映画レビュー1356 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

奇しくも「ゴジラ-1.0」が話題の中、アマプラにモンスター・ヴァースが結構追加されてるっぽかったので再開していこうかなということで観ましたよよよ。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

Godzilla: King of the Monsters
監督
脚本

マックス・ボレンスタイン
マイケル・ドハティ
ザック・シールズ

原作

東宝株式会社

出演
音楽
公開

2019年5月31日 アメリカ・日本

上映時間

132分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

クソハリウッドファミリー×ゴジラ冒涜。

3.0
各地で巨大怪獣が目覚め、危機に陥る人類
  • テロリストと組んだモナークの科学者による“地球再生計画”によって巨大怪獣が次々と目覚める
  • 目覚めた怪獣の中にはゴジラの天敵・キングギドラがいたことで壮絶な怪獣同士の戦いに
  • ハリウッドおなじみのファミリー劇場によって陳腐さ極まる
  • ゴジラの出自を考えると到底受け入れられない展開も許し難い

あらすじ

そこそこ楽しみにしていたんですが、まーびっくりするぐらいひどくてですね。これは相当なクソ映画と言っていいと思います。ただ怪獣同士のバトルはさすがに迫力はありました。逆に言えば良かったのはそこだけ。

中国でモナーク(怪獣たちの研究調査を行う国際機関)によって監視されていたモスラが孵化しますが、その直後にテロリストたちが基地を襲撃、現場にいたモナークのエマ博士(ヴェラ・ファーミガ)とその娘のマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)母娘がさらわれます。

しかし実はエマ博士とテロリストたちはつながっており、増えすぎた人類を怪獣によって減らし、地球を再生するため活動していたことが判明。エマ博士は南極に眠るモンスター・ゼロを目覚めさせてしまいます。

モンスター・ゼロはかつて「キングギドラ」と呼ばれていた怪獣の王であり、ゴジラの天敵だったことからゴジラもその目覚めに呼応して姿を表します。

その他にも各地で目覚めていく怪獣たちに対し、為す術もない人間たち。どうなる地球! ってなもんですよ。

50年前にやれ

ギャレス・エドワーズ版「GODZILLA ゴジラ」、「キングコング: 髑髏島の巨神」に続く日本のゴジラとアメリカのキングコングを主役とするモンスター・ヴァース3作目。タイトルからしてもMCUにおける「アベンジャーズ」的な、怪獣総登場でいよいよ盛り上がって参りました的なものを期待していたんですがまーひどかった。血の涙が出そうなぐらいひどかった。

まず今作の主役はオープニングでさらわれたエマ博士の元夫で元モナークの科学者だったカイル・チャンドラー演じるマーク博士なんですが、もうこの時点でちょっと「おや?」と思いましたよ。「おや?」と。

まずハリウッドの“元”がつく夫婦が出てくる映画、大体ろくでもない。言いすぎですけど。そこに娘が出てくるともう確変ですよ。おまけにさらわれてるし。

案の定、親父は(それなりにモナークの役に立ちつつですが)血眼になって娘を探すんですが、予想通り物語のピークはこの家族の「娘を助けられるか否か」になってくるわけです。これがもう本当にどうでもいい。

画面の奥では怪獣がゴンゴンやり合っててこっちはそれが観たいのに、カメラは怪獣たちの足元でちまちま「娘ーッ!」って探し回ってるのを映してるわけ。さっさと踏まれて死ねよと何度思ったことか。

「やっぱり愛してるよフフフ」みたいなより戻しクソ展開がなかっただけまだマシではありましたが、それにしたってすわ地球滅亡かってときに1ファミリーが必死に助け合ってるところを観て「頑張れ…!」ってなるか!? 舐めてんのか!?

まじでこんな話なら50年前に作れよって思いましたね。怪獣たちが大騒ぎしてる足元で家族、家族、家族。陳腐極まりない。進歩しねーなハリウッド。

穿った見方をすれば「ストレンジャー・シングス」で一躍スターとなったミリー・ボビー・ブラウンを映画界でも推して行くぜとスポットライトを浴びせようとしてこうなったのかもしれませんが、それにしてもちょっとこれは…。「モンスター・ヴァース」なのに何がウリなのかをまったく理解していない体たらく。ファミリー・ヴァースじゃん。

ちょっとね、本当に絶句しましたよ。「え…今の時代にこれなの…?」って。スーパー陳腐なストーリー。まだ「恐竜神父」の方が100倍面白いです。

で、まだこれだけなら「まあハリウッドの悪い癖だね」で許せたんですが(許せないけど)、最も許せなかったのが渡辺謙演じる芹沢博士の役割。

詳細を書くとネタバレになってしまうので伏せますが、まーよく謙さんもこの展開受け入れたね、と思うぐらいにひどかった。

僕は「日本人として〜〜」とかナショナリズムを押し出した言い方は好きじゃないんですが、それにしてもこれはやっぱり日本人的には受け入れがたいものがあるんじゃないかと思うんですよ。普通に。

おまけに相手はゴジラ。ゴジラ自体も詳しくはないんですが、それにしても出自はやっぱり原子力に対する批判的目線も入ったものだと思っているので、となると“あの展開”はさすがに冒涜としか言いようがない気がします。

ネットで仲のいい、僕よりもよほどゴジラに詳しい映画好きの友人が「あの“ラブ注入♡”は許せない」と言っていて爆笑しましたが、本当にその通りだと思いますね。

ゴジラをちゃんと理解していたら絶対にあんな展開にはしないはずなので、制作陣はおそらく表面上でしか(というか単なるデカい怪獣としてしか)捉えておらず、またおそらくはそれがアメリカ標準の理解なんだろうなと思うと結構悲しいものがありました。

それにしても東宝が絡んでいるはずなのにこの物語はどうなのよ…やっぱりダメだと思っても止めるほどの力はないのか、はたまた物言う気概がないのか…。ダメとも思ってないのか…?

いずれにしてもまあひどいですよ。家族の話もゴジラの扱いもダブルでひどい。

おまけに怪獣のとある動きについても文句を言いたいんですがこれもまたネタバレになるのでここでは避けます。まあそんなこんなでどこを取ってもひどい映画でしたよ。唯一それなりにまともなのはバトルの迫力だけ。

安易なファミリーストーリーに安易なゴジラの使い方、まさに小手先で作りましたよと透けて見える内容になっていて、まあよくこの程度でOK出したねと呆れてものが言えません。

誰が観てもダメなやつ

さらに芹沢博士と並ぶ主要キャラだったサリー・ホーキンス演じる博士の扱いも(芹沢博士以上に)かなりひどくて、もういろいろと「やってくれたね」としか思えませんでした。

ボロクソに言う映画も大体は「これはちょっと自分には合わなかったな」とか「自分の知識が足りないからわからないんだな」とかちょっとこき下ろすにも引け目に感じる映画が多いんですが、この映画ははっきりと駄作と言っていいと思います。早い話がクソ。

CGだけはさすがハリウッド、でも中身はクソオブクソです。キング・オブ・クソですよ。タイトル変えろ!

キング・オブ・ネタバレーズ

まず芹沢博士の件ですが、これはまあ言わなくても日本人なら誰が観てもわかるでしょう。

ロジックとして「ゴジラが弱ってるからエネルギー源として核弾頭を食わせる」のはまあわかるんですが、しかしそれをよりにもよって芹沢博士にやらせるかね? と。近くに撃ち込むとかでいいじゃんか…。どうも芹沢博士を退場させたいがためのアレコレにしか見えなくて余計に腹立たしいものがありました。

僕もあとで知ったことではあるんですが、芹沢博士って被爆者の父親の形見の懐中時計を持ち歩いてる設定があるらしいんですよ。それでもそれやらせるの!?「さらば友よ」じゃないわけ。

考えすぎなのは重々承知していますが、なんとなく監督の「原爆コンプレックスを解き放ってやるよ」みたいな上から目線の価値観を感じる。ゴジラの使い方として真逆すぎて本当に冒涜だと思いましたね。

それと最後に怪獣たちがゴジラに“ひれ伏す”シーンもひどすぎて頭にきました。

膝を立てて恭順の意を示す、ってどう考えても人間の風習でしかないでしょう。まだ犬みたいに伏せの姿勢を取る、とかなら許せたんですが、片膝立てて「従います」みたいなのって本当に観客をバカにしてるなと思うんですよ。「こうまでしないと意図がわからないだろ?」って言ってる気がして。

本当に何から何まで合わないしクソでしたね。マイケル・ドハティの名前を覚えておかないと次なる不幸を呼ぶ気しかしない。地雷ですよもはや。

このシーンがイイ!

バトルはまあそれなりに良かったので、その辺適当に。ただその「まだ許せる」見せ場がどうでもいい家族のせいで削られてたのがまた腹が立つわけですが。もしや予算削減のためか!?

ココが○

相変わらず謙さんだけ「ガッジィーラ」ではなくちゃんと「ゴジラ」って言うのがいいですね。そこぐらい。

ココが×

ダメなところだらけなので上記をご参照ください。

MVA

もー本当にこんな映画誰でも良いんですけど。一応義務として選びます。

チャン・ツィイー(アイリーン・チェン博士 / リン・チェン博士役)

モナークの博士の一人。

役柄的には脇も脇でどうでもいいんですが、ただショートカットのチャン・ツィイーかわいいなと思ったので選んでおきました。

どうでもいい映画は基本的に見た目で好みの人を選ぶだけになります。申し訳。

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