映画レビュー1216 『ゴーン・ベイビー・ゴーン』
この日は金曜日だったんですがテレワークで時間もあり、なんとなく映画が観たいなと思ったのでJAIHOよりチョイス…したんですがまああちこちで観られるような有名作ではあります。
日本では劇場未公開だったんですね。意外。
ゴーン・ベイビー・ゴーン
ベン・アフレック
アーロン・ストッカード
『愛しき者はすべて去りゆく』
デニス・レヘイン
ケイシー・アフレック
ミシェル・モナハン
モーガン・フリーマン
エド・ハリス
ジョン・アシュトン
エイミー・ライアン
エイミー・マディガン
タイタス・ウェリヴァー
マデリーン・オブライエン
2007年10月19日 アメリカ
114分
アメリカ
JAIHO(Fire TV Stick・TV)

嫌でも善悪について考えさせられる。
- 警察と協力して失踪少女の捜査を進める探偵コンビ
- 早めに犯人も見つかり、早々に解決かと思いきや…
- ひねりのある展開と考えさせられるストーリーがとても良い
- 抑えめでやや重めの大人のサスペンス
あらすじ
重めのケイシー・アフレックにハズレ無し、のような気がしますが彼は彼で暴行疑惑があるのでなんとも…。場外で評価下げるのやめてほしい。
舞台となるボストンである日、少女・アマンダが失踪する事件が発生。マスコミも押し寄せて大騒ぎの様相を呈しております。
当然ながら警察も捜査を開始しているもののあまり芳しくない状況のようで、彼女を実の娘のように愛している叔母のビー(エイミー・マディガン)は独断で私立探偵のパトリック(ケイシー・アフレック)に捜索を依頼します。
アメリカでは警察も探偵と情報を共有して協力しなければならないルールがあるらしく、指揮を執るドイル警部(モーガン・フリーマン)も渋々ながら担当としてベテラン刑事のレミー(エド・ハリス)とニック(ジョン・アシュトン)のコンビを仲介。パトリックの相棒で恋人でもあるアンジー(ミシェル・モナハン)も加わり、4人で捜査を開始します。
地元出身であるパトリックは人脈を活かして早々に犯人の目星をつけ、4人で交渉の場に向かいますが…あとはご覧くださいませよと。
お前ならどうする系
今や俳優よりも監督としての方が評価が高いともっぱら噂されるベン・アフレックの初監督作品でございますよ。もっとも俳優業の方は少し評価されてなさすぎな気はしますけどね。(ゴーン・ガールの凡庸さは本当に適役でした)
しかし初監督作品でありながらも全体的に抑えめの演出で、初作からもうベテラン監督の雰囲気が出ているとかなんとかよくわかってない人間が申しております。
非常に落ち着いたトーンでありつつも飽きさせないスピード感もあり、なんとなく「クリント・イーストウッド監督作品だよ」と言われても納得してしまうような巧みさがありました。
さて物語についてですが、一応ジャンルとしてはサスペンス…ではあるものの、やや人間ドラマ的な要素に寄せた感が強い内容で個人的に大変好みな物語でした。
「少女の失踪」というきっかけからするとちょっと嫌な思いをしそうな話なんじゃないかと構えていましたが、いい意味でその予想を裏切る少々込み入った話になっていて、なるほどこれはよくできているなと感心。
割と早い段階で犯人が見つかり、「これ1時間で終わるんじゃね?」と思ってしまうような展開ではあったんですが当然そこで終わるはずもなく、それからいろいろあって徐々に真相が明かされていく内容。その内容も無理を感じるものでもなく、なるほどありそうだなと唸らされる良い物語だと思います。
果たして自分が同様に決断を迫られる立場だった場合どういう選択を取るのか…嫌でも考えさせられる話なので、ボケーッと観てても一気に当事者性を帯びるようなお話なのがとても良かったですね。
キャスティングも◎
キャスティングも非常によくて、特にこの映画をきっかけに一躍人気女優となった(Wikipediaより)エイミー・ライアンの“クソ母親”っぷりがお見事でした。
日本でも娘をほったらかして遊びに行っちゃう母親の事件はそこそこ目にすることがあるだけに、その辺でまたリアルさを感じるのも◎。
ケイシー・アフレックは相変わらずちょっと気だるそうな脱力っぷりがいいし、ミシェル・モナハンは一番良い時期なんじゃないかと思える綺麗さが最高だし、エド・ハリスは渋さ爆発してるし、モーガン・フリーマンは安定だし…と良いとこ取りだらけ。
あと密かにジョン・アシュトンが刑事やってるのも嬉しい。どうしても「ミッドナイト・ラン」とか「ビバリーヒルズ・コップ」の冴えないイメージが強いんですが、シリアスな映画で良い脇役やれてよかったね、的な。
細かくあーだこーだ言うような映画でもないので、あとは観てくださいねと言うことで。
あんまり書いちゃうと興を削ぐと思いつつもう一点だけ書いておくと、なんか「つらい物語だったら嫌だな」とちょっと構えていた部分もあったんですが、そこに関してはいい折り合いがついた物語だと思うので、同じくその辺で尻込みしちゃっている方はあまり気にせず観ても良いかもしれません。
ベイビーがゴーンしてるだけでつらいじゃん、と思うんですが、それでも観る価値はあると思うぞ、とだけ書いておきましょう。ぜひ。
このシーンがイイ!
後半バーでのシーンのパトリックはなるほどなーと感心しつつ笑いました。あれ現実でも(そういう局面に出くわしたら)使えそう。
ココが○
単純に話が好みでした。あと全体の雰囲気も好き。こういう大人向けのじっくり魅せる映画はやっぱり良いですね。
ココが×
物語の鍵となる話が出てくるシーンがあるんですが、そこがちょっとザルな気はしました。でもきっと原作がそうなんでしょう。
もう少し慎重なはずだと思うんですけどね。あの人。そこが惜しい。
MVA
キャスティングが良いと言った以上みんな良いわけでなかなか悩ましいところなんですが…。この人かなぁ。
エド・ハリス(レミー・ブレサント刑事役)
パトリックたちと協力することになるベテラン刑事。
もうエド・ハリスっぽさ全開で最高でしたね。この人の安定感はどの映画でもさすがです。ちなみに被害女児の叔母役を演じたエイミー・マディガンとご夫婦だそうで。
あとは話題になったエイミー・ライアンも素晴らしかったし、まあやっぱり皆さん良かったですよ。