映画レビュー0702 『ハタリ!』
今日もBS録画から、古い映画です。
最近Netflixの配信終了間際作品があんまりないのと、古い映画観たい欲が強い時期なのと、レコーダーの容量がキツイのとでBS優先になっております。
ハタリ!
ピークが無いものの、アフリカの魅力がたっぷり。
ハワード・ホークス監督ということで、この前観た「男性の好きなスポーツ」の衝撃醒めやらぬこのタイミング、よっしゃもいっちょゲラゲラ笑わせてもらおうやないかい! と鼻息荒く観始めたんですが、全然コメディじゃなくてですね。
確か番組紹介には「アドベンチャーコメディ」ってあったハズなんですが。全然コメディじゃなくてですね。
当時としてはおそらく珍しい、アフリカ現地にて大量の動物たちを相手に生々しく展開するハンティングがウリのアドベンチャーアクションドラマという感じでしょうか。ジャンル的には。
ご存知大スター、ジョン・ウェイン演じるショーン・マーサー率いるハンティンググループが、アフリカで大量の動物捕獲依頼をこなしながら、その中に渦巻く恋模様と人間関係を描いた大作です。
今のこの手のお仕事がどうなのかサッパリわかりませんが、少なくともこの頃は、ある程度まとまった捕獲依頼を一定のシーズンにこなし、終了したら動物たちの移送手続きをして自分たちは休暇に入る、みたいな…マグロ漁船みたいな営業スタイルって言うんですかね。一時期ウワーっと詰め込んで働いて、ノルマ終わったらしばらくおやすみ、みたいなお仕事のようです。
そのある繁忙期を描いた映画なわけですが、どの動物がどれぐらい必要でどーたらこーたら、みたいなものは特に重要でもなく、その「ハンティングシーズンに動物を追いかけながら仲間たちの色恋沙汰もいろいろあったよ」というお話になっていまして、核としてはオープニングで彼らのキャンプにやってくる女性カメラマン・ダラスとジョン・ウェイン演じるショーンの関係と、現地で彼らを雇う立場にある若いボスガール・ブランディと彼女を狙う男3人の駆け引きが中心。とは言ってもドロドロしたものではなく、爽やかである意味かわいい、この頃らしい娯楽映画という佇まい。
結構話としてはフツーで、よくある色恋&仕事仲間たちのお話ではあるんですが、やっぱり何と言ってもアフリカのロケがなかなかの迫力で、50年以上前にこの映像はすごいな、と結構驚きました。たまに合成のシーンも挟まるものの、基本は現地でトラックに乗りながら動物たちを追いかけ、全速力で逃げる彼らに縄をかけて生け捕りにするシーンが何度も登場します。
正直、動物好きとしては根本的に「こういうやり方ってどうなんだろう」という複雑な思いが無きにしもあらずではありましたが、しかしまあ…産業として動物園やらサーカスやらが成り立っている以上、こういうお仕事が必要なのもまた事実なわけでその辺りは割り切って観ていました。もうちょっと太くて柔らかそうなロープ使ってあげてよ、とか思いつつ。しかし映画とは関係ないですが、今ってどういうやり方しているんでしょうね。麻酔銃で一発、とかなのかな…。
時代故当然なんでしょうが、かなりアナログで運と腕が物を言いそうな仕事は効率も悪くて大変そうで、「すげーな、こんな苦労してたのか」とこれまた新鮮な驚きがありました。
とは言えそのハンティングのご紹介が目的の映画ではないと思うので、核の部分がどうなんだというお話なわけですが…。
長さの割にはテンポも良くて飽きずに観られる面はあったと思いますが、反面その分やや散漫な印象もあり、エピソードの多さの割に感情移入しにくい作りだったかなぁ、という気はしました。好みにもよるんでしょうが、「こいついいな!」みたいな魅力的な人物がいるわけでもなく、動物追う→ちょっと色恋進む→動物追う→進む→動物追う→象→動物追う→色恋→動物追う→象…みたいな感じで割と盛り上がりに欠ける面はあったような気がします。
動物を捕まえるシーンもリアルな分迫力はあるし見入っちゃう魅力はあるんですが、とは言えエラい苦労するわけでもないので、イマイチグッと来る“何か”が無いなぁ、とぼんやり観ちゃう面もあり、何かもうひと味足りない、そんなような印象の映画ではありました。
それなりに長尺なので、どうせならショーンの過去のお話とか、なんでダラスがショーンに惹かれたのかとか、その辺の描写がもうちょっとしっかりあったらまた違ったかな、と思います。
さすがに言わずと知れた大スターが主役なだけに仕方がないとは思いますが、今の時代から見ると50代後半のオッサンに30前の女子が来ていきなり「あの人いいかも」はちょっと嘘くさいかな、と。この映画のジョン・ウェインがどことなくジェフリー・ラッシュに似ていたこともあってあの映画的な想像をしてしまう恐怖もあったかもしれません。ごめんなかったそれは。
なんというか…やっぱり全体的にのめり込むような何かがなかったので、そのままレビューもぼんやりしちゃってごめんなさい、というお決まりの展開になったことをお詫び申し上げ、筆を置きたいと思います。っていうかキーボードなんだけど。っていうかキーボード置いて打ってるからそのままなんだけど。そんな詳細いらないよっていうね。ごめんなさいね。
しかしアレだね。
動物って足速いね。
このシーンがイイ!
劇中一度だけ「ハタリ!」ってセリフが出てくるんですが、そこかなと。ああいうのを期待して観ていたので、もっとクレよと。
ココが○
何を置いてもアフリカの映像。全速力で走る動物たちだけでも結構な迫力がありました。あと象かわいい。リアル象であれだけかわいさを出せるのはスゴイ。
ちなみに余談ですが、この映画では「子象の行進」という誰もが聞いたことのある超有名な曲が登場します。
「子象の行進」
てっきりこの頃からおなじみの曲なのかと思っていましたが、調べたらこの映画のためにヘンリー・マンシーニが作曲した曲だそうで、昔から知る曲のルーツが知られてちょっと嬉しかったですね。
ココが×
特にひどく何かがダメ、っていうのは無いんですが、同様に特に際立ってどこが良い、というのもないという感じで。ちょっと期待しすぎちゃったかなぁ。
MVA
これまたあんまり「この人!」って感じは無かったんですが、この人にしときます。
エルザ・マルティネッリ(アンナ・マリア・“ダラス”・ダレッサンドロ役)
たまたまなんですが、この映画を観たつい先日にお亡くなりになったそうで…。満82歳。ご冥福をお祈りします。
この頃はまだ20代、さすがに若くてかわいい。ぴっちぴち。
ちょっとしたサービスショットもあり、はつらつ爽やかな印象で役に合っていたと思います。