映画レビュー1218 『ホームステイ ボクと僕の100日間』

例によってJAIHOです。

最近にわかに自分の中で「タイ映画外れない説」が流れてきているので、その確認のためにチョイスしました。とは言えまだタイ映画4本目です。

ホームステイ ボクと僕の100日間

監督

パークプム・ウォンプム

脚本

トサポン・ティップティンナコーン
チラッサヤー・ウォンスティン
アピショック・シャンタラセーン
エーガシット・タイラット
パークプム・ウォンプム

原作

『カラフル』
森絵都

出演

ティーラドン・スパパンピンヨー
チャープラン・アーリークン
サルダー・ギアットワラウット
スークワン・ブンラクン
ロート・クワンタッム
ナッタシット・ゴティマナットワニット
タネート・ワラークンヌクロ
チャーマーン・ブンヤサック
ナッタヤ・オンスリートラグーン
ノッパシャイ・シャイナッム

音楽

チャートチャーイ・ポンプラパーパン

公開

2018年10月25日 タイ

上映時間

131分

製作国

タイ

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

ホームステイ ボクと僕の100日間

日本原作の傑作タイ青春映画。

9.0
“当選”してある自殺少年の中に入った魂が、その原因を探る100日間
  • 選ばれた魂が自殺少年の中に入り復活、彼の自殺の原因を探るよう言われる
  • 慣れない学校生活を送るうちに徐々に目的に近付いて行くが…
  • 日本人原作の小説をタイで映画化
  • ヒロインがめちゃくちゃかわいい

あらすじ

いやぁこれまたやられましたね。めちゃくちゃ良かったです。本当にタイ映画のポテンシャルはすごいと思います。

何者かに「おめでとう。あなたは当選しました」と言われ、見知らぬ少年「ミン」の身体に入った状態で目が覚めた“僕”は、管理人と名乗る人物に「“ホームステイ”として100日間の猶予を与えるから、ミンが自殺した理由を解明しなさい。謎が解ければ命は続くし、解けなければそこで魂ごと永遠に死ぬ」と告げられます。輪廻もできないよ、と。この辺はタイの死生観が出てそうな感じ。

で、わけもわからぬまま以前の記憶もない状態で「ミン」として「自殺から生き返った」生活に戻った“僕”は、彼が通っていた高校へ通いながら、ミンの家族関係や交友関係に触れ、“身辺調査”を始めます。

そんな中、学内の優秀生徒である先輩・パイ(チャープラン・アーリークン)に“再会”したミンはまたたく間に恋心を抱き、指令そっちのけで学校生活をエンジョイしますが…しかし刻々と迫る期限。

次第にミンの置かれていた状況もわかってきた“僕”ですが、果たしてどのような答えを見つけるのでしょうか…。

傑作青春映画

原作は森絵都の小説「カラフル」。未読です。

この作品は2000年に同名映画として日本で映画化され、その後2010年に同名のアニメとして再度映画化、さらに今年2022年にもう一度実写映画「HOMESTAY」として映画化された傑作のようです。さながら日本版「郵便配達は二度ベルを鳴らす」的な感じでしょうか。例えが合っているかは不明です。映画化の本数が多いだけで浮かんだ安易な例えです。

そしてタイで2018年に映画化されたのがこの作品、ということで映像化作品としては今のところ4本あるようですが、僕が触れたのはこの映画が初めてです。

他には触れていないだけに、日本版実写作品やアニメ、そして原作との差異については当然ながらわかりませんが、しかしこの映画が初めてで良かったと思えるぐらいに本当によくできた素晴らしい映画でした。

物語の大枠の部分はSF、中身は青春映画という形。主人公の年齢こそ違えど、作りのイメージ的にはあの「素晴らしき哉、人生!」に近いものも感じます。

ややホラーっぽさを感じるちょっと大げさなオープニングに始まり、中盤ぐらいまでは甘酸っぱい青春映画全開の雰囲気を出しながら、しかしタイムリミットは迫ってきてるよね…? と焦らせつつ後半の“答え合わせ”でややサスペンスフルに展開するなかなか盛り沢山な映画ではありましたが、その各パートにおいても「若いからこその感情的な強さ」がうまく物語の推進力になっていて、これは青春映画だからこその展開力だし、だからこそ感情豊かな物語になったんだなと思います。

今これを観ている自分が主人公であれば違うことを言うだろうなと思う部分は多々ありましたが、しかしこの物語の主人公は10代の少年なので感情的に「そうなって」しまうのはよくわかるし、そのある意味で未熟な面も含めてたまらない、羨ましさほとばしる傑作です。

こんな青春送りてぇー! と思いつつも、同時に今の自分でも反映させられそうな視座もあるだけに、「若いって良いね」だけのお話でもないのがまた強い。これは確かに何度も実写化させられるだけのことはあるな、と思います。

またねー、どうしても書いておきたいのはヒロイン・パイを演じるチャープラン・アーリークンですよ。

パッと見は東南アジア系の女性っぽい顔立ちではあるし、日本人女優でもっとかわいい人はたくさんいますが…しかしまー表情が素晴らしい。めちゃくちゃキュンキュン来ました。

調べたらなんとAKBの姉妹分であるBNK48のアイドルだそうです。不動のキャプテンらしくタイ(バンコク)では絶大な人気を誇っているとのこと。いやはや納得。

でも本格的な演技はこれが初めてだそうで、それにはもっと驚きました。全然ぎこちなさもなく、全力で完璧なまでにパイを演じています。

主役のミン役、ティーラドン・スパパンピンヨー(声に出したくなるいい名前)もかわいらしい少年感がとても良かったし、主役二人が良いのでそりゃなおさら良いよねというお話です。ミンの親友女子もすごく良かった。

とは言えやっぱりチャープランですよ。もう時間が進むごとに好きになっちゃうかわいさが本当に衝撃的でした。まったく知らない女優さんだからこそ、っていうのもあるんでしょうね。にしても素晴らしかった。

アマプラにもあったけど…

ここ最近なんプロでは「タイの映画来てるぞ」と言っていますが、この映画もまた「やっぱり良かった」一本でまたも信頼度を増したタイ映画、今後も観られるようなら率先して観ていきたいと思います。

ちなみにこの映画、僕はJAIHOで観ましたが2022年4月現在アマプラでも配信中…だったんですが、アップした今はもう有料化してしまいました。無念。でも別途お金払ってでても観る価値があるとは思います。

僕としてはやっぱり邦画版と比べたいところですね。今年映画化された「HOMESTAY」も同じくアマプラで観られるようなので、どこかのタイミングで観たいところ…。

ボクとネタバレの100日間

一点だけ、親友女子リーの存在が不憫で悲しくてすごくつらかったんですが、かと言って最終的に「やっぱりお前が一番だ!」とか言ってリーの方に走られたら興醒めなので、これはこれで良かったのかな(切ないけど)という感じ。本当に終盤はそこだけ“間違え”ないかヒヤヒヤしていました。

これで乗り換えちゃったらもう「ミルクは白く、血は赤く」の二の舞だなと思っていたので一安心。ただやっぱりリーはちょっとかわいそう。

もっとも一応仲直りの機会もあったわけだし、自分のことを好きでいてくれる女子とそれをわかっていても振る男子、それでも好きでいる女子…とか諸々含めて青春だなと甘酸っぱい気持ちにもなるわけで、ちょっぴりほろ苦さを残す辺りもまたニクいな、と思ったりという噂です。

それも含めて彼女の存在は大きいよなぁ、と改めて思いました。

このシーンがイイ!

やっぱり海外のお祭りはなんとなく強く印象に残るので、この映画におけるお祭りのシーンもまた同様に印象的でした。青春しやがって! みたいな感じがまた。

ココが○

なんというか全体的にすごくエネルギーを感じる映画なんですよね。今まで観てきたタイ映画はみんなそうだった気がする。

こじんまりテクニックに走らない感じというか…あくまで印象でしか無いんですが。

真面目に作ってるな〜という感じが伝わってきて、そこがすごく好きです。

ココが×

他の方のレビューを読む限りでは、一部やっぱり原作とはちょっと違うニュアンスの部分があるらしく、その辺りは原作もしくは日本版の映像作品を観ている人からすれば違和感があるかもしれません。

僕は通ってきていないのでその辺はまったく気にならなかったんですが。

MVA

いやーもう上に書いた通り満場一致です。おれ満場一致。

チャープラン・アーリークン(パイ役)

ヒロインの優秀生徒。主人公の先輩。

もう本当にキラッキラなんですよ。キラッキラ。笑顔が。

単純な外見的かわいさ以上のかわいさがあって、それは表情もそうだし仕草もそうだし発声もそうだし、全力で“ヒロイン”を見事に演じていたと思います。もう本当に「参りました」という感じ。

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