映画レビュー0797 『ゴーストバスターズ(2016)』

今回もネトフリより。これは配信終了間際ではなく、最近配信を開始したようです。こういう見逃した最近の映画をやってくれるのはありがたい限り。そう、これは「最近」のリブート版の方の「ゴーストバスターズ」になります。

ゴーストバスターズ

Ghostbusters
監督
脚本
ケイティ・ディポルド
原作
『ゴーストバスターズ(1984)』
出演
音楽
主題歌
『Ghostbusters (I’m Not Afraid)』
フォール・アウト・ボーイ feat. ミッシー・エリオット
公開
2016年7月15日 アメリカ
上映時間
116分
製作国
アメリカ
視聴環境
Netflix(PS3・TV)

ゴーストバスターズ(2016)

過去に出版していたオバケ本のせいで大学での終身雇用をふいにしたエリンは、共著者のアビーと彼女の共同研究者のホルツマンと3人で「オバケが出た」というオルドリッチ邸の調査に赴くとそこには確かに霊がいて…。

遊ばれてるのか遊んでるのか、クリヘムのヌケっぷりが最高。

8.0
女性チームによるリブート版「ゴーストバスターズ」
  • 30年余の時を経て復活した「ゴーストバスターズ」
  • リブート版なので物語的な過去作とのつながりはほとんど無くご新規さんも安心
  • 女性4人+ヌケ秘書クリヘムという現代っぽさを感じる男女逆転スタイル
  • 肩肘張らずに気楽に楽しめる娯楽コメディ

懐かしいですね〜〜〜〜〜〜〜ゴーストバスターズ。あのテーマ曲は世代じゃない今の若い人たちでも知っているのではないでしょうか。

僕も1984年版のゴーストバスターズは間違いなく観ているんですが、何せかなり幼少期に観ただけなのでさすがにほとんど覚えていません。ビル・マーレイダン・エイクロイドとマシュマロマンが出てた、ぐらいの記憶。なのでほぼまっさらな状態で観たのと変わらないと言っていいでしょう。

実際内容は「リブート版」なので特に1984年版を観ていなくても問題はなく、ちょこちょこと小ネタは仕込んであるものの知らなくても大丈夫なレベルだと思います。「なんかこのタクシーの運ちゃんのシーン妙に意味深な感じだな〜」とか思ってたらダンちゃんだった、とかね。えー気付かなかった。めっちゃ久しぶりに観たもんな…。ちなみにビル・マーレイも登場しますが、過去の役のままということではなく別人としてのカメオ出演なので、やっぱり特に1984年版を観ていなくても問題ないです。

物語はオルドリッチ邸という由緒あるお屋敷の観光ツアー的なシーンからスタート。なんでもこの屋敷は娘を幽閉していたという逸話があるそうで、部屋から出られずに無念の死を遂げた彼女の霊がいるかもよ…? 的な煽りでお客さんの興味を引く商売をしてたらほんとに出ちゃったよ、っていう。

んで、その屋敷の持ち主が、主人公で物理学者のエリン(クリステン・ウィグ)の元に相談に訪れるわけです。「過去からの幽霊」という本を読んで、その著者であるアンタのとこに来たんやで、と。

しかしこの本は彼女にとってのいわゆる“黒歴史”であり、名門コロンビア大学での終身雇用の決定を間近に控えていた彼女としては今更こんなトンデモ本を書いていた過去なんて掘り起こされたくない、ということで疎遠にしていた共著者のアビーの元へ行き、売るのやめてくれと。Amazonに私の顔出とんねんと。

二人の関係はかなり険悪になっていたようなんですが、一応彼女は「終身雇用の決定が下るまで」という条件付きで本の販売を中止すると約束、そのまま流れでオルドリッチ邸の話をすると「なんだと調べよう!」ってことでみんなで行ったらマジで出ちゃってワオ、撮影してYouTubeにあげちゃおうぜとアップしたらコロンビア大にバレちゃってワオ、めでたくトンデモ教授のレッテルを貼られて終身雇用が無くなったエリンはアビーのところに転がり込んだものの彼女の研究室も大学から「まだやってたんかボケ」ということで解散させられてワオ、3ワオ食らってどうしようもなくなった彼女たちは新しく幽霊研究のための組織を立ち上げるぞ…ということで「ゴーストバスターズ」爆誕、というお話でございます。

何せ物語的な意味での1984年版の記憶がまったく無いので、似てるだの似てないだのなんだのとかはまったくわからないわけですが、当然ながら現代らしくYouTubeにアップして世間に広まっていったり、そこから行政がちょっかいを出してきたり…とかありがちですが今の時代らしい展開は程よくリアリティもあって観やすく、全体的に過不足のない映画という印象でした。

素直に面白いし、頭使わなくて良いし、特に中だるみもしないしで全体的によくまとまっているSFコメディだと思います。この辺の印象も(覚えてないですが)前作に近いんじゃないかな〜という気がするし、多分そういう雰囲気、質感みたいなものは今回作る側も意識していたんじゃないかなーと予想。

スライム状の謎の物質だったり、いかにもアメリカンな(子供目線では)ちょっと怖く見えるようなオバケのデザインだったり、ところどころやっぱり「ゴーストバスターズってこうだよね」と思わせるような作りが垣間見えて、良いリブートだと思います。

チームメンバーが女性というのも特に違和感もあざとさもなく、たまたま発信源の教授が女性だったので流れで女性ばっかり集まった、という感じなので思っていたほど「女性推し」でもないし、秘書としてあてがわれる唯一の男性メンバー的ポジションのクリヘムが超美味しい役柄なので男性陣もがんばってるぞ、という謎の誇らしさもあるとかないとかいう噂。

このクリヘムがねー。ものすごく良いんですよ。

観る前に「マヌケな秘書役」というのは知っていたんですが、観たらその事前情報を超えてくるアホでした。こんなアホで生きていけるのか、というレベルのアホでした。でもクリヘムだから許せるという。

僕は基本的にイケメン嫌いなんですけどね。マッチョでイケメンなんだけどめちゃくちゃかわいいので許せる、なんならもっと観たいと思わせるポテンシャルは想像以上のものがあり、こういうとんでもなく頭の悪い役でありながら「俺はソーだけじゃないぞ!」と気を吐く彼の懐の深さには感心モノ。彼のコメディ適正は相当なものがあります。

しかも当然ですが「ただのアホ秘書で目の保養」的に置かれたキャラクターというわけでもなく、後半結構大事な使われ方をしてくるのもお上手。監督のクリヘムを使いこなしている感がすごい。

で、おまけにメガネ。このメガネっていうのがかなり大きいと思いますね。マジで。僕もメガネ女子には弱いのでよーくわかります。「メガネかけさせるとかわいさがアップするのは男女問わないんだな」と勉強になりました。多分コレ、メガネかけてなかったらだいぶ印象が変わったと思います。物足りない。

と思わず秘書について熱く語りがちな映画なんですが、ただメインの女性メンバーたちもなかなかクセモノ&味のあるメンバーが揃っていて「強い」ので、しっかりバランスが取れているのも良いですね。

ただの美女ばっかり集められたらこれまたやっぱり面白みがないわけで、「トンデモ扱いされる霊的な研究をする爪弾き者」という雰囲気が感じられる、いわゆる落ちこぼれ感のある人選がコレまた良いなと。

後は特段書くことも無くですね。驚くほどよくできているとも言いませんが、ただ誰が観てもそれなりに楽しめるぐらいにはよくできている映画だと思います。きっちり1984年版に敬意を表しつつ現代版として過不足のない作りにしてきっちり次につなげました、みたいな。特にそれっぽい描写も無いんですが、多分続編もあるでしょう。

万人に愛される素質を持った良いSFコメディだと思うので、ぜひしっかり育てて頂きたいなと思います。

ネタバレ・バスターズ

オバケのお話らしく、メインの悪役が死んで(霊体になって)からが本番、っていうのが良いですよね。その上クリヘムに乗り移ることでクリヘムも美味しいしビジュアル的にも美味しいし、っていう。このテーマにしか作れない、他にない強みだと思います。

カメオ出演とは言えビル・マーレイはもうちょっと観たかったなぁ。あれ死んでるんだろうか…。その後出てきてないからなんとも言えないというか扱いが雑というか。

あと最後のでっかいマシュマロマン的なやつ、顔をダンちゃんに似せて作っているように見えたんですが気のせいですかね?

このシーンがイイ!

もう狙い通りすぎて書きたくないぐらいですが、やっぱり「どっちが賢そうに見えるかな?」のシーンでしょうか。「どっちもアホっぽいよ」と突っ込んだら負けだと思います。監督の意図通りのリアクションをさせられちゃって悔しい。

それとエンドロールがとてもサービス精神旺盛なので、ぜひ最後までしっかり観るようにしてください。ネトフリだとさっさと予告編に移行させられちゃうので、ちゃんと元の映像の方に戻すようにしましょう。

ココが○

頭使わずに観られるお気楽コメディ…ですが、作る側はかなりしっかりと“狙って”作っている丁寧さがあると思います。なかなかそう感じさせずに気楽な映画に仕立てるのはテクニカルな気がするので、この監督さんはやり手なんじゃないかと。

ココが×

際立って何かが良い、「想像以上に良かった!」みたいな驚きがないのが一番でしょうか。面白かったんだけど、誰かに熱っぽくオススメするほどのものじゃない、みたいな。必ず通るべき映画というレベルではないので、悪く言えば暇つぶしにどうぞポジションから越えられないとは思います。

MVA

問答無用でクリヘムさんにしたいところですが、ちょっと反則というか…そりゃ良いでしょという役なので却下。

もはやれっきとしたおばちゃんですが、クリステン・ウィグが妙にかわいかったのも印象的。元から結構好きなんですが、序盤のスカート姿がなんかかわいくて良かったんだよなー。フツーっぽい感じが良いのかな。

とは言え今回はコチラの方に。多分この映画で最も個性を発揮していた人だと思います。

ケイト・マッキノン(ジリアン・ホルツマン役)

装備開発担当のパンクねーちゃん。

最もキワモノっぽい存在なんですが、最も素に近いと感じさせる雰囲気がすごかったですね。マジでこういう人なんじゃねーか感というか。

彼女のマイノリティ感が今回の「ゴーストバスターズ」の色になっていたと思うので、その存在感もまた良かったです。

他の映画だとどういう役を演じるのか…ちょっと観てみたい。

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