映画レビュー0841 『恋はデジャ・ブ』

この日もまた大量にネトフリ終了作品が迫り来る中、ずっと観たかったこの映画をチョイス。あるとは思ってなかったので喜び。

恋はデジャ・ブ

Groundhog Day
監督
ハロルド・ライミス
脚本
ハロルド・ライミス
ダニー・ルビン
原案
ダニー・ルビン
出演
アンディ・マクダウェル
クリス・エリオット
スティーヴン・トボロウスキー
ブライアン・ドイル=マーレイ
マリス・ジェラティ
アンジェラ・ペイトン
ロビン・デューク
ペギー・ローダー
ハロルド・ライミス
音楽
公開
1993年2月12日 アメリカ
上映時間
101分
製作国
アメリカ
視聴環境
Netflix(PS3・TV)

恋はデジャ・ブ

人気気象予報士のフィルは、新任プロデューサーのリタとカメラマンのラリーの二人を連れ、嫌々ながら毎年ペンシルベニア州の田舎町で行われる「グラウンドホッグデー」の取材へ赴く。適当にこなしてさっさと帰ろうとしたものの吹雪に見舞われ足止めを食らってしまい、仕方なく同じ宿で一泊したのだが、目を覚ますとこの日もまた「グラウンドホッグデー」の日で…。

ループモノの源流? 恋愛だけじゃない価値観の見せ方が素敵。

8.5
「同じ一日」を永遠に繰り返す男の恋と成長
  • 同じ一日を繰り返して成長していく男の話
  • 基本は恋愛ながら、その根幹にある価値観に普遍的なものがある
  • 嫌な男が魅力的になっていく姿をビル・マーレイが好演

ということでループモノの(おそらく)最初期の映画と思われます、有名な一作。

タイトルからしてド恋愛っぽい雰囲気で実際恋愛が主体ではあるものの、描く内容はまさに後発の「アバウト・タイム」と同じような普遍的な価値を訴える内容になっていて、ただの恋愛モノもしくは恋愛SF的なものとして片付けるにはもったいない、素朴ながらなかなか懐の深い予想通りに良い映画でした。

主人公は気象予報士のフィル。ご存知ビル・マーレイが演じます。この人、軽快なトークで確かに人気になりそうな気象予報士なんですが…その人気を自分で言っちゃう結構鼻につく人物なんですよ。早い話が嫌なヤツで身近なスタッフとかには好かれなさそうだし実際好かれてないし、っていう。電話が通じないときも「セレブ専用の緊急回線は無いのか!?」とか自分で言っちゃうんですよね。すげーかっこ悪い。

で、その彼がなんだかんだ毎年“行かされている”取材が、ペンシルベニア州のパンクスタウニーという田舎町で行われる「グラウンドホッグデー」というお祭りだそうで。これは実際に行われているそうですが、ウッドチャック(=グラウンドホッグ)っていう…まあモグラの親戚みたいなやつが自分の影を見て冬眠するかどうかを観察することで春の訪れを占う、っていう行事です。

もう本当に「ここに来ることすら嫌」みたいな横柄な態度のフィルは、もうあからさまに“こなす”感じでV撮り(中継ちゃうんかい)を終え、さっさと帰ろうぜと帰路についたんですが、当人の「吹雪は来ない」という予想も外して大吹雪で足止めを食らい、やむなくパンクスタウニーにもう一泊という流れでうんざり。シャワーもお湯出ねぇし、っていう。

で、翌朝も前日と同じく目覚まし時計の「グラウンドホッグデー」をお知らせするテープで目を覚まし、「おい昨日のテープだぞ」なんて独り言で突っ込みながら外を見ると…あれ? なんかみんな足早に広場に向かってね? ってことで怪しみながら広場へ向かうと昨日と同じ人たちが昨日と同じように接してきて、こりゃループしてるんだと気付きます。

その後延々と繰り返される同じ日に「これは永遠に戻れないんだろう」と悟ったフィルは、ループモノおなじみの「自分の記憶だけ残る」特性を活かして自己強化を繰り返し、やがて一緒に取材に来た新任プロデューサーのリタを本気で口説きにかかる、というお話です。

ということでもはや(今となっては)おなじみの流れで、描く内容は全然違うものの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」と同じようにトライ&エラーで「その日」を変えていこうとする男の物語なんですが、この手の後発のループモノとは違い、やはりまだ世の中がループモノ自体に慣れていなかったせいなのか…前半はやや展開も遅めで退屈な面はあります。

とは言えやはり(多分)この手の映画の源流故か、他のループモノで観たようなよくある流れがいくつも観られ、それだけこの映画が後発にいかに影響を与えたのかがよくわかります。

「これどっかで観たな…」とか「ああ、これアレと同じだ」とかはほぼ間違いなくこの映画の方が先なので、そういうことも考えるといかに偉大な映画だったのかがわかりますね。

割とのほほんとした映画なんですけどね。ベースはラブコメだし。ただそれだけ設定として使いやすい上に面白い、秀逸なものを作り出したということなんでしょう。

この映画のポイントとしては、ベタかもしれませんがやはり「嫌なヤツが主役」というところでしょう。

もう本当にコレでもか、ってぐらいに嫌なヤツ感をアピールしてくるんですよ。前半は。だから当然観客としても別に応援もしないし懲りない人だね、って感じで見るんですが、徐々に彼が変わらざるを得ない状況になっていくに連れ、次第に応援する側に回ることになる、この心情の変化を体験できる作りがとても良いと思います。

これはつまり、ヒロインのリタの感情と観客の感情がシンクロしてるんですよね。「こんなやつ好きになるわけ無いじゃん」からいかに逆転していくのか。その過程をヒロインの心情とシンクロしながら観られるのが楽しいし醍醐味なのかなと思います。

また詳しくは書きませんが、ずっと「徐々にうまくいきそうな形」が進んでいくわけでもないのもポイントで、水前寺清子もびっくりの三歩進んで四歩下がる的な展開もあって中盤以降はなかなか飽きさせません。っていうかもう水前寺清子とか通じねーだろと。スミマセンね昭和生まれなもんでね。

最終的に描かれる彼の変化については、単なる「彼女をモノにしたい」という欲や恋心のみに留まらない普遍的な価値観に通ずるものがあり、この辺は最初に書いた通りまさに「アバウト・タイム」の元になった話だな、と思うわけですよ。

だからこそ心に残る話だし、それなりに年月が経った今でも名作として語られる映画になったんでしょう。これがただの恋愛話で、ヒロインの好みに合わせて自分を取り繕うだけの話だったらこんなに名前が残るものにはなってないと思うんですよね。

そんなわけで全体の展開はお馴染みで読めるものではあるかもしれませんが、それでもやっぱり良いものは良いし時代が変わっても変わらない価値観を持った映画なので、一度は観て欲しい映画の一本と言って良いでしょう。

果たして彼は無事ループから脱出できるのか、ぜひ観て頂ければと思います。

恋はネタバ・レ

なんでも「ラストの服装をどうするか」で監督とビル・マーレイが揉めたらしく、それで仲違いしちゃったとかで悲しい。

ただビル・マーレイが訴えたように「ラストの服装ですべてが決まる」のは確かなんですよね。そこで何があったのか、何もなかったのかで印象がだいぶ変わるので。

結構この最後の最後のツメの部分で詰めきれていない映画もある(個人的に記憶に新しいのは「そして友よ、静かに死ね」とか)ので、ここって本当に大事だと思うんですが…監督は特にアイデアを持っていなかったらしく、それはちょっともったいないよなぁと思います。

結果的にこの映画では「昨夜と同じ服」、つまり何もせずに寝ちゃった(リタを抱かなかった)という形になったわけですが、それはつまり「ループから抜け出すための条件」についての考察にも影響を与えるじゃないですか。

抱きましたエンド(裸とか匂わせるセリフとか)の場合、単純に「リタを惚れさせたら」とか「リタをモノにしたら」みたいな条件なのかなと思うんですが、抱いてないので(惚れさせたはあり得ますが)、これはおそらく「人間としての成長」がフラグだったんじゃないかなと思うんですよね。人としてしっかり成長して、周りの人に親切にし、何が大切なのかを理解したら抜けられるんだぞ、っていう。

となるとこの映画がまた一つ名作としての階段を登ることになるじゃないですか。ただの恋愛じゃない、人間の価値について語ってるんだぞってことで。

そこがすごく好きだなーと思うわけです。Wikipediaにも“もともとはロマンティックコメディとしてマーケティングされたが、後に「人間の幸福は自分の中をいくら追求しても求められるのではなく、他人の幸福によって得られる」といった宗教的哲学的な面から本作が語られることが多くなった。”ってあるし。

そういうところだと思うんですよね、この映画の良さって。

このシーンがイイ!

途中爺さん救いに精を出すシーンがあるんですが、その辺がすごく好きでした。あの辺りから主人公に自分を重ね始めた気がする。

ココが○

上に書いた通り、恋愛にとどまらない話である点。

「アバウト・タイム」を観終わったときと同じく、自らの日常を振り返って反省しましたよ…。傲慢になってないか、って。

こういう自分を振り返ることができる映画は貴重です。

ココが×

やっぱり年代的なものもあり、序盤は少々進みも遅く退屈な面はあると思います。逆に言えばそれぐらいかな。

MVA

やっぱり「鼻持ちならない嫌なヤツ」から愛すべきイイ男に変わっていくビル・マーレイはさすがとしか言いようがなかったですね。

この人ってホント別にイケメンでもないのに「ロスト・イン・トランスレーション」とかこの映画とか、すごく良い恋愛映画に出てるのが面白いですよねぇ…。

本来であればこの人で良いんですが、ただいっつもビル・マーレイじゃつまらないしなってことでこちらの方にします。

アンディ・マクダウェル(リタ・ハンソン役)

ヒロインの新任プロデューサー。

見た目的にはちょっと古さを感じる部分はありましたが、しかし表情その他でばっちりフィルの言う「完璧な女性」を演じていたと思います。すごく良かった。優しそうで凛としていて。

やっぱりベースが恋愛なだけに一人では成立しないので、二人とも良いからこその名作、ってことなんでしょう。

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