映画レビュー0659 『ゴースト・イン・ザ・シェル』

攻殻機動隊は原作もアニメも一切触れたことがないんですが、面白そうだなぁと思っていたので楽しみにしていました。

今年はこれで劇場4本目、ほぼ月イチペースですね。わざわざ2Dでやっているところを探し、某しんちゃんの牙城まで攻め込む形に。オラオラ。

ゴースト・イン・ザ・シェル

Ghost in the Shell
監督
ルパート・サンダース
脚本
ジェイミー・モス
ウィリアム・ウィーラー
原作
『攻殻機動隊』
士郎正宗
出演
ピルー・アスベック
ビートたけし
ジュリエット・ビノシュ
マイケル・ピット
チン・ハン
ダヌーシャ・サマル
ラザルス・ラトゥーエル
泉原豊
タワンダ・マニーモ
桃井かおり
音楽
ローン・バルフェ
公開
2017年3月31日 アメリカ
上映時間
107分
製作国
アメリカ

ゴースト・イン・ザ・シェル

人間と機械の境界が曖昧になった近未来。サイバー犯罪やテロ行為を取り締まる「公安9課」に勤める“脳以外すべて義体”のエリート捜査官「少佐」は、あるテロ組織の事件の捜査に関わるうち、自らの記憶の“真実”に近付いていくが…。

映像はハンパ無いけどストーリーはフツー。

6.5

ということでいまだにいろいろな創作物に影響を与えていると言われる、伝説的なマンガ「攻殻機動隊」の初実写版映画。最初に書いた通り、僕は原作にまったく親しんでいないので、ストーリー的に原作との違いがどうなのかとかはサッパリわかりません。

主人公である「少佐」を中心に、「公安9課」というエリート犯罪捜査組織がとある事件を追っていくうちに、その少佐の出自や、彼女が第一号である“脳以外すべて義体”の人たちのプロジェクトについての真相に迫っていく、というSFサスペンスになっております。

この映画化の話を初めて耳にしたのは…もう4年ぐらい前でしょうか。当時から「草薙素子がスカーレット・ヨハンソンはおかしい!」といろいろ叩かれていた気がしますが、良くも悪くも原作に思いの無い人間からすれば、スカーレット・ヨハンソンはものすごく合っていた気がしますねぇ。もちろんあの顔ではあるんですが、黒髪ショートなだけでなんとなく「よくハーフ? って聞かれるんですけど純日本人です」みたいな女子に見えなくもない気もしないでもない、という。何より“脳以外すべて義体”、つまり顔も作り物という設定からすると、これほどぴったりな人はいない気がしました。

正直この規模の映画の主役を張れるレベルのアジア人で、ここまであの綺麗かつ無機質な美しさを持っている(上に演技も申し分ない)人は…いないでしょう。メイクも編集もすげー大変だっただろうなーとかそういう余計なことばっかり考えちゃったぐらい、接写もめちゃくちゃ綺麗で。良い意味で人間さの無い、「ものすごく良く出来たCG」っぽい肌みたいな。いやー、改めてスカヨハすげーな、と思いましたね。世間的にはお肌の曲がり角的な年齢のはずなのに。

んで、何度か書いてますが僕は「アイアンマン2」の時は彼女のアクションダメだなーと思ったんですよ。ただもうさすがにそれから何本もやっているせいかアクションもお手の物で相変わらずカッコイイし。原作における少佐の性格もよく知りませんが、ことこの映画におけるキャラクターとしては、やや冷たそうだけど人間味は失っていない感じと、自分の出自に揺れる細かい心理描写は文句ない演技だったので、見た目と原作依拠だけで「主役を日本人にしました!」とかやっちゃった方が大惨事になったんじゃないかと思います。

ただ、キャスティングで言えば…正直言ってスカーレット・ヨハンソン以外はやや落ちる印象が強く、もう一人、できれば黒幕的な敵役の人にはもう少しビッグネームを充てて欲しかったなぁという気はしました。バトー役のピルー・アスベックは良かったと思いますが、他は大体迫力不足な印象で…。

で、一応書いておかないといけないと思うんですけどね、ビートさんですよ。荒巻役。

もうこれが箸にも棒にもかからないほどひどかった。

最初はどっちかって言うと応援する気持ちで観ていたんですよ。話によると一度は「英語できないし」って断ったらしいんですが、日本語でいいからやってくれと頼まれたらしいんですが…だったらもうちょっとマシな演技してくれよ、と思います。

一人だけ(厳密に言うと違いますが)日本語で話し、会話が成立する世界…まあそれはいいでしょう。テクノロジー云々でいくらでも説明のきく世界だろうし。

そういう細かい設定どうこう以前の問題というか…まあ早い話が演技がひどい。なにせ日本語なので抑揚も細かく伝わっちゃうし、いかに平坦な話し方なのかがひどくわかっちゃうので、これはちょっと擁護できないな、という感じで。

その辺のキャスティングの問題を抜きにしても、すごい映像でいかにも込み入ってそう…に見える話も意外とフツーだったし、映像がすごい分期待が膨らむんだけど…それほどの話じゃなかったな、みたいなガッカリ感があってですね。

「ハリウッド大作!」「あの攻殻機動隊原作!」「スカヨハ主演!」的な掛け声の前にパッタリ倒れちゃったハリボテ感が。こう言っちゃうのはちょーっと厳しめな気はしますけどね。

これ以上込み入った話にすると、多分予備知識が無い上にこの手のサスペンス的展開に慣れていない人はついていけなくなっちゃいそうな気もするし、大作としてはギリギリのところだったのかもしれません。僕はこういうSFサスペンスが結構好きな方なので「もっとクレクレ」と思っちゃった部分はあります。かと言って高校生カップルが観て「超すげぇ!!」ってなるのかというと…そこまで優しいとも思えないし、イマイチターゲットがどこにあるのかがわかりづらい映画のような気はしました。

原作好きな人からすればもっといろいろ思うところもあると思いますが、ひとまず原作を知らない映画好きからすれば、世界観は良いけどもう一歩…というところでしょうか。

このシーンがイイ!

オープニングがめっちゃかっこよかったです。ものすごい期待値上がった。その後の最初の飲みの席に飛び込むアクションも超かっこよかった。ということで開始20分ぐらいが一番の見所です。

ココが○

とにかく映像は素晴らしいですね。「ブレードランナー」の正統進化って感じで。未来感と気味の悪さが同居した、良い意味で気持ち悪い世界がすごくイイ。

あとは原作を知らない人間が何言ってんだ、って話ではあるんですが、なんとなく雰囲気的にはかなりしっかりと原作をリスペクトしているように見えました。今までのハリウッド映画でありがちだった「なんちゃって日本」という感じではなく、背景には“間違っていない”漢字が結構配置してあったりして、細かい部分でちゃんと「日本原作の映画だよ」というのを見せてきている気がしました。

今回初めて中国資本丸出しのオープニングロゴを観て、それ故にやや中国寄りの舞台になっているんじゃないかなと予想しつつ観ていましたがそういう部分はあまり感じられず、むしろ日本に由来がある物語だということをしっかり表現しようとしていたように見えたので、面白さどうこうは抜きにして、原作に対して誠意のある作り方をしていたんじゃないかなと思います。

しかし原作は結構古いハズですが、表現方法の巧みさなんかもあるとは言え、現代における“近未来SF”として普通に成立する世界観っていうのは…すごいですね。原作の力がすごい。

ココが×

上に書いていない部分で言えば、ラストの決着をつける最もピークのバトルがあるんですが、そこがやっぱりご多分に漏れずかなり暗い場面での戦いなので、あれはもう3Dだと観られたもんじゃないと思いますね。この映画の3Dはほんとキツイんじゃないだろうか…。あの映像をどう3Dにしたのかは少し気になるけど、あの暗さはどうあがいてもカバーできない気がする。

あと少佐の義体、あんな艶かしくしなくてよくね? と思いましたが、編集を考えて素のスカヨハとできるだけ近い形にしたんでしょうか。それにしてもちょっとむっちりしすぎじゃないかと思いましたが…。

この話で妙なエロスが出ちゃうのは余計だと思うんだよなー。おっぱいの膨らみすらいらないと思うし。まあその辺は原作との兼ね合いもあるんだろうし、難しいところなんでしょうが。

MVA

意外なところでは桃井さんがね。英語も上手でとても良かったですね。某ビートさんとはまったく違って。正しい日本人の使われ方だと思います。ただまあこの映画はもうこの人しかないでしょう。

スカーレット・ヨハンソン(少佐役)

上に書いた通りですが、「作り物のように綺麗な造形」で「アクションもこなせ」て「主演を張れるネームバリューと演技力」からすればこの人以外は無かったんだろうな、と納得の人選。

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