映画レビュー1354 『ゴーステッド Ghosted』

せっかくだしAppleTV+で何か面白いの無いかなということで選んだ一本。まあわかりきった系の映画でしょと大して期待せずにほぼ主演だけで決めたんですが…!

ゴーステッド Ghosted

Ghosted
監督
脚本
原案

レット・リース
ポール・ワーニック

出演
音楽
公開

2023年4月21日 各国

上映時間

116分

製作国

アメリカ

視聴環境

Apple TV+(Fire TV Stick・TV)

ゴーステッド Ghosted

“あのパロマ”のスピンオフにしか見えないんだが!?

8.5
偶然出会った女子にベタボレした青年、ストーキングで海外行ったらエラい目に
  • 店員と客の関係で喧嘩出会いしたらいい感じになっちゃった2人は一夜を共に
  • しかしなかなか連絡が取れないことに業を煮やした男は彼女を追ってイギリスへ
  • 立派なストーカー気質を発揮したところ人違いによる誘拐を受けて絶体絶命
  • 主演2人のファンに対するファンサムービー

あらすじ

ありきたりのラブコメアクションでしょ…と見くびってたんですがびっくりするぐらい「俺向けじゃん!」とド刺さりしました。なぜそう感じたのかは後述します。

父の農業を手伝う青年、コール(クリス・エヴァンス)はマルシェ的なところで店を構えておりまして、向かいで鉢植えを売る商売仲間が「ちょっとハイになってくるから店番お願い」とオープンにお願いされて両方のお店を見ることに。

そこにやってきた女性セイディ(アナ・デ・アルマス)が「しばらく家を空けたりするんだけど植物も無い部屋は寂しいから」と鉢植えを求めますが、植物に詳しい彼は彼女に「植物の命を無駄にするな」と説教。セイディも「何よこの店員!」と激怒してお開きです…が、周りのお店の人たちに「恋の炎がバチバチだったわよ」と急き立てられコールは彼女を追います。ナンデ?

なんやかんや取り繕って「じゃあコーヒーでも」とお店ほっぽらかして彼女の車に乗り込むコール。んでなんだかんだ即日デートが盛り上がっちゃって結局家まで行ってのワンナイト。羨ましいぜ…!

「私、束縛されたくないの」と言うセイディに「まったく心配いらないよ」と余裕を見せるコールですが、実際はかなり粘着質なタイプであり、既読スルーは我慢ならんと返信無いのに散々絵文字を送りつけるちょっと痛い子です。イケメンじゃなかったら完全に許されない所業…!

しかしセイディからはまったく反応がなく焦れていたところ、両親がノリノリで「追いかけちゃえば?」と急き立てたもんでスマホで彼女の所在地を探って出てきたロンドンまで追いかけ初の海外旅行へ。完全にストーカーです。

意気揚々とやってきたコール、彼女がすぐ近くにいそう…というところに来て謎の男たちに囲まれ、目が覚めたときには拷問の最中でしたとさ…!

どうやら男たちはコールを別の男と勘違いしているらしく、まったく筋違いの拷問に焦るコールですが…しかしもちろんその後やってくるのはあの人なんだよね…!

ファンサ × ファンサ

とかく軽く見られがちな「毒にも薬にもならないラブコメ」の一つ。

まあ実際そうですよ。観ようが観まいが何一つ人生に影響はないタイプの映画です。残念ながら。

でもこれが思いの外面白くてですね。主演2人のどっちかが好きであればマストで観るべき映画の一つと言っても過言ではない気がします。

まず先に差し障りのない方(?)、我らがキャップことクリエヴァ。

今作では「ただの(ストーカー気質な)一般人」というキャラクター、当然強くもなくなんなら情けないタイプに近い。めっちゃいい身体してるけど。

いきなり事件に巻き込まれ散々な目に遭いますが、当然彼は“キャップではない”ので何をすることもできず、生きているのが不思議なぐらいにピンチの連続に見舞われます。そしてそのどの場面でも結構情けない感じが(キャップファンにとっては)ギャップ萌えを誘うとの噂もあり、ファンとしてはたまらないでしょう。こういうクリエヴァ観たかった、みたいな。なんなら割と情けない悲鳴もあげちゃう。

開幕からストーカー気質丸出しなので「イケメンじゃなかったらまずダメなタイプでしょ」と思わざるを得ないんですが、そこはまあこの手の映画らしく終盤では見せ場もちゃんとご用意されていて、クリエヴァファンとしてもニンマリできる映画ではないでしょうか。終始「かわいい〜♡」ってなりそう。

さらに途中では「キャプテン・アメリカシリーズファン向けとしか思えない」嬉しいサプライズもありまして、ズルいなぁと思いつつも笑っちゃういい映画です。

…と書いてきましたが本題はこれからだぜ…!

ということでもう一方の主人公、ヒロインのセイディを演じるのはアナ・デ・アルマス。

クリエヴァとは「ナイブズ・アウト(1作目)」で共演してましたねそう言えば。あと「グレイマン」でも共演しているらしいんですが、こちらは未見です。

あらすじには書いていませんがまあ基本的な話なので言っちゃうと、「ちょっとミステリアスな女子」っぽいセイディが実はCIAのエージェントでした、って話なんですが。

アナ・デ・アルマス、CIAのエージェント…ピコーン!

「これはもしや“ノー・タイム・トゥ・ダイ”のパロマの数年後の姿なのでは!? なのではー!!」って話ですよ。もう。絶対そう。絶対パロマのスピンオフ。(もちろん007に許可を取っているはずもなく、勝手にそう言っているだけです)

ボカぁねぇ、ノー・タイム・トゥ・ダイのときにも書いたんだよ藤村くん。「パロマをもっと見せろ!」ってねぇ?

そんな「パロマファン」の期待を一身に背負ってご登場のセイディ、もうどこからどう見てもパロマ。っていうかアナ・デ・アルマスのCIAエージェントなんだからそれはそうでしょって話なんですがもう本当に「あのもっと観たかったパロマが全編通してご登場!」って感じで最高にテンションが上がりました。

終盤のドレス、ノー・タイム・トゥ・ダイでも着てなかった!? みたいな。かわいいったらない。こっちも「かわいい〜♡」ってなってました。

ラブコメなのでやや軽めな感じもパロマっぽさを感じさせるし、これは「キャップファン向けのクリエヴァ使用例」に対する「パロマファン向けのアナ・デ・アルマス使用例」と対になった映画なのでは!?

いや間違いない。絶対にそうです。確信してます。きっとデクスター・フレッチャーはノー・タイム・トゥ・ダイを観てパロマをすごく気に入ったに違いない。

実は当初のキャスティングではアナ・デ・アルマスではなくスカヨハの予定だったらしく、それはそれで面白かっただろうけどMCUファン層への媚びがすごいなって気もしないでもないんですが、とは言えキャスト変更は「パロマもっと見せろよ! なんだよ!」と言っていた人たち(つまりおれ)にとっては僥倖と言って差し支えないでしょう。めちゃくちゃ堪能しました。まじでアナ・デ・アルマス最高だな、と。

おっとキャストについて熱く語ってしまいましたが、肝心の物語について。…はまあご都合主義丸出しなスパイモノなんでどうでもいいっちゃどうでもいいんですが。

ツッコミどころ多数、細かいところを気にし始めたらキリがないよくあるパターン。なのでラブコメというジャンルも加わって余計に「毒にも薬にもならない映画」でしかありません。「この手の映画の割によくできてる」みたいなこともありません。普通に考えたら何回も死んでる。2人とも。

ただもう主演2人のファンに対するあざといまでのファンサービスが徹底しているので、表面上の「よくある映画でしょ」という感覚とはちょっと違う、こういう方向で面白くするのもアリなんだなとちょっと新鮮さを感じるぐらいに良い意味で媚びた映画な気がしました。

あんまりこういう映画ばっかりになっちゃうとゲンナリしちゃうだろうし、結局早いもの勝ちというかやったもん勝ちというか、先にやったからこそ許されるみたいなタイプの映画なので、これはもう企画の勝利なんでしょうね。

主演2人が好きならぜひ

思えば僕も「恋愛映画なんて観てられない」なんて言っていた昔からは考えられないぐらい結構な数のラブコメを観てきていますが、結局前にも書いたように「主演2人がくっつくのは決まっているので、そのプロセスをいかに見せるかが勝負」になってくるジャンルであることは間違いないだけに、その意味ではスパイと一般人の“吊り橋効果”を利用したありきたりのラブコメではありつつも、主演2人の魅力とファンの期待を存分に利用して出し殻にしてやったぜ、みたいな作りは相当に割り切っていて面白かったです。

ベタだろうが何事もやり切ることで面白くなる、みたいなお手本の映画かもしれません。「媚を売り切ってやったぜ!」っていう。ここまでやってくれればそれはもう降参ですよ。

とは言え僕としては結局「あのパロマのスピンオフ」「もっとパロマを」「パロマパロマパロマパロマパロマ」の映画としか観ておらず、それ故評価も高いよ、という話です。

ボロクソに「つまんねー」と言われても反論できないぐらいには話自体はよくあるものでしかないので、あくまで主演2人に対する興味の度合いで観るか否かを決めるべきでしょう。

それでも言いたい。アナ・デ・アルマス最高だぞ、と。

このシーンがイイ!

ズルいのは百も承知で、やっぱり殺し屋が連続して襲ってくる場面は笑いましたね。「えっ、もう出番終わりなの!?」ってびっくりした。

あと序盤のバスで逃げるシーンも良かった。単純に見せ場。

ココが○

サービス精神旺盛な内容。ちゃんとコメディであることを活かしたファンサービスだと思います。

ココが×

散々書いている通り、話の筋としてはツッコミどころ多めです。

ベースがスパイモノなので結構好きではあるんですが、解決のきっかけが偶然すぎて結構ヒドい。

MVA

ある意味エイドリアン・ブロディの無駄遣い的な感じもありましたがでも箔が付いて良いような気もしたっていう。どっちなの。

とは言えもうこの映画はこの人でしかないです。

アナ・デ・アルマス(セイディ役)

ヒロインのCIAエージェント。パロマとは違って敏腕トップエージェントっぽい雰囲気。

すごく怒られそうな言い方をすれば、ヘテロ女性が観ればクリエヴァの映画だし、ヘテロ男性が観ればアナ・デ・アルマスの映画だな、という感じ。いや女性から観てもアナ・デ・アルマスはかわいいだろうと思うけど…。

まー本当に「これが観たかったんだよ!」を実現してくれてデクスター・フレッチャー及びAppleTV等には感謝しかありません。本当に物足りなかったパロマの穴を埋めてくれた思い。最高でした。

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