頃のヒロミゴー似のイケメン音楽プロデューサー・テッド(ジェイソン・ヤング)にベタ惚れなんですが、彼は曲の収録のためアジア各地で美人ミュージシャンたちと仕事を繰り返しているだけに浮気をしているんじゃないか…と気が気でない状況。

疑いが晴れないギンはまたもパットを呼んで一緒にレコーディング先まで“浮気調査”に向かいますが…。

翌日まで引きずる羨ましさ

僕は知らなかったんですが、「フレンドゾーン」って単語自体がそのまま「友達以上恋人未満」的な意味合いらしいですね。なのでタイトルまんまの映画です。ちなみにJAIHOでは「FRIEND ZONE/フレンドゾーン」表記ですが、まあいいじゃろってことでカタカナのみのタイトルにしております。なおタイでは(おそらく映画とは関係のない)同名のドラマもある模様。

「好きだけど親友でいたいから進めない」…結構よくある関係性を描いた映画かなと思いますが、しかしそのごく一般的な関係性でありつつ中身はしっかり丁寧なラブコメになっていて、まーやっぱり今回もしてやられました。ものすごくしてやられました。

何度も書いていますがタイのラブコメは非常にレベルが高く、ハリウッドラブコメのお決まりパターンの一歩先を行くものだと思いますが、その違いがなんなのか…理解力(及び恋愛力)の薄い僕には言語化できません。

ただなんとなくですが、やっぱりタイのラブコメはすごく丁寧な気がしますね。エピソードにしても、キャラの描き方にしても、盛り上げ方にしても、全部。

もはやラブコメになると毎回書いていますが、結局は「最終的にジャケットの2人がくっつくまでの話でしょ」と思って観るじゃないですか。観るんですが、終盤すごい不安にさせてくれるんですよね。「あれ、これワンチャンヒロミゴーエンドあるの…?」って。それぐらい観客に「どっちだどっちだ」と思わせるのが上手い。「アンニョン!」もそうでした。

で、最終的にどうなるかはもちろん書きませんが、そこに至る過程もその選択についても丁寧に見せてくれるから納得感があるし、「わかりきってる」はずがドキドキ楽しめるという素晴らしい映画になっております。

今作に関しては最後で少し「これはどうなのかな〜」と感じるミスリードもあったので手放しに最高とは言えないんですが、それでも翌日になっても「こんな恋愛がしたい人生だったな…」と引きずるぐらいには良い映画で羨ましさがすごかったです。もはや現世に期待は持てそうにもないので、来世に期待だなとまたも涙ながらに鑑賞を終えました。

んで、これも「またかよ」と思われそうな話なんですが、今作もまたヒロインを演じる女優さんが素晴らしすぎる。

そのヒロインを演じるピムチャノック・ルーウィセートパイブーン(長い)を見るのは「愛しい詐欺師」以来2度目なんですが、あの映画と同様にコメディ適性も素晴らしく高いし、何と言っても「友達感」が凄まじい。こんなに「友達にいそうなかわいい女子」が似合う女優さんはなかなかいないでしょう。

友達感を高める色気や品の無さをあけすけに感じさせる隙だらけ感も相まって、「かわいいんだけど恋愛対象になりにくい」雰囲気の作り方が職人級。実際間近にいたら超かわいいんだろうけど雰囲気でそう感じさせないというか。その辺の演技も凄まじく上手いです。

泣きの演技もものすごく上手で切実に思わせるし、でもその直後「うっそだよーん!」って笑いそうな軽さも持ってるしで、この役に合う人を世界中で探してもこの人が第一チョイスになるんじゃないかと思えるぐらいにぴったりでした。マジで。

一方相手役となるパットを演じるナパット・シアンソンブーンも絶妙に友達感があり、ライバルと言えるヒロミゴー似のイケメンがマジイケメンな上に世界中で活躍する音楽プロデューサーなので職業上の引け目みたいなものも手伝って「親友以上になれない」雰囲気が非常に盛り上げてくれます。

パットはパットで客室乗務員なので仕事としては全然負けていないと思いますが、ただやっぱり芸能関係の華やかさみたいなものにはどうしても方向性として違いが出てしまうので、そっち方面が好きな女子に対してはなかなか難しい(そもそも長い付き合いの同級生だから職種云々あんまり関係ないだろうけど)ところがあります。

古い付き合いの客室乗務員か、それともこの先さらに世界で羽ばたく可能性がある音楽プロデューサーか…と言われるとやっぱりね。考えちゃいますよね。

ところで細かい話ですが、ギンはヒロミゴーに「マネージャー兼恋人」と紹介されていたりもして実際一緒にスタジオで働いてたりもするのでそうなんでしょうが、となるとヒロミゴーの(JAIHOでもそう紹介されている)「音楽プロデューサー」という肩書もちょっと違和感があるというか、最初に舞台上でギター弾いてたし「プロデュース業もやるミュージシャン」なんじゃないかなと思ったんですがどうなんでしょうか。そんな細かい部分を気にしてる人はいないんでしょうか。

いずれにしてもアジア各国のミュージシャンたち(皆さん有名なミュージシャンでカメオ出演しています)と一緒に仕事をする“大物”であるヒロミゴーはパットにとって相当な難敵であることは間違いありません。

ラブコメレベル世界一では

またその物語の性質上、アジア各国を巡るちょっとしたロードムービー…ではないですが旅行感覚のある映像が楽しめるのも嬉しい。残念ながら日本は出てきませんでしたが。

タイ国内を含めたロケーションの紹介部分もなかなかおしゃれで演出も洗練されていて、コッテコテに笑わせに来るメート・タラートン作品とはちょっと違った「綺麗なラブコメ」でした。その分いろんな人にオススメできるかなと思います。もっともメート・タラートン作品は何度も観てると癖になる良さがあるのでこれまた方向性の違いでどっちもアリなんですけどね。

ということで相も変わらずレベルの高さを見せつけられ、もしかしたらラブコメのレベルは世界一なのでは!? と本気で思ってますタイ映画。

僕にとってタイ映画の最高評価は今も「すれ違いのダイアリーズ」なんですが、それ以外の作品もどれも本当にレベルが高く、「映画は好きだけどタイ映画は観たことがない」ような人は本当に一度攻めてみてほしいと思いますね。漁師だったら思わず「こんな漁場があったんか!」と叫んでしまうぐらいにブルーオーシャンです。使い方間違ってるけど。

とりあえずJAIHOにあるものでは

辺りはマストです。ぜひ観ましょう。

その他のタイラブコメ(奇しくもサニー・スワンメーターノン出演作が多い)は一歩落ちますがよくできているものも多いので、興味があったら引き続き観ていってね、といったところでしょうか。

このシーンがイイ!

「ジャッキー・チェンじゃない」のシーン。考えるとなんでああしたのか意味がわからない破天荒なシーンなんだけどかわいさとキャラで許されちゃう感じ、最高でした。この人だからだなぁ、としみじみ。

それとおなじみですがエンドロールのNG&歌のシーンも大好き。タイ映画とインド映画は最後まで楽しませようとああいうのが多い印象で、そこも好きですね。

ココが○

仲のいい友達が恋愛対象と重なってくる経験がある人は、やっぱりベタでもすごくいろいろ共感できるしそこがまたグッと来ちゃうと思うんですよ。そうじゃなくても全体的に丁寧でしっかり作っているので素晴らしいし。

あとはやっぱりライバルがしっかりいい男なのが当たり前なんですがすごく良かった。あれで変な男だと「さっさと乗り換えたほうが良くない?」で覚めちゃいますからね。そこの説得力は本当に大事。

ココが×

唯一挙げるとすれば、やっぱりちょっとミスリード感があった終盤の見せ方。そこぐらい。

MVA

皆さん良かったんですが散々書いたこともあり、文句無しでこちらのお方に。

ピムチャノック・ルーウィセートパイブーン(ギン役)

ヒロイン。超美人! って感じではないけどかわいくて近くにいそうな感じがすごく素敵。でも多分メイクとか演技で超美人っぽさも出せる人だと思います。

この人の親しみやすい雰囲気はちょっと他に思いつかないぐらいのレベルで、それ故ラブコメヒロインとしてこの上ない存在ではないかと思われます。ちなみに名前がなげーと思ってたら愛称は「バイフォーン」だそうです。

なおタイで大ヒットした「ニラの復讐」というドラマではかなりシリアスな演技をしているようなので、これも気になる…!

何が良かったのかは上に散々書いたので割愛しますが、最後に一つ余談を書くと…この映画の撮影後、主演の2人はリアルカップルになったんだとか…! マジカヨ! 羨ましすぎるぜ!!

この映画みたいに友達のようなカップルだとすごくいいな〜と思うんですが、どうなんでしょうね。末永くお幸せに、ということで。

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