映画レビュー0207 『紳士協定』

今週も結局一本になっちゃいましたが、古い映画のご紹介を。もっと観たいんだけど…なかなか本数が伸びませんなぁ。

あ、あと超今さらなんですが、リニューアル修正終了しました。(遅すぎ)※2017年追記:前のサイトの話です

もしもまだ黒文字で読みにくい場所とかあったら教えていただけると助かります。

紳士協定

Gentleman’s Agreement
監督
エリア・カザン
脚本
モス・ハート
原作
ローラ・Z・ホブソン
出演
ドロシー・マクガイア
アン・リヴィア
音楽
公開
1947年11月11日 アメリカ
上映時間
118分
製作国
アメリカ

紳士協定

反ユダヤ主義に関する記事の執筆を依頼されたライター、フィル・グリーンは、自分はユダヤ人である、と嘘をついて生活することで、取材ではわからない、世間での差別の実態を取材しようと試みる。

未だ色褪せないテーマの名作。ただそれはそれで良いことでは無いという悲しさ。

7.0

日本人からすれば、「反ユダヤ主義」というのはなかなかピンと来ない部分はあると思いますが、これは(多くの差別をテーマにした映画がそうであるように)切り口として「反ユダヤ」というだけで、対象が例えば黒人であったりそれこそ日本人も含めたアジア人であったりしても、制作者が伝えたいこと、そして鑑賞者が受け取るものは同じだと思います。

ただ、この映画の肝だと思いますが、「自分はユダヤ人である、と嘘をついて人々の価値観をあぶり出す」というストーリーである以上、差別の対象が黒人だったりアジア人だったり、というのはなかなか難しいわけです。

でも、「行われている差別」には一様に同じようなものがあるだけに、その問題を顕在化させるための作り方として、この「自分はユダヤ人だと嘘をつく」という作り方は、(見た目上わかりにくいために)単純なようでいてすごく上手いな、と思います。

とかく「差別」と言うと、子供時代の「いじめいじめられ」のようなパターンを想像しがちな部分があって、その上で「自分はそんなことしないし」とその差別と自分の間に線を引きがちな面があると思いますが、この映画はそういう人達に対する「黙っていることの罪」を訴えているのがすごくリアルで、ものすごく自分にも刺さるものがありました。

この前、まったく別の機会で、とある社会学者の人が、「例えばボランティアに行く人と行かない人がいて、行った人は『ボランティアに行く』という選択をしているわけですが、行かなかった人は何もしていない、というわけではなくて、『ボランティアに行かない』、『何もしない』という選択をしている、そこに意志が介在している、という視点が日本人には無いんですね」というようなことを言っていて、これもまたすごく刺さったんですが、まさにこの指摘そのものがこの映画のテーマだったな、と。

この辺はなかなか文章では伝えにくいものがあるので、これはぜひ、いろんな方に観ていただきたい映画だな、と。ひじょーーーーに考えさせられました。

あと書いておきたいのは、こんな社会派なテーマでありつつも、日常的なドラマに落とし込んでいるので、そこまで重さや堅苦しさがない、という点。これもまたこういうテーマを見せる作りとして、なかなかうまいな、と。

恋愛絡みではあるんですが、最後の方ではちょっとホロッとしたりもして、全然古さを感じない名作だなぁ、と感心しました。

が、それと同時に、このテーマに「古さを感じない」というのは、今も同じような差別が確実に残っていることを意味するわけで、この頃から今に至るまで、人間って成長しないんだな、という悲しさもまたありました。

最後の方で、そういう部分に思いを馳せさせるようなセリフを主人公のお母さんが言うんですが、ここでまた一歩、深く考えさせられざるを得ない、なんとも言えない余韻が残りましたね。

はたしてこの映画を作った人々が、今に生きる自分たちのような未来の人たちへのメッセージになると考えていたのか、それとも“風刺”になると考えていたのか…。

僕なんかには知る由もありませんが、どちらにせよ、この映画の時代と現代とを見比べながら、いろんな意味で考えさせられる映画だと思います。

このシーンがイイ!

ハネムーン先で行こうとしていたホテルでのやりとり。周りの人の視線の動きがすべてを物語っていて、ここでもまた、今も変わらない悲しさを垣間見た気がしました。

ココが○

「差別」というのは生きている以上、誰もが避けては通れないものだと思うので、そのテーマを考えるという意味では、今時の「わかりやすい差別」を描いた映画よりもよっぽどリアルで、考えさせられる映画なので、社会派映画が好きな人にはぜひオススメしたい映画です。子供に見せてもいいんじゃないかなぁ。

ココが×

社会派なテーマでさらにモノクロ映画なので、ある意味では非常に観る人を選ぶ映画だと思います。いろんな人に観て欲しいですけどね…。

あと、個人的にはかなり面白さ的に急カーブのイメージで、前半は結構退屈ではありました。ラストの方でグッと魅せてもらった感じだったので、全編通して面白いよ、という感じでは無いです。

MVA

最後の方のセリフで、この人だなぁ、と。

アン・リヴィア(グリーン夫人役)

主人公のお母さんで、途中で病に倒れるんですが、そのエピソードがラスト近くのセリフに効いてきて、さらにそのセリフが今の時代に効いてくる、という恐ろしくよくできた展開。

「おばあちゃん」なので当然派手さは無いですが、素敵な存在感がありました。

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