映画レビュー0263 『ハーヴェイ』
GW以降、鑑賞ペースが早くなってきたので、自ずとこの無駄話も完全なるネタ切れに陥るわけです。別に誰に向けて書いてるわけでもないんですが、なんとなく(後々自分が振り返る意味でも)自分の状況が伺える、まさにブログ的な部分なだけに、何かしら書き記していきたいと考えているんですが、困ったことに何もない日々。
自分で伝記を書くなら、A3二つ折りぐらいでまとまりそうな人生に乾杯。
ハーヴェイ
ふわっとしてる。
基本的にはコメディタッチのドラマですが、ジャンルで言えばファンタジーかな、と。
テンポの早いセリフ回しでトントン進み、サクッと終わる観やすさはいいんですが、なんというか…「ハーヴェイ」そのものの扱いが結構ふわっとしていて、そのおかげで全体的にふわっとした映画だな、と。
どこに行くにも白ウサギの「ハーヴェイ」を引き連れ、誰彼かまわず彼を紹介する男・エルウッド。ですがそこに誰もハーヴェイの姿を見ることが出来ません。同居の姉とその娘は、そんな“変人”と一緒に暮らすことに我慢出来ず、やむなく精神病院に入れようと考える…というお話。
まず思ったのは、かなり後発ではありますが「ラースと、その彼女」と近いな、と。ややコメディタッチのドラマで、主人公は「頭がおかしくなったんじゃないか」という設定、でも彼自身は純粋で、その彼の姿を通して周りの人を描くようなお話です。
そこに、終盤では精神病(の治療)に対する風刺のようなものが入ってきて、この辺は(かなり毛色は違うものの)ホンのちょっと「カッコーの巣の上で」を感じさせる部分も。
とは言え、結局のところ「ハーヴェイはエルウッドの夢想なのかそれとも実在するのか」という部分が(おそらく意図的に)かなりふわっとした描かれ方をしているので、ファンタジー色から抜け切れない中途半端さみたいなものを感じました。
エルウッド自身はひじょーにイイヤツで、誰からも好かれるのは間違いありません。一つ、名言も吐いていました。
が、そこを活かすなら、「ハーヴェイ」の扱いがちょっと違ったんじゃないかな、と思います。結局中途半端に「いるかもいないかも」的な扱いにしちゃってるので、エルウッドの考える善人的な思考が、本当の善意なのかそれとも偶然が呼び込んだものなのか、はっきりしなくなっちゃうが故にメッセージが弱くなるというか。
でもこれはきっとわざとなんでしょうね。ふわっとしたファンタジー色を強くすることで、あんまり肩肘張らずに緩く受け止めてね、という映画なんでしょう。僕はそこが少し不満でしたが…。
それと、全体的に非常に優しさのある素敵な物語だと思いますが、ただそれはエルウッドの性格が故で、実はハーヴェイはあんまり関係ないんですよね。別にハーヴェイおらんでも周りみんな同じ感じになるんちゃうの、とまたエセ関西弁で思った次第です。
でもまあ、いかにもジェームズ・ステュアートらしい、この頃のアメリカらしい映画ですね。さらっと道徳観を考えさせてくれるような映画です。
このシーンがイイ!
あんまり印象的なシーンは無かったんですが、強いて言えば、酒場の裏で語ってるシーンはなかなかかな、と。
ココが○
会話のテンポの良さはすごいなーと思いましたね。特に姉の変わり身の速さがすごい。役者やで。
ココが×
やっぱり「ふわっと感」に尽きると思います。そこがいい、って人もいるんだとは思いますが、なーんか釈然としないというか…。ピークポイントが無い感じがあるんですよねー。
MVA
今回はちょっと悩みましたが…この人かなぁ。
ジョセフィン・ハル(ヴィータ役)
そんな変わり身の速い姉。
平気な顔して愛想よくしながらクルッと後ろを向くと罵詈雑言、みたいな。この時代のおばちゃんらしい安定感のある演技がグッド。この人のセリフのテンポの良さは印象的だったなぁ。