映画レビュー0339 『ヒューゴの不思議な発明』

これまたちょっと劇場に行こうか悩んだ一作。

予告編では子供向けだと思ってたら、「大人が観るべき!」みたいな口コミが結構あって、それじゃー観ないとな、と借りてみましたよっと。

ヒューゴの不思議な発明

Hugo
監督
脚本
原作
『ユゴーの不思議な発明』
ブライアン・ セルズニック
音楽
公開
2011年11月23日 アメリカ
上映時間
126分
製作国
イギリス・アメリカ
視聴環境
TSUTAYA DISCASレンタル(ブルーレイ・TV)

ヒューゴの不思議な発明

駅の時計台で隠れて暮らす孤児のヒューゴは、父親の形見の機械人形を動かすために部品を盗む生活をしていたが、ある日オモチャ屋の店主に捕まってしまう。

根っこは良いものの、チグハグさが目立つ。

6.0

公開当時は3D上映でしたが、家では当然普通の2Dにて鑑賞。総論としては…「もっとうまく作れたはず」という印象。惜しい映画。

ちょろっとだけ登場のひじょーに贅沢な使い方のジュード・ロウが父親のヒューゴは、その父が残した機械人形を動かすことを日々の糧に生活している感じ。部品盗みの時に捕まったことから出会いが膨らんで、人と過去がつながっていく素敵ストーリーでございます。

キーとなる機会人形は割と早い段階で動くようになり、その機会人形が何者なのか、彼の機能と父、そしてその他の登場人物とのつながりは…というのが話の中心。

まずこの映画の感想を言う上で、ネタバレ…まではいかないんですが触れておかなければいけないのが、「映画という文化」との関係。全然予想してなかったんですが、結局コアなところは「映画っていいよなぁ!」っていう、それこそ「アーティスト」と同じ路線のロジックが入り込んでいるわけですが、そういうロジックを語る割にはちょっと浅い映画なんじゃないかな、というのが気になって。

確かに映画に関わるエピソードの部分はすごくいいしホロリともきたんですが、まずそれ以外のエピソードが結構雑というか、あんまり必要のない話が短く挿し込まれたり、ちょっと子供じみた(主人公が子供だからかもしれませんが)セリフと感情の動きで次に進んだり、というのが気になりました。どうせ「映画バンザイ」で行くんだったら、もうそこに絞ったほうが良かったんじゃないの、というのが一点。で、その「映画バンザイ」の部分にしてもやや中途半端な印象。

というのは、やっぱりこの映画って3Dで作られただけに、CGもゴテゴテで映像もクリアで綺麗なんですが、その映像的な先進性と語ろうとしている「映画文化の良さ」がどうにもアンマッチな気がしてならないんですよね。

それこそ「アーティスト」のような、ノスタルジーと合わせて訴えるのであればまた違ったんでしょうが、舞台はノスタルジックな雰囲気を漂わせつつも結局は最新技術でハリウッド的な映画なので、なんとなく「映画好きの人を取り込むための媚売り要素」みたいな気がしないでも無かったです。僕は。

実は「アーティスト」の方がもっと浅ましく、確信犯的に媚を売っている…のかもしれません。が、あれはきちんと映画の良さを真摯に描いて見せてくれたと思いますが、こっちはやっぱりちょっと小手先な感じがしちゃって、上っ面で語っちゃうと逆効果になるんじゃないか、という気がしたんですよね。“一点勝負”じゃなかった分、余計に。ややほんのりと群像劇っぽい雰囲気もあったので、もっと本線に集中した作りにすればよかったのに、という思いが。

「映画好きに向けた映画の話」っていうのは、当然(僕なんかよりもよほど)目の肥えた人に訴えるものだと思いますが、それだけに余計にこの映画そのものとの価値観的なアンマッチさが違和感になって、この映画自体が不思議な発明だった、みたいな。(うまくない)

例えばクリストファー・リーの醸し出す雰囲気だったり、それなりに映画ファンに向けたうまさを使おうとしている割に、最も根っこの部分でズレちゃっている気がして、じゃあ実はこれがメインじゃないのかな、と悩んじゃうような感覚もありつつ。

コレ、ヨーロッパで作ればもっと全然いい映画になった気がします。それだけにすごくもったいない。アメリカでハリー・ポッターっぽいファンタジーを作って、しかも映画の話を織り込めばみんな感激じゃね!? って感じで作ったものの、その浅はかさがうっすら漂っちゃった失敗作。そんな感想。

このシーンがイイ!

やっぱり「上映」のシーンですよね。あれはもう泣きました。ホロリ。

ココが○

本線との違和感がありつつも、ただ映像はやっぱりすごく綺麗でした。ブルーレイの精細さったらもう。

ただし、上に書いたように、「精細で綺麗な映像に向いた話か」っていうとまた別です。

ココが×

上に書いた通り。

あとは微妙なところではありますが、登場人物の感情の描き方が少しヘタというか、どこで地雷踏んだんだよ、みたいな面は結構ありました。各人に。

MVA

役者陣はなかなか渋くていいメンバーが揃ってたように思います。

相変わらずエミリー・モーティマーは謎のキュートさが印象的。ベン・キングズレーは役にピッタリでした。クロエ・グレース・モレッツはちょっと大人っぽくなった印象。お姉さんになったねーと思ったら主人公の男の子と同い年という驚き。で、その彼がMVAかな、と。

エイサ・バターフィールド(ヒューゴ・カブレ役)

役自体のキャラクター的に違和感がある部分はあったんですが、演技としては申し分ないんじゃないでしょうか。すごくうまいと思う。この子。かわいいしね。

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