映画レビュー1597 『ハミングバード』

今週のステイサムです。
U-NEXTの紹介文が「泣かせる」とか「贖罪」とか書いてあったのであんまり期待出来なそうだなと思いつつ観ましたが…。

ハミングバード

Hummingbird
監督

スティーヴン・ナイト

脚本

スティーヴン・ナイト

出演

ジェイソン・ステイサム
アガタ・ブゼク
ヴィッキー・マクルア
ベネディクト・ウォン
ビクトリア・ビューイック

音楽
公開

2013年6月28日 イギリス

上映時間

100分

製作国

アメリカ

視聴環境

U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

ハミングバード

最も真面目なステイサム映画。

8.5
ホームレスに身をやつした元軍人ステイサムがともに暮らしていた女性を探す
  • ホームレス生活を続けられなくなり一緒に暮らしていた女性と生き別れ、彼女を救おうとするが…
  • 偶然逃げ込んだ家が半年間不在と知って金ができたあとも居座るステイサム
  • ステイサム映画としては珍しくアクションは脇、しっかりしたドラマが描かれる一作
  • スティーヴン・ナイトの初監督作品

あらすじ

僕が観るときに期待する「やりすぎステイサム」とは正反対に位置する“ちゃんとした”ストーリーがある映画で、ステイサム映画云々以前に作品そのものがしっかりしていた印象です。

戦場帰りでPTSDを発症しているっぽいジョゼフ(ジェイソン・ステイサム)、今回もまた元特殊部隊員です。
ですが何らかの理由(後に明かされます)で追われているようで、あまり表に出たくないのとまともに働けないっぽいのとでホームレスに身をやつしておりまして、そこではイザベル(ビクトリア・ビューイック)という若い女性とともに暮らしていたようですが、ある日“ホームレス狩り”のようなものにあって二人とも家を追われ、イザベルは行方不明に。
一方ジョゼフは追手から逃れた際に飛び込んだ家の主が半年以上不在と知り、勝手に(体型が近かったらしい)スーツを着たり酒を飲んだりシャワーを浴びたりと普通に暮らし始めます。
チラシを貼りまくった結果留守電に連絡があったイザベルは「大丈夫だから探さないで」と伝言を残したっきりで相変わらず行方不明ですが、ジョゼフはいわゆる“裏稼業”的なお仕事で徐々に金回りも良くなってきますが引っ越しはしません。
やがて彼は(おそらく)ホームレス時代に縁があったと思われる炊き出し担当の修道女、クリスティナ(アガタ・ブゼク)と徐々にお近付きになっていきます。
イザベルの行方、そしてクリスティナとジョゼフの関係やいかに…という感じでこちらからは以上です。

他にないステイサム

オープニング、ホームレス時代のステイサムはまたも落ち武者スタイルでゲラゲラ笑っていたんですが今作は笑っていい映画ではありませんでした。笑っちゃってごめんね。
元特殊部隊員で例によってめっちゃ強い辺りはいかにもステイサムという感じですが、逆に言えばいつも通りなのはその程度で他はいつもとだいぶ毛色の違う映画です。
ヒロインもいつもとは180度違う地味眼鏡修道女というおよそステイサム映画とは思えない属性です。胸の谷間アピールしてない…!
その修道女・クリスティナとジョゼフが半年程度の交流を通じて相互に影響しあいながら人生を見つめ直す…というようなお話になっております。
ステイサム映画の流れで行けば、大体「アクション映画だけどちょっといい話にしてやるか」という感じで中途半端なドラマ性を盛り込んだせいでイマイチだなとなることが多いんですが、今作はその逆で「ドラマ映画だけどステイサムだからちょっとアクションも入れてやるか」という感じ。つまりドラマがメインでアクションはサブもサブ、ほとんど出てこないと言ってもいいでしょう。
それ故にステイサムファンからすれば「こんなのステイサム映画じゃない」「ステイサムが主人公である必要がない」とあまり評価が高くないようなんですが、僕はむしろステイサムの映画でこんなにじんわりと胸に迫るものがあったのかと意外な驚きがあってとても良かったですね。
ステイサムもだいぶ魅せる、弱さを感じさせる演技で他の作品とは一線を画していて、なんとなくですが「俺でもこういう演技ができるんだぞ」と自分の幅を見せるための作品と位置付けて熱が入っていたのではないか…と勝手に想像しています。
監督兼脚本はスティーヴン・ナイトで、今作が初監督作品だそうです。
スティーヴン・ナイトは他に「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」を観たぐらいなので僕も詳しくないんですが、なんとなく今作は(初監督作品ということもあり)「ステイサムの映画」というよりは「スティーヴン・ナイトの映画」の色合いが強いのかなと思いますね。
大体ステイサムの映画って「ステイサムを主演にして、いつものように最強で敵を倒していく感じで…」と“ステイサムありき”で作られているような印象(あくまで印象です)なんですが、今作は監督の方にやりたいことがあり、そこに主演俳優として選ばれたのがステイサムだった…というような、ステイサムの映画としては珍しい動き方で作られた映画なんじゃないかな、と。
思えば「オペレーション・フォーチュン」なんかもそうですが、監督に作家性が強い人が来るといかにステイサム主演とは言え色合いが変わってくるんでしょうね。逆に言えば「ステイサムにおんぶにだっこ」だからワーキングマンはダメなんだよタコという話です。
違う言い方をすれば「客はこういうのが好きでしょ」で作られた映画と「俺はこういうのが見せたい」で作られた映画の違い、みたいな。

またヒロインのクリスティナのバックストーリーもなかなか深いものがあり、形としてはよくある形かもしれませんが「お互い暗い影を持つ」者同士が惹かれていく、ただしべったりではないといった辺りがとてもいいんですよ。
最終的な形含めて二人の距離感がすごく良くて、「恋愛映画ではない映画に込められる恋愛」の形態としてはかなり好きな内容でした。
いつも「余計な恋愛入れるな」と言っていますが、この恋愛は余計じゃなかった…というか恋愛ではない形でお互いを求めているというか。精神的な寄り添いの結果一緒にいるような。その感情が見えるような内容が良かったんですよね。わかりますかね。わかりますかね!?

まともなステイサム映画でこれ以上は無いのでは

はい、わからないよということでね。諦めて〆に入りますけども。
まだ企画途中ではありますが、ステイサムの映画としては群を抜いて真面目でまともな映画だったと思います。
いや「まともじゃないとダメ」ってわけじゃないですからね、一応ね。ふざけたバカバカしい映画も大事ですから。楽しみすぎてまだ「アドレナリン2」取っておいてるぐらいですからね。
ただ「中途半端にドラマを入れるんだったらもっとちゃんとやれよ」のアンサーとしてこんなにいい映画はなかったなというお話です。
「これステイサムじゃなくていいだろ」もよくわかるんですが、ステイサムだっていつも通りすぎる映画ばっかりじゃさすがにしんどいだろうし、こういう作品にも出てある程度役者としての幅を見せるのは大事だったのではないかなと思います。
多分(現時点では)まともなステイサム映画でこれを超えるのはなかなか難しそうな気がします。もっと爺になったあとなら出てくるかもしれません。
良い映画でした。

このシーンがイイ!

やっぱりねぇ…娘ちゃんと会うシーンは良かったですねぇ…。
終盤のクリスティナとのシーンも良かった。地味なポイントですが彼女が笑顔でいるのがすごく良かったんですよね。

ココが○

ストーリーそのものではありますが、やはり主人公とヒロインの関係性、距離感が一番だと思います。

ココが×

一つだけ「金出来たのになんでまだ空き家に住んでんだよ」と思いながら観てましたが、これは身バレ防止だったんですかね?
でもあれだけ裏稼業に足突っ込んでたら偽名で借りるとかいくらでもできると思うので、やっぱりそこだけちょっと不自然な気はしましたね。
まあ、些細な点です。

MVA

ステイサムもなかなか泣かせる良い演技で彼でも良いんですが、今回はこの人にします。

アガタ・ブゼク(シスター・クリスティナ役)

ヒロインの修道女。
「すごく美人」って感じでもないんですが、オンオフの違いもそれなりに魅せてくれたし、いい塩梅に派手さが無いのがすごく良かった。綺麗になりすぎても話がブレるのでちょうどいいというか。
その他あんまりご活躍されていなさそうで意外でした。自然な演技で良かったんだけどな…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です