映画レビュー0316 『モンスター上司』
家庭的な事情により、今ちょっとバタバタしてまして、映画があんまり観られないような状態です。ちょっと更新頻度が鈍るかもですが、仮に鈍ったとしても一応生きてますよ、ということで。いや、実際死んでるかもしれないけど。その時は。
とりあえず今のところ死ぬ予定は無いです。(当たり前)
モンスター上司
後半失速。素材はいいんだけど…。
最近結構多いパターンな気がしますが、「予告編が本編よりもデキがいい」シリーズ。序盤の面白さはなかなかだったんですが…話を綺麗にまとめようとしすぎたのかなぁ。ちょっとテンポの悪さもあって、イマイチ惜しい映画に仕上がっています。
主役である3人は学生時代からの友人。それぞれが就職し、それぞれが問題のある上司を抱えた人生を歩んでいます。
ジェイソン・ベイトマン演じるニックは果たして何の会社に勤めているのかサッパリわかりませんが、なんとなく証券会社のような、商社のような、割としっかりとした企業っぽい。そこで「もうすぐ出世させてやる」という言葉だけを己の糧に耐え忍んできたニックは、ある日モンスター上司・ハーケン(ヴィン・スペイシー)が会議で発した、「営業本部長も俺が兼務することにしたもんねー」という一言で限界突破。
次にチャーリー・デイ演じる歯科助手のデール。婚約者と幸せな生活が待っている…かと思いきや、勤務先の歯科医ジュリア(ジェニファー・アニストン)が常軌を逸したドスケベ女で、とにかく毎日毎日「やらせろやらせろ」うるさい。おまけに麻酔で寝かせた時に“証拠写真”として好き放題した時の写真を撮影、言うこと聞かないとバラまくわよ、と脅し出す始末。困ったね。
そしてジェイソン・サダイキス演じるカートは、みんなに好かれる好々爺的社長(ドナルド・サザーランド)の元、充実した仕事を送っていたところ、その社長が急逝。代わりに社長に就いたのは、社内でドラッグをキメるわ女呼び出して好き放題するわの腐りきったバカ息子。これまた我慢ならーん!
と言うことで3人集まっては愚痴を言い合う日々。ある日冗談めかして言った「殺せるとしたら殺すか?」という一言から、本気でその計画を考え始め、そして実行に…というちょいブラックなコメディ映画。
序盤の、“狂った上司たち”を描く展開は素直に面白くて、特に「モンスター上司」を演じる3人のキレっぷりがスゴイ。ホントーーーーーーーーーに嫌なやつっぽい自信満々のケヴィン・スペイシー、文字通り体を張ってビッチになりきっているジェニファー・アニストン、そして本人もドラッグ使用歴で一悶着あったコリン・ファレルは衝撃のバーコードハゲスタイルで暴れまくります。
が、その副作用と言いますか。
とにかくこの3人のなりきりっぷりがすごいので、やっぱり反対に「被害者側」の3人が小物に見えちゃうのがまず残念。最近結構見かけるジェイソン・ベイトマンだけはそれなりに安定感もあってよかったですが、他の二人がどうしても弱い。特に一番主演格になっていたと言ってもいい、デール役のチャーリー・デイがあんまり好きになれなかったのが…。甲高い声でせわしなく動きまわる姿がどうも…。
演技として悪いわけではないんですが、序盤の常識人っぽさはどこへやら、間違ってヤクっちゃった後からはもう常時ヤクってるかのようなひどさで、こんなんだったら普通にジュリアとヤッちゃうでしょ、と思います。普通。
そう、そもそも(がんばっていたとは言え)ジェニファー・アニストンのドスケベ女医セクハラの設定に違和感があるのがなぁ。それなりに歳はとってきているものの全然綺麗だし、スタイルもいいし、あんな人が迫ってきたら普通に陥落するのが男だと思うんですが。(僕は大事な人がいれば陥落しませんけどね! でもいなければ100%陥落しますけどね!)
かたくなに婚約者のために耐えるデールはすごいなーと思いつつ、でも彼自身はちょっと飛んじゃったキャラなので、その辺にどうしても違和感が。
そもそもコメディにそんな整合性なんて求めちゃいけないのもわかってはいるんですが、やっぱり男としてこのジェニファー・アニストン演じるジュリアの設定は難があると思うんだよなー。ここだけは男女逆にしてよかったと思う。
謎の黒人マザーファッカーを演じるジェイミー・フォックスも良かっただけに、やっぱり誰が観ても「脇役陣>主演3人」になっているのがツライ。主演3人が中心過ぎると「ハングオーバー!」シリーズとの差別化が難しい…と考えたのかもしれませんが…。
話の流れとしても、計画を決めるところまでは良かったものの、「情報収集」辺りから間延びし始めて序盤のテンポの良さは無くなっちゃったし、展開自体は納得がいくものの、結局「みんな解決」になっていない作りが不満で。や、そこも最後にはフォローされてるんですが、それじゃちょっと甘いでしょう、と。
その辺諸々考えていくと、やっぱりいろんな意味で「3対3」を捌ききれなかった部分がこの映画の残念感を表している気がします。うーん、もったいない。
キャスティング、シナリオ、どっちも少しずつズレちゃって「ハマり切らない歯車」って感じが歯がゆい、そんな映画。
このシーンがイイ!
ジュリアがデールを呼んで閉じ込めるシーン。あんなの耐えられるはずがないんですが。ジェニファー・アニストンいいね。エロいね。
あとはドベタですが、エンディングのNG集みたいなのはやっぱりなんかみなさんの表情が見えていいですね。
ココが○
これはもう、「モンスターたち」の演技に尽きるでしょう。これだけやってくれたんだからもっといい映画にして欲しかった、って思うけど。
ココが×
綺麗にまとめたくて作ったシナリオっぽいんですが、そう観るにはやや弱いまとまり方。嫌いじゃないんですが、詰め切れていない印象です。
MVA
さて困った。もはや候補は脇役の「モンスター上司」どの人か、って話なんですが…。迷いに迷いつつ、この人かなぁ。
コリン・ファレル(ボビー・ペリット役)
ヤク中バカ息子。ほんとに頭おかしいっぽい雰囲気が最高。キレまくりです。(いろんな意味で)
「ユナイテッド・ステーツ・ミー」っていうセリフが印象的でした。おそらく「モンスター上司」3人中一番登場シーンが少ないんですが、印象度はナンバーワンかな、と。
ジェニファー・アニストンも最高でしたが、もっと見せろ、という欲張りコメントとともに除外。ベッドシーンぐらいあっても?
ケヴィン・スペイシーはまあ元から芸達者なので、そりゃあこれぐらいはやるでしょう、と。怖い感じとかさすがでしたね。